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Vol. 4 異変‐4

 おかしい。教室に入る前は確かにいつも通り生徒同士が喋り合ったりしていたのだ。しかし今はこの通り皆おかしくなっている。僕の心の中で,怒りにも似た何かが一気に込み上げてきた。

「くそ〜〜〜!!」

 僕は小さく,しかし力強い声で叫んだ。涙が溢れようとしている。僕はそれを必死で(こら)え,じっと床を見つめながら教室を出ようとした。その時,

「根岸君!!」

 僕の名を呼ぶ声がした。その声に驚いて顔を上げると,そこには高野の姿が。高野は被害を受けなかったようだ。僕は高野に訊ねてみる。

「……E組もやられたの?」

「……うん。ほとんど全滅だよ……」

「ほとんど!?……って事は他に誰か生きてる人がいるって訳?」

「俺が生きてるじゃん」

「……そっかぁ。E組もかぁ……」

 僕は期待を裏切られたようで切なくなった。僕と高野とはあまり親しい仲という訳ではない。しかし今はそれ所ではない。高野と協力していく事にした。

「……これからどうする?」

「………」

 高野は何か考えているようだ。8時53分。

「……授業はどうなるんだろう?」

 僕はポツリとこぼした。しかし高野からの返事は無い。

 ――高野君は何を考えているんだろう?――

 廊下には僕達2人以外誰もいなくなってしまった。そろそろ1時限目が始まる。果たして授業は無事行われるのだろうか?

 予鈴のチャイムが鳴った。いつもなら他クラスは移動で忙しくなる為廊下が嫌でも騒がしくなる。……しかし,それが全く感じられない。

 9時。チャイムが鳴り,授業が始まった。僕は自分の席に着いた。1時限目はOC(オーラル・コミュニケーション)。本来は英会話を学ぶ教科らしいのだが,羽生南高では英文法を教わっている。担当の薗田晴男(そのだ・はるお)は3年生のどこかを受け持っているので薗田が教室に入ってくれば他の学年は無事だという事になる。

 ――さあ薗田先生,来るか来るか?――

 期待と不安でいっぱいな中,ただひたすら薗田の来るのを待ち続ける。

 廊下後方から誰かの足音が聞こえてきた。

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