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強父

作者: 神保康弘

 若い頃、自動車教習所に午前午後と通っていたある日、自動車教習所の教本を入れたリュックの置き引きにあったことがある。


 午前中の授業が終わり午後の授業まで約1時間か2時間あるという隙間時間に私は自転車でとある本屋に行き立ち読みなどして時間をつぶしていた。


 その時はリュックに自動車教習所の教本と仮免許や本免許の試験問題集なども詰めておいていた。そのリュックを自転車の前カゴに置き、本屋の店内に入って目を離してしまったからだ。


 店から戻った時は空になった自転車の前カゴを見てしばし呆然としてしまった。自動車教習所の教官に訳を話すと古めの教本ならあるとのことでそれをタダで譲ってもらったから懐は傷まなかったものの、家に帰ったら父親にかなりきつく叱られた。


 父親はなぜか本屋での立ち読みが嫌いでそれは窃盗と同じだ! とか言って盗んだ人の方に怒りを向けず盗まれた私の方にプンスカ怒っていた。父親は昭和20年ギリ戦前生まれで私は昭和57年生まれ。戦後の貧しい頃から食べ物の好き嫌いなく育ったので野菜やしいたけ、たけのこ、メンマとか色々嫌いな自分とは食の好みが違ってて、性格も怒りっぽくて亭主関白、地震雷火事親父をそのまま形にしたような人であまりウマが合わなかった。父は競馬は好きだったんだがw


 でもお父さんあなたたしか無······だった気がするんですがそれはいいんですかねと言いたかったがますます怒らせるだけなのでやめておいた。


 自動車教習所の試験問題集は再度手に入らなかったのかすっかり忘れていたのか当時の事は曖昧で思い出せなかったけど仮免許と本免許の試験に一回ずつ落ちてこれも父に怒られた。今思い出すとやっぱり勉強不足で試験問題集盗まれてしまった自分もかなり悪いな。




 盗んだ人も一円にもならない物盗んで処分するのも面倒でかなり困ったろう。大きなリュックと燃やすのも面倒な本数冊だ。それとよくよく考えてみると一度こういう盗みをしてしまうと理性のタガが少しずつ外れてしまって二度三度と何回も悪事を行うようになってしまうかもしれない。盗んだ人が悪いんですけどね。





 父とは17歳の時に上京して新聞奨学生になり専門学校に行きたいと訴えて、できるできないで1時間以上話しあったんだけど頭があまり働かず全然上手い言葉が出なくて説得できずに悔し涙を流した。強父のオーラがあってとてもビビっていたなああの日あの時は。


 しかしその後19歳の時にもう一度話しあったら30分もたたずに父の言うこと全てにうまく反論できて、最後にはお互い何も言えずに静まり帰り、ようやく父の許可が下りた。


 新聞奨学生の保証人は父ではなく16歳の時に離婚していた母親の方になってもらった。


 新聞奨学生の生活が無理と判断されクビになると数十万円の違約金を払うことになってしまうから父から信頼されてなかったことになるけど、10代の頃は仕事がどれも長続きせずにふらふらしていたからしょうがない。


 その後上京してからも約10年間はお金の仕送りなどで連絡しあっていた······。新聞奨学生の頃から父は金困で電話がくるとまたかと思ったものだ。母も金困になったからどっちもダメか。でも保証人を母にさせて自分は金の仕送りを頼むってどうよと思わないこともない。




 新聞奨学生時代に母親からは田舎の果物と3000円が届いたことがあり、父からは金の仕送りを頼む電話しかなかったのもよろしくない。私は今も新聞配達の仕事をしてるので、新聞奨学生の頃を思い出すたびに父と母の違いも思い返して好感度が上下する。



 色々くだらないことを書いてしまいました。父には酷いエピソードが他にももっともっとありますが書いてる私の方が悲しくなってきましたのでひとまずおしまいにします。読んでくれてありがとうございます。













母の日に

パチンカスなる

母思う

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