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Vol. 2 異変‐2

 僕の脳裏に幾つもの

「もしかして?」

がよぎっていく。

「皆本を出しなさい」

 河西が言った。しかしそれにも動じない。河西が左から3番目で右から4番目,1番前の席に着いている坂橋に同様の言葉を掛けた。しかし反応は同じ。河西は坂橋のうつむいた顔を覗き込む。

「この暑さで頭がぼーっとしちゃった?」

 その時河西の顔から血の気が一斉に引いたのが裸眼0.3の僕の目から見てもはっきりと分かった(僕の席は1番左の前から2番目)。何と,坂橋の顔は蒼白。河西はガタガタと体を震わせながら教室中を見回した。

「あっ,あっ……」

 河西は気絶してしまった。僕も教室を見回す。その時僕は空前絶後の大ショックを受けた。坂橋だけではない,クラスのありとあらゆる生徒の顔が,硬直し,蒼く染まっていたのだ。僕も危うく気絶する所だった。

 ――しっかし何でこんな事になっちまったんだろう?――

 静寂に包まれながら僕は思った。

 その時,微かではあるが,右斜め後ろの方から僕を呼ぶ聞き覚えのある女性の声がした。振り向くと,そこには硬直した体を一生懸命に動かして何かを訴えようとしている沢辺紘美(さわべ・ひろみ)の姿が。

 ――何か有力な情報が得られっかもしんない――

 僕は立ち上がり,沢辺とは逆の方向に椅子の背もたれを向けた。そして僕は椅子に座り直し,わらをもすがる思いで沢辺に訊ねた。

「皆,どうしちゃったの?」

 沢辺は何か喋っているようだ。しかし声が小さ過ぎて何を喋っているのかよく聞き取れない。僕は体を椅子から乗り出し,右耳を沢辺の口元に傾ける。

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