イエネオス家
ー頭痛い
ガンガンと襲う痛み
瞼を上げると、ぼやけた視界が見慣れない天井をとらえた。
ー?!
痛っ
痛くて起き上がれない。
ーここどこ?!
目だけで、ぐるりと見渡す。
レースでベッドを囲っているのか、天井は天使が楽しそうに踊ている絵が描かれている。
その天使に耳ついてない?
見たことない花の模様がシックに描かれていて、どこかの宮殿の中みたい。
これは夢?そう錯覚させてくるが、頭が痛い。
「お目覚めですか」
そう声がすると、にょきっと視界に狐が入ってきた。
「ー?!」
驚いていると、
器用に僕の上半身を起こしてくれた。
ー2足歩行している?!服着てる?!
執事服を身にまとった狐は、凛々しく細い特徴的な瞳を更に細くして微笑んでいる。
「お話ができますか?お庭で倒れていらしたんですよ」
ー庭で倒れてた?!
はっと僕は胸に抱えていたジロウを探した。
慌てている僕に狐は背中を向け
奥のテーブルに置かれていた白い箱を持ってきてくれた。
「お探しは、こちらのはー」
言い終わる前に僕は奪いとるように箱を胸に抱えた。
痛い、頭が。
くらっとした僕を見て、
「まだ安静にしてください。強く頭を打ったようなので」
痛みが走る頭に手をやると、包帯を巻かれていた。
ー手当してくれたのかな。
狐を見上げると、にこりと微笑んで
少し待っているようにと、部屋を出た。
ベッドの上に上半身だけ起こし
綺麗な柄が入っているクッションに身を預け待っていると
コンコン
「失礼する」
ー?!
入ってきたのは、大きな2mくらいある黒い狼だった。
大きく艶のある毛に、銀色の刺繍が入った黒のシックな服を身にまとい
その後ろには先ほどの狐がいた。
「私はこの家の主、マブロ・イエネオスだ」
迫力が凄い。僕は怖くて視線を落とした。
ふわっと風が頬撫でると、いい匂いが鼻をかすめる。
マブロが椅子に座り、僕に顔を近づけた。
「すまない。立ったまま話すと怖かっただろう」
そう優しい声が聞こえて視線を上げた。
そこには鋭い目が細く、口角が緩やかに上がり微笑んでいた。
ーかっこいい
「あ、あの、僕」
ー?!
話し出した自分の声に驚いた。
声が僕の声じゃない。幼い。
マブロ越しに見えた大きな鏡に自分が反射していた姿を見て目を見開く。
ー子供?!
そこには頭を包帯で巻かれた子供がいた。




