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Vol. 1 異変‐1

 9月。あの日は何かがおかしかった……。いつものように家を出て,いつものように登校する。何ら変わりの無い,いつものような月曜日……。


 学校に到着した。僕は埼玉県立の羽生南高校という所に通っている。全校生徒:約1,000名。近くには市立羽生南中学校があり,そこを母校とする生徒も多い。市立羽生図書館もまた近い。自転車通学の僕は,今日もいつもの自転車で登校した。駅から徒歩で来た生徒が,この残暑にうだりながら涼を求めて昇降口に吸い込まれていく。僕も吸い込まれていった。

 1年H組。ここが僕のクラスだ。男子33名+女子9名=全42名という多少男臭いクラスだ。僕の通っているこの高校には,県内でも数える程の高校にしか設置されていない,理数コースというものがある。とは言ってもほぼ毎年定員を割ってしまう程の不人気。その為今年度をもって募集を停止する事になってしまった。まあそれはともかく今日のクラスの雰囲気は明らかにいつもと違っていたのだ。それは教室に入った瞬間に直感した。

 廊下の個別の小ロッカーの中から鍵のかかった自分のロッカーを開け,弁当と水筒の入った布袋を入れる。勿論その後の鍵かけも忘れない。

 僕は教室に入った。室内には珍しく全生徒が揃って座っているが,辺り一面がシーンとなっていて不気味な雰囲気が漂っている。あと15分で朝読書が始まる。羽生南高校では,今年度から

「朝読書」

という10分間の読書タイムを実施している。僕は本を開いた。しかし活字が頭に入らない。僕は本を閉じ,隣の席の畔川諒(あぜかわ・まこと)に話を掛けてみた。

「畔川君,何で皆黙っちゃってんの?」

「………」

 畔川は答えない。

「何なんだよ……」

 僕はクラスの親友である坂橋正幸(さかはし・まさゆき)にも同じ質問をぶつけてみた。

「何で皆黙っちゃってんの?」

「………」

 ――駄目だ。皆完全にどうかしちゃってる――

 朝読書が始まった。僕は改めて本を開く。しかし皆は本を出さない。担任の河西樹成(かさい・みきなり)が教壇へ……。しかし皆は一向に本を開こうとしない。というよりむしろ動こうとしない。

 ――これってもしかして――

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