第1話 「こびりつく」
【16年前】
1人の幼き少年と少女が楽しそうに公園で砂遊びをしている。
見先「かほ!見てこれ!すごいっしょ!」
見先は砂に押し当てることで動物や色んな形になるプラスチックと砂場用具を使って、亀を作った。
すると少女はキラキラとした目で亀となった砂を見つめる
果穂「すごい!亀さん?」
見先「そう!食べちゃおっかなー」
見先がその砂に開いた口を寄せると、果穂がすかさず止めに入る
果穂「ダメだよ!バイ菌があるんだから!」
見先「あ、バイ菌はダメだ…しせつのみんなにしんぱいさせちゃうな……」
果穂「そうそう!」
その瞬間、16:00を知らせるチャイムが鳴り響く。果穂はその音で家に帰らなくてはいけないことに気づき立ち上がる
果穂「あ!かえらなきゃ!」
見先「あっ…ぼくまだあそびたいのに……」
果穂「ごめん〜」
果穂「でもね!わたし明日パパとママと弟とスキーに行くの!」
見先「スキー?なにそれ」
果穂「えっと…雪すべるやつ!とにかくかえるね!バイバイ!」
見先「ばいば〜い……」
見先は走り去ってく果穂の小さい背中を見つめながら手を振る。そしてゆっくりと立ち上がり帰路へと着くのだ。
時は進み、2日後。
見先が暮らす孤児院の院長から突如、悲しい真実が伝えられる。
2日前、見先と一緒に遊んでいた江口果穂(8)は雪山にあるスキー場に向かう山中で、車をスリップさせそのまま崖へと落ち彼女の父、母、弟が死亡した。尚、江口果穂の死体は無く、警察は捜索を進めている。
見先は果穂が見つかることを祈りながら日々を過ごしていたが、年月は過ぎやがて捜索は打ち切られ、祈ることを断念せざるを得なくなる。
【現在、1998年】
【井村見先(24) フリーター】
東京にあるコンビニエンスストアのレジに彼は立っている。まるでやる気を感じられずボーッとしている。
見先「………」
店長「オラ井口!」
店長は怒鳴りながら見先の頭を丸くした新聞をハリセンのように使い叩く
見先「痛った!ちょ店長!何すんですか!」
店長「なにボーッとしてんだ」
店長「しっかり働けよ!」
見先「いや、働けって言ったって…客がいないんじゃ……」
店長「………」
見先「俺らより駅近にコンビニが出来たんすよ…そりゃあ俺だってより駅近を選びますよ」
店長「うるせぇ!給料出すのはこっちなんだ!口より手ェ動かせ」
見先「へ〜い……」
店長「返事は"はい"!!」
見先「………はい」
朝、見先は自宅へと帰宅し、部屋の模様替えを始めていた
【16年前、俺が8歳ん時】
【当時好きだった女の子、江口果穂が死んだ】
【今でもあの子が夢に出てくる】
【孤児院を出て…事故現場に行ったけど…事故の形跡が見つからないくらい時が経っていたらしい】
その瞬間、見先は移動していた家具を足に落としてしまう
見先「い"………ッ!!」
自分で救急車を呼び、診断の結果足の骨が砕かれていることがわかり入院となる。
先生「では、安静にしてください」
見先「お世話様です……」
先生は病室の扉を閉め出ていく
その瞬間、見先は一息つく
見先「…はぁぁ〜………」
見先「アホか…模様替えで骨粉砕……」
見先「まぁいいや、店長へのエピソードになるわ」
その時突然、カーテン越しに老人の声が聞こえる
浜崎「それはそれは…」
見先「えっ!?」
その老人はカーテンを開け姿をあらわにする。ベッドの上で寝ているようだ
見先「あっ…失礼しました……」
浜崎「いえいえ、長いことここで1人でしたので…人が来て大変嬉しいです」
浜崎「お名前は?」
見先「あ、井村見先です」
浜崎「私は浜崎修三です」
【浜崎修三(56)】
見先「よろしくお願いします」
見先は浜崎についている様々なチューブを見つめる。彼はその時、浜崎は重い病気なのだと察した
見先「…見先って呼んでください!」
浜崎「見先くん…私も修三って呼んでね」
見先「はい!修三さん!」
同日、夜中の1時頃だ
見先は寝れずにいてベッドに寝ながら、窓越しに夜空を眺める
見先「…………」
見先(果穂………)
見先(あれっ…あぁ…また考えてる……)
見先(おいおい8歳の感情だぞ…?なんでまだ頭にこびりつくんだ……)
見先(江口果穂………)
見先(俺が8歳の時に好きだった同い年の女の子……)
見先(キャラメル…めっちゃ食ってたな…虫歯なるくらい)
浜崎「見先くん」
見先「はい?どうし…………」
浜崎の方を振り向いたその瞬間、見先は浜崎の頭上に佇む人の形をした異形の怪物を見つける。どうやら浜崎はその存在に気づいていないようだ
見先「…はっ……?」
浜崎「どうした?」
見先「み、見えないんですか!?頭のそいつ!!」
ウィルスター『…俺が見えてるのか』
見先「!!?」
見先「浜崎さん逃げて!!!」
見先は焦りすぎたあまりベッドから転がり落ちて床に激突してしまう
見先「うっ……!!」
浜崎「見先くん!?」
見先「はやっ…くして!!」
浜崎「じ、じゃあナースコールを……」
浜崎「うっ……うぅっ…!!」
浜崎は突然胸を抑え苦しみ始める
見先「浜崎さん!?」
ウィルスター『"病"を悪化させた』
見先「病……?」
ウィルスター『ああ』
見先「よくわかんないけど…浜崎さんを楽にしろ!!」
ウィルスター『楽に……?ああ、そういうことか』
ウィルスターが浜崎に手のひらを向けたその瞬間、浜崎は更に苦しみだし倒れてしまう
どうやら息をしておらず、死んでしまったようだ
見先「はっ……?楽にって……お前……」
ウィルスター『ああ』
ウィルスター『"楽に殺した"』
見先「浜崎…さん…………」
見先(この世界は、優しい人から死んでいく)
見先(なんでなんだろう……世界は本当に理不尽だ…)
ウィルスター『お前も侵してやる』
ウィルスターが見先に手のひらを向けたその瞬間、病室の窓が割れ、スーツを着た女性が飛び込んでくる
ウィルスター『貴様ッ…!』
見先「……?」
??「……」
??「"WBC"だ」
??「これより排除開始する」
その女性が待っていた刀を構えたその瞬間、ウィルスターの首が落とされる
すると見先の全身に緑色の返り血がこびりつく
見先「っ………」
見先「なんなんだ……」
??「…大丈夫か」
??「怪我があったら見せろ」
暗かった病室で、よく見えなかった彼女の顔が月明かりに照らされたその瞬間、見先は見覚えがある顔であることに気がつく
見先「…果穂………………?」
果穂「……なぜ知っている」
果穂はその瞬間目つきを変え睨むように見つめながら刀を見先の顔に突きつける。
見先「!?」
果穂「答えろ…お前は何者だ」




