表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
16/47

Vol.16 追跡‐5

「どうするよ?これ」

 僕は言った。

「どうしよう……」

 さすがの長田もこれには戸惑っている様子だ。

「長田さん,ちょっと触ってみてよ」

「嫌っ!高野君触って」

「えっ?そういう事なら滝谷君が」

「な,何言ってんだよ高野君。それを言うならねぎポンだろ?」

「はあ?結局俺かよ?」

 僕は失望した。

「全く……」

 僕はぶつぶつと独り言を言いながら恐る恐るその物体に手を近付けて行く。手がぴたっと触れた。

「うわあっ!!」

 その瞬間,その物体は一瞬にして閃光を一面に放ち,僕達の目を眩ませた。

「うッ!!」

 そして見る見るうちに形を変化させて行く。

「……は,畑部(はたべ)さん?!」

 そこに現れたのは,僕と同じH組の畑部君子(きみこ)だった。しかし畑部の姿は全身半透明である。

「長田さん,魂って半透明なんだね?」

 僕が感心して訊ねる。

「……っていうか魂って本当は見えないはずなのに……」

「そんな細かい事はもうどうだっていいよ。畑部さん,これ一体どうなっちゃってんの?」

「………」

 畑部は何かを一生懸命に訴えているようだが,言葉になっていないので何を言っているのかさっぱり解らない。

「畑部さん?」

 畑部は何かを指差している。

「んん?何だこれ?」

 僕は畑部の指差した先にあった長方形の小さな物体を手に取った。それはリモコンのような遠隔操縦装置だった。ボタンが沢山あり,使い方がよく判らない。僕が困っていると,

「ねぎポン,呼んでるよ」

 と長田に声を掛けられた。畑部が何かジェスチャーをしている。

「……ん?今一解んないんだけど」

 畑部は怒ってそっぽを向いてしまった。

「ヤベっ,ちょっと怒らしちゃったよ……」

 僕はため息を吐き,装置を眺めた。装置の真ん中で大きな赤いボタンがドンと居座っている。

「……何だろう?これ……」

 僕は試しにそのボタンを押してみようと思ったが,何か恐ろしい事が起こりそうな嫌な予感がしたのでやめにした。僕はその事を皆に伝え,装置の管理を長田に託した。

「……さて,これからどうするか……」

 僕はまず

「なぜ畑部が喋られないのか?」

について考えた。しかし考えた所でどうなるといった訳でも無い。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ