表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄金に輝く瞳  作者: 茜雫桂香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/34

その為に獣医になろうとしたんだ


伯母さん夫婦の態度は突然変わった。


「ねぇ、今日こそ一緒に夕飯食べない?」


今まで2階に上がることを許されなかったのに、

ご飯の誘いをしてくるようになった。


また新しい服や文房具、必要なら塾も手配すると言われた。


「すみません。1人の方が勉強が捗るので」


そういつも勉強を盾に断ると引き下がっていく。


S大に合格したら必ずこの家から出る。

そう誓って僕はジロウと過ごしていた。


キュウ


「ジロウはいつもあったかいな」


抱きしめると頬を舐めるジロウが愛おしく、温かい。


そうして無事にS大の合格発表を見た。

次の日に家を出た。



そこからは、アルバイトをしながら大学で勉強をしていた。

ジロウを家に留守番させることが多くて心苦しかった。


短い時間でもジロウと一緒に過ごしていた。


でも、そのせいで、20歳の深夜バイトから帰宅すると

ジロウは僕の枕の上で冷たくなっていた。



「う、うそだろ、ジロウ!!!!ジロウ!!!」


駆け込んだ動物病院の先生にも首を横に振られてしまった。


「ああ、ああああああ」


僕は何のために今まで生きてきたんだろう。

ジロウを独りにさせて、寂しくさせて、飼い主失格だ。


動物の命は短い。

そんなこと、分かっていたのに。


だから少しでも長生きしてほしい、一緒にいようと


その為に獣医を目指してー



定期健診は欠かさなかった、でも前回の検診日

ジロウは頑なにかごに入らなかった。


「も~初めてじゃないか。ジロウ~予約してるんだぞ」


抱き上げようとすると嫌がる。


実習やテストやアルバイトの日程で今日しか空いていない。


「も~ジ・ロ・ウ!」


怒って言っても、僕に顔を背けるだけで無視だ。

ジロウは頑固だ。

でも僕を困らせることなんて、


本当に今まで無かったんだ。


「分かったよ、また来月になっちゃうけど、今度は絶対連れて行くからな!」


ご飯も食べてるし、動くし、散歩もいつも通りだったから

僕は大丈夫だと思っていたんだ。


その時にはジロウの体に病気が蔓延していたなんて。



大切な白い箱に入れられたジロウをぎゅっと抱きしめる。

このままだと大学も単位を落として退学だ。

首席で合格して、学費免除されているが、単位を落とすなんて許されない。


誰からの電話かも分からない着信が鳴り続けて充電が切れた携帯電話。


ーこのまま


僕はベランダへ出た。

箱を抱きしめながら、このまま柵を超えたら同じところへ行けるかな。


瞼をとじる。

ふわっと風に体をゆだねた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ