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Vol.23 魂‐6

「あぢ〜」

 女子4人が手をうちわにしてあおいでいる。

「先生,何か判りましたか?」

 僕が訊ねた。

「ああ。こいつは手強い相手かもしれないぞ」

「はぁ,そうですか……」

 僕は今こんなにも身近な所でとんでもない事が起こっているという状況に頭がパニックしている。

「どんな感じで手強いの?先生」

 春川が訊ねた。

「まず,ここに書いてある脅迫状。『河川敷』がどこの事だかがつかめない。それに,この名前。羽生の事を知り尽くしている可能性がある。これは完全にこっち側が不利だ。残念だけど,今の状況でお前らに勝ち目は無いよ」

「そんな……」

 織部の表情はいつに無く真剣だった。僕達は失望するしか無かった。

「ねぎポン,ねぎポンは羽生の事判らない?」

 滝谷が訊ねた。

「あ,あぁ。まあ判んない事も無いけど。羽生に住んでた事もあるからね……」

「そうなんだ!へぇ〜」

 柿沼が驚いた。

「いや,でもあっちの須影とか手子林の方なんかはさっぱり判んないし」

「……そういえば沢辺は羽生だよな?」

 織部が思い出したように言った。

「あ,そうでしたね!……でも沢辺さん今いないんだよね……」

 沈黙。ミンミンゼミのつんざくような鳴き声が響き渡る。

「でも,何で紘美だけ違うの?他は皆魂が張本人によって抜かれているのに……。何で?!」

 春川が声を震わせた。

「……っていうか春川さんと畑部さんは見てないの?同じクラスでしょ?」

「誠,そう責めるな。まだ心の準備ができてないんだろ」

「くッ……」

 僕は織部に食って掛かろうと思ったが,思うに(とど)まった。

「……ごめんね。ねぎポン。私が学校に着いた時,まだ皆は来てなかったの。その時は普段通りだったんだけど。でもそれから少しした時にその『何とかトライアングル』?が出て来て,皆の魂を吸い取って行って……。あれはもう地獄……。その時私と君子は死んだふりをしたんだけど,バレちゃって……。多分後から来た他の人達もそうやって『何とかトライアングル』の餌食になっちゃったんだと思う……」

 春川は途中すすり上げながらそう言った。

「じゃあ何で沢辺さんは違うパターンだったんだよ?」

 僕が春川に言葉を返したその時,

「根岸君,もしかしたらその沢辺さんって人,生きてるかもしれないよ?」

 今まで僕達の話を黙って聞いていた高野が突然口を開いた。

「えッ?!」

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