恋心
王宮パーティーは盛大で
キラキラしていて、アルク様の従者でなければ
私は見ることもできなかったのだろうと
凛々しく黒く強い毛並みに
エメラルドの装飾に赤い生地の正装姿が
眩しくアルク様に、見惚れながら感じていた。
「ごきげんようアルク様」
ーこの方ですか、ガウス様がおっしゃっていたのは
確かに茶色の毛並みは綺麗に整えられて
白いドレスは美しく彼女を際立たせる。
「ごきげんよう」
正式な場だ、アルク様は紳士に対応し
そっとアルク様の腕に手を添え
リードされるご令嬢を、私はあまり直視できなかった。
なんだろう…
この胸がざわざわして、痛い。
風邪でもひいたか?
自分の胸を手で撫でる
「どうした?」
前に立っていたアルク様が私に小声で声をかけてきた
ーまずい風邪を引いているかもしれない
「いえ、ちょっと私から離れてください」
私は更に一歩後ろに下がる。
いっきに不機嫌な顔になる。
ーしまった言い方が刺々しかったですね…
もちろん、伯爵家の長男だ。
傍からみたらポーカーフェイスでかっこいいだろう
でも私には直ぐ機嫌が変わるのが分かる。
ーもう、そう分かりやすく怒らないでください。
私は睨まれた仕返しに口パクで、そう答えた。
ーあれ、なんだか、胸の痛みが和らいだな
そうか、アルク様に気にかけてもらって
嬉しかったのか。
きっとこれは独占欲だ。
綺麗な令嬢と踊る
アルク様みて、
私は
その相手が私であってほしと
望んでいるのだ。
決して気付いてはいけない気持ち。
この気持ちに気づかぬふりをして
日々を過ごそう。
きっと、私に向けられている独占欲も向けられなくなるまで
時間は短い。
輝くシャンデリア
綺麗な正装に身を包む貴族たちが
楽しそうに踊っている。
それを私は
見るころしかできないのだから。
私は人間だ。
あの日初めて、そこにあった恋心を自覚した日だった。




