Vol.31 午後‐2
「どこだろ……?」
僕は辺りを見回した。時刻は午後1時3分。学校にいれば昼休みという所か。僕は制服のズボンの右ポケットから携帯を取り出して石野にメールを送ってみた。
『羽生南高が大変だ!!
今羽生南高が大変な事になってる。信じられないかもしれないけど,ほとんどの生徒の魂が抜かれてるんだよ。それでその犯人が横塚のバス停の所にいるって事になって今そこにいるんだけど,見つからないんだよ。どうしたらいい?』
すると1分程して石野から電話がかかって来た。僕はその電話に出る。
「はい根岸です」
『おぉ,ねぎポン。何だよさっきのメール?』
石野は僕を完全に疑っている。
「本当なんだって。何て言うんだろうなぁ〜……」
僕が返す言葉に窮していると,西原がその様子に気付いて僕の許へとやって来た。
「ねぎまこ,どこに電話してんだ?」
僕は突然の横槍に思わず驚き,携帯の送話口を薬指と小指で覆いかぶせた。
「うわぁッ!あ,中学の時の友達だよ。丁度この辺に住んでるんだ」
「へぇ〜」
西原はそう言い残し,再び歩いて行った。僕も再び携帯に向かう。
『誰?さっきの人』
「あぁ,高校の友達だよ。ま,厳密に言うとその魂なんだけどね」
『え?ちょっとお前さっきから話してる事がさっぱり解んねぇよ。俺にも解るように説明してくれ』
僕は送話口の向こうの石野にこれまでの経緯をよく噛み砕いて話した。
『ふ〜ん……。何か凄く大変な事になってんだな……』
「うん,まぁね。でも正直俺も今何が起こってんだか全く解んねんだよ」
『………』
「……で,これからどうしたらいいと思う?」
『……そんな事言われてもなぁ〜……』
「……そっかぁ〜……。解った。悪ぃね」
『こっちこそ,何もアドバイスできなくて……』
「そんな……。じゃぁね」
『あぁ,じゃぁね』
そう言って石野との電話は切れた。そんな時,バス停付近で
「羽生田TRYアングル」
発見への手掛かりを捜索していた皆の口から,突如大歓声が揚がった。
「どうしたの?」
先手を取られた形となってしまった僕は,携帯をしまい,皆の許へと急いで駆け付けた。