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黄金に輝く瞳  作者: 茜雫桂香


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初めて


「ーあれ、家?」


私はあの後気を失ったみたいだ

瞼を上げれば

見慣れた自分の部屋の天井だった


「…気が付いたか」


「ーっアルク様?!」


ベッドの横に腕を組んで座っているアルク様がいた。


「どこか痛むか?」


聞いてくるアルク様の手は包帯で巻かれている


「…手」


私が視線を手に向けると

隠すように深く腕を組む。


「俺のことではない…ピスは?」


「あ、大丈夫です。どこも痛くありません」


私はベッドの上で正座した。


「この度は、ご迷惑をお掛けしました」


頭を下げる


「…無事ならいい」


「ありがとうございます」


沈黙が少し続いた。


ガチャ


「ピス兄ちゃん!!よかった!!起きたんだね!」


カイアが走って抱き着いてきた。


「カイア!心配させてすみません。」


「よかった~、僕がねアルク様にお願いしたんだ!」


「え?カイアが?」


私はアルク様に視線を戻す。


「あぁ、今日は元々あの鉱山に視察に行く予定だったんだ。

そしたら山に入る前に雨が降ってきて、弟がー」






「母さん!!!ピス兄ちゃんまだ家に帰ってないよ!!

今!父さんが探しにいった」


「おい!坊主、ピス兄ちゃんって言ったか?!」


「うえ?!う、うん」


「鉱山にいるのか!」


「う、うん家にいなかったから…多分」


「ーッチ、おい!この山に詳しい者、案内しろ!!」


「え、ですが…雨が思ったより長く降っています、危険かー」


「だからだろう!!!私より前に出るな!!口頭で案内しろ!!」






ーそんなことが



「アルク様の背中、本当にかっこよかった」


カイアは、ふふっと笑うと


アルク様に改めてお礼を伝える。


「カイア、悪いが軽いスープを持ってきてくれないか?

ピスに温かいものを飲ませたい」


「うん!分かった!」


カイアの頭を撫でると、笑顔でカイアは部屋を出た。



「本当にありがとうございました」


「…もう礼はいい、他に言うことはないか?」


「…」


気まずい沈黙。

私は自分にかかっている毛布に視線を移す


「…黙って辞めたな」


「…」


「…獣人など嫌いだと暴言まで吐いて」


「…あれは」


言いかけて口を閉じる

今さら、何を言っても


「最後の言葉があれか?」


怒っている、声だけで分かる


「…暴言を吐いたこと、お詫び申し上げます」


「はぁ」


大きなため息が聞こえたかと思うと

ベッドがきしむ


驚いて顔を上げると

アルク様が腰をかけて、こちらを向いている。



ー近い



「…今日は元々、鉱山の視察と…ピスに会いにくる予定だったんだ」


「え、私に?」


「あぁ」


「なぜです?」


「なぜ?って…」


「…」


ー近い


黒くて艶のある毛先も

力強い赤茶色の瞳が私をみつめる


「俺は、ピスを手放す気なんてない」


ー胸が、苦しい


でも、嬉しくて、涙が出そうだ


「アルク様…いけません」


「…」


「…だめです」


「嫌なら殴れ、直ぐ離れる」


少しずつ近づいてくるアルク様を


私は、拒むことなんて


できない


ーっ


初めて、口が触れた。



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