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Vol.45 終局‐7

 織部が西崎の言う通りに視聴覚室へと歩いて行くと,室内には人質となった職員と事務員,そしてその奥のステージ手前の隅には黒のゴミ袋が何袋か。織部はまず驚き目を見張ったが,すぐに冷静となり,“人質”の救助作業へと手を運び始めた。縄に縛られガムテープに口を塞がれていた“人質”達。彼らは救助後,織部に加勢した。

 一方,ゴミ袋はかなり手強かった。袋の中には無数の魂。職員間のネットワークを駆使し,生徒1人1人をクラスごとに分別して行く。気が遠くなり,意識がどこかへ飛んでしまいそうになる。それをひたすら振り落とし,作業一点に集中する。職員の頬を幾筋もの汗が伝って行った……。

「その作業が終わった時に,お前らがのこのことやって来たんだ」

 織部はそう言うと室外へと無造作に放り出されたゴミ袋の山をしばらくの間遠い目で見つめ続け,最後に僕達へ“片付け”の指令を出した。

「……よし!早く皆を甦らせるぞ!」

「はいッ!!」

 僕達は快く承諾した。

 「生徒への愛情表現」

の名の下,各クラスの担任または副担任がそのクラスの袋を持ち,各教室へ。ただし1年H組の場合は生徒が何人も生存している為そのような配慮は無用。職員の1人に伺ってみた所,担任の河西はいつの間に運び出された搬送先の保健室のベッドの上で今も気絶をし続けているのだそうだ。

 階段を降り,僕達は所属クラスごとに分裂した。僕が4階の廊下を歩いていると,袋をぶら下げて前を歩いていた西原が突然言った。

「っていうかさ,これ本当はあいつ1人でやったんじゃねぇんじゃね?」

「まぁ確かに1人じゃかなり厳しいもんがあるかしんねぇもんね」

 僕は西原の意見に賛同した。あの大仕事を行うには,少なくとも3人は必要だろう。

「絶対に裏があるよ,ねぎまこ」

「あぁ……」

 しばし重い沈黙が廊下を流れた。

 H組の生徒が教室に到着,室内で西原が袋の中身をぶちまけた。その中身の持つ光に目を眩ませながらも4名の生徒が1人1人の“蘇生”を地道にこなして行く。途中“実体”となってそれを手伝う人が1人増えまた1人増え……。こうして1年H組にどのクラスよりも早い平和が再び訪れたかのように思えた。しかし,

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