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黄金に輝く瞳  作者: 茜雫桂香


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ピスの覚悟



ーあの日、青い花を見せてくれた日

同じ言葉を言われたのに、

同じ感情で聞けない。


僕の胸が苦しくて、ざわついていて


何かを期待して、求めている。






「久しぶりだね」


「そうですね、私は1人で外出するのも久しぶりです」



今日はピスと一緒に昼食をとる約束をしていた。

1週間ほど前に手紙が届いて、

用事で1人ピスが来るということで

昼食でもどうかという内容だった。


もちろん会いたくて約束した。



最近人気の喫茶店に入りお互い注文して料理を待つ。


「忙しいの?」


僕がピスに尋ねると

少し間をおいて


「…来週からはいつでも暇になります」


少し悲しげなピスに


「どういうこと?」


アルクの専属執事兼秘書だった優秀なピス

僕は首を傾げると




「…今週末にはソフォス家を出る予定です」



「え!!!!」


ーそんなの!!アルクが許すはずない!!


それにピスだって!


望むわけ…



僕の表情をみて、こくりと頷いたピスは続けて


「ラズは知っていましたよね、

私がアルク様に特別な感情をもっていたこと

そして、きっとアルク様も…」


「…うん」


2人と過ごしていれば分かること

お互いを想い合い、大切にしていること


それでも、


大きな身分差


変えることもできない種族差


「私達は18歳になり成人を迎えました。

アルク様の身分で婚約者がいないことは問題です。

私は何度も、説得し、出逢いの場を設けてきました。


つい1ヶ月前、アルク様はご両親に私となら結婚すると進言しました


もちろんご両親は猛反対、当たり前です。


するとアルク様は…」



ー想像つくなぁ



きっとその姿は、ピスの瞳にもたまらなく

かっこよく映ったんだろう。



「ソフォス家を捨てるとおっしゃって…」



ーうん。


僕は一緒に過ごしてきた期間中に

2人の気持ちを訪ねたことなんてない

でも、長く過ごした友人だ。



ピスは生涯、

アルクの従者として過ごすと

腹を括っていくのを年々感じていたし




アルクは生涯、

家を捨てでもピスと共に夫婦として過ごしていく

その為にできることは無いかと探していたことを

年々感じていた。



「その日、私は激しく動揺し、

アルク様にひどいことを言ってしまいました。」






ーガタッ


「なぜ!!あのような事をお伝えしたのですか!!」


部屋に戻って私はアルク様を責め立てた。

不服そうに、ドカッとソファに座るアルク様


「今からでも間に合います!!

どうか、訂正し謝罪をしてきてください。」


私の声は届かず


「決めていたことだ」


そう強い眼差しで私を捕らえた。

とっくに溢れかえっている感情を

今さら、さらけ出せと?


どんな気持ちで私が今まで一緒にいたか。


幸せだった学校での生活。

その13年間だけを大切に宝箱に入れて

生きていくと決めたのに。


「迷惑です。

結婚が面倒くさいからと言って

私をだしにしないでください。」


「ーっ!ピス!!」



「私は…



一度だってアルク様を尊敬こそしておりましたが


好意をもっていたことなど、ありません。



獣人は…嫌いです。」



そう伝え、掴まれた腕を振りほどいて

部屋を出て、ご夫妻に


アルク様が婚約者探しを

面倒くさがっているだけの虚言だと進言し


引継ぎが終わり次第退職することを伝えました。


また、私が退職することは、

私が屋敷を出るまで明かさないことと

私がアルク様との接触を避けていることにして、

専属から外れ、今週末の引継ぎが完了すれば出ていく手はずにしてもらいました。







ーピス…


話が聞き終わるころには、料理は運ばれていたけれど

ピスはスパゲッティをフォークでくりくり回すだけで

口にしない。



「凄いですよね、今までお仕えしていた方に

ひどいことを…よく言えたなと自分自身でも驚いています。」



「その言葉も…アルクのためでしょ」


僕はグラタンをすくい上げて口に運んだ。


「故郷が、隣国の山の奥なのです。」


「…うん」


「そこで、のんびり家業でも継ごうかと思っております」


「そっか…簡単に会えなくなっちゃうね」


「はい。なので一度会いたかったんです、ラズに」


「…ピス、僕も会いたかったよ」


覚悟を決めたピスの足取りは強く地面をけっていた

背中は寂しく、震えていたけど。



別れ際、ピスは僕の手を握って


「ラズは、大切な人と幸せになってくださいね」


そう微笑むピスは眩しくて。


「…」


ーえ~僕は研究で、いっぱいいっぱいだよ


と笑うことができなかった。

力なく手を握り返すことしかできなかった。






この世界の身分差、暗黙のルール、種族


商店街を行きかう人々は楽しそうに笑ってる。


この笑顔を守るため


守る立場の人達は動いている、純潔を守ったり、

強い子孫を残そうと、獣人を選んだり。



昨日のカタレフの温かさが嘘のように

体から熱が逃げる。


何を浮かれていたんだろう。



僕は…人間だ。




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