表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
黄金に輝く瞳  作者: 茜雫桂香


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/34

バレないといいな



「お~い、ラズ、いつもの~」


「あ、ケイトありがとう」


「へい」


「少し出るね」


「へい」


季節はすっかり冬で、

僕は厚手のコートとマフラーを巻いて

研究室を出る。



「お疲れさま」


「ありがとう、カータ」




あの日から、1週間に3、4回ほど

キートの代わりにカタレフがお弁当を届けてくれる。


研究所の庭を歩きながら、今日あった話をして

ベンチで夕食を食べる。


そんなルーティンまで出来ていた。


「…ラズ」


僕がサンドイッチを食べ終わると

カタレフは僕を膝の上にのせる。


それが恥ずかしくて、ちょっとだけ、

いつも抵抗するんだけど


ひょい


意図も簡単に僕を持ち上げて

包み込む。


そして僕は30分くらい

柔らかい毛並みと、温かな体温に

意識を奪われしてしまう。


そんな日々が、長い期間続いた。







ー季節は研究室の冷却器が、なかなか部屋全体にまわらず

皆して、シャツのボタンを2つほど開け二言目には


「あっっつい!!」


と発してしまう季節。



陽が陰るとようやく、部屋全体に涼しさがまわる。


「最新の冷却器はないのか…」


ケイトは資料を書きながら毎日同じことを言っている。


「はは、そうだね」


苦笑いして僕も同じ言葉をかえす。


「ラズ、お呼びですよ」


同じチームの人が僕を呼ぶ。


ーうわ、しまった。


今日は汗も凄いし、

なにせ昨日の朝にシャワーをしてから

洗っていない。


ということは実質2日お風呂に入っていない。

カタレフとは距離を保とう。


僕は研究室を出て

少し距離を置いてカタレフに手をふった。


「あ、ありがとう~」


ー臭いかな?


その不安が苦笑いに出る。


その様子をみたカタレフは首を傾げた


「どうしたの?」


「な~んにも」


少しカタレフの後ろを歩く僕を不思議そうに見る


「き、今日はどんな授業を受けたの?」


注目を別に移そうと話題をふる。


「…今日は久しぶりにバイオリンのー」


怪訝な顔はしつつ質問には答えてくれるカタレフ。



「…!!」


カタレフが座ったベンチの

向かいに腰かける僕に驚いている。


「たまにはね」


そう言ってお弁当を広げる僕に不満たっぷりな顔をするカタレフは

足を組んでベンチの背に肘をかける。


ー王座に座っている様にみえる。


ちょっとビビリながら、サンドイッチを食べる。


食べ終わると僕は素早く立ち上がり


「今日はちょっと立て込んでてね」


と言い訳を口にすると

じっと見てくるカタレフは何も言わない


「ほ、本当だよ、まだまだ今日中にやっておきたいことがー」



グイ


話している最中に、腕を引っ張られて

結局僕は膝の上で抱え込まれた。


「わああああ」


僕は慌てて離れようとしたけど、全然ビクともしない

がっちりホールドされて、


ーあぁ臭いよ僕…


恥ずかしくなって

手で顔を隠した。


ぺろ


「ーっ?!」


ーい、いま、僕の首なめた?!


びっくりして振り返ると

不満げな顔をしていたカタレフが、

にやりと悪戯に笑った。



「ラズはいつもいい匂いだよ」


「あぁもう、分かってて意地悪したな」


ー恥ずかしいよ


体温が急に上がっていく感覚に

心臓がうるさい。


ドク、ドク


脈が速い。



ちゅ


首に軽くカタレフの口が当たった。


ーあわわわ


今日のカタレフは意地悪だ。

僕の反応を見て楽しんでるように見えた。


「もう、いいかな?…今日は寝れないよ」


がっちりホールドされている腕に

自分の手を重ねると

カタレフは、また


ぺろ


僕の首を舐めて


「やだね、理由も言わず僕から距離をとった仕返し」


そう言って、僕の肩に顔を置く。


ーなんだろう、今日は日中暑かったからかな

体の熱が上がってく。


「…臭いって思われたくなかったの」


僕の言い訳に、くすっと笑って


「そうかな~て思った。

けど、ラズはいい匂いだよ」


ぺろ、ちゅ


「わあ、ちょっと、それやめて」


恥ずかしくて、熱いし、心臓がうるさい。


後半は大人しく、ただ心臓の音が

カタレフにバレないといいなって

それだけ考えてた。




ー30分くらい経って


僕は解放された、けど全身真っ赤っかな自信がある。


「じゃぁね…」


今日は恥ずかしくて、僕から先に研究室に戻ろうとしたら

カタレフは手を握ってきた

振り返るとカタレフは少し耳を下げて聞いてきた。



「週末…王宮パーティー呼ばれてるよね?」



ーそっか、もう12歳か


「うん、大きいパーティーだからね

ゼテオ研究所員の日頃の労いも兼ねてって

研究員の皆と参加するよ」


王宮パーティーは国の1番の規模で

年に1度開催される。


去年も僕は参加したけど、端の方でケイトと美味しい料理を食べて話していた。


今年は、カタレフとロスカが初めて参加する歳か。


そして、2人とも未だに婚約者がいない。


公爵家だから、きっとたくさんの人々に声を掛けられるだろう





ーそういえば去年、伯爵家に、綺麗な白い狼の女の子をみたな


ケイトに聞いたら、今年デビューの長女だと教えてくれた。

カタレフ達の1つ上の子になる。


ーきっとあの子は、どちらかと婚約を結ぶに違いない。

他にも狼の爵位のある人は何人かいた。

でも、あの子は特別に綺麗だった。


そっか…


「緊張してるの?」


僕はカタレフの顔に手を添えた。


「緊張はしてないよ…でも嫌だなって」


ぺろ


カタレフは僕の添えた手を握ると舐めた。


今日はなんで、そんなに舐めるの?!


「もう、舐めないで」


しっかり掴まれて、手を引っ込められない

引っ込める気も、あんまりなかったけど


ちゅ


僕の手の平に口づけすると


「ラズに匂いつけとく…僕の」


「?!」


「ラズだって正装で参加するんでしょ

きっとかっこいいよ、言い寄られないようにしないと」


「ぼ、僕は言い寄られないよ、

去年だってケイトとずっと料理食べて直ぐ帰ったんだから」


「今年は、分からないでしょ」


「もう、僕の心配よりー」


言いかけてやめた。


なんでだろう。


別に、カタレフがちゃんと好きにならないと

婚約なんてしなくていいと思うんだ。


口を尖らせる僕をみて

カタレフは、なんだか嬉しそうに


「今日は帰るね、じゃぁ今度はパーティーで」


「あ、うん。今日もありがとう」



くしゃ


頭を撫でられて、立ち去る背中を

やっぱり僕は見えなくなるまで動けないでいた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ