Vol.25 河川敷‐2
「お前は一体?!」
僕は沢辺の偽者におどおどしながらも強い口調で訊ねる。
「ま,使者みたいなもんかなぁ〜」
「使者?そんなの別に普通の格好でやればいい事じゃんか。何でわざわざ……?」
「こうしないとねぎポン達と話せないし,抵抗があると思って……」
「別にそんな事考えなくてもいいよ!かえって何て言えばいいか解んなくなっちゃうし」
「簡単に言うと私はこの体を借りてるって事。だからこうやって皆の顔も名前も解るしフレンドリーに接する事もできるって訳」
「つまり沢辺さんの脳から情報を受け取ってるんだ?」
「そういう事」
「ふ〜ん……。でもそうなると呼びにくいなぁ。どうしよう?」
僕にはどうしても実感が湧かなかった。外見が沢辺だからだろうか?多分他の皆もそう思っているに違いない。
「何て呼んでほしい?」
春川が偽者に訊ねる。
「さあ?何とでも言って」
偽者は冷たく言い放った。
「ねぇ,皆は何がいい?」
僕は皆に訊ねた。
「『ウコン』でいいよ……」
春川が笑いを隠し切れない様子で言った。その他
「ひょろみ」
等といった案も出たのだが,結局春川の言った
「ウコン」
というニックネームに決定した。
「ところで,あなたは敵なんですか?」
織部がウコンに訊ねる。
「敵です」
「えぇッ?!」
即答だった。皆の視線がウコンに集中する。
「奴の狙いは一体何なんですか?」
僕はウコンに訊ねた。
「……さあ?私はただあなた達を河川敷の所へお連れする事だけを指示されたものですから」
「ウコン」
というニックネームが気に入らなかったのか,ウコンはここに来て業務調を使うようになった。
「紘美は助かるの?」
春川が訊ねた。
「それも解りません」
「行くしか無いんじゃないか?」
織部が言った。
「そうですね。……その『河川敷』ってどこの事なんですか?」
僕は今までずっと気になっていた事をウコンにぶつけた。
「『福川』です」
「福川?!福川のどこですか?」
僕は驚いた。
「それは……」
ウコンは言葉に詰まった。
「福川ってどこにあるの?」
皆が僕に訊ねる。