獣人の成長は早い
研究所に入職した僕は、
常に時間と勉強と研究に追われていた。
「や、やばい…またキートに怒られる」
僕は目の下のクマを鏡で確認しながら
今日も家には帰れないな
キートの怒った顔が浮かぶ。
今のところ3日か4日に1度しか家に帰れていない。
週末、夕食を食べにイエネオス家に帰れたのも2回ほどで、
ー今は忙しく、落ち着くまで帰れそうにありあせん。
ただ、研究は大変ですが、とても充実しています。
約束を守れなくて、ごめんなさい。ー
そう僕は手紙を出した、
のは…何週間前だっけ?
マブロとアスプからは応援と体を労わるように。と返事がきた。
僕はお手洗いから出て研究室に戻ると
同じチームのケイトが声をかけてきた。
「お~い。ラズ、家族きてて呼んでんぞ」
僕と同じように目の下にクマを作り、長い髪を緩く一つにしばり
大きな丸眼鏡をかけている人間のケイトが力なく外の方向を指さした。
「あ、ありがとう」
キートだ…
僕が1日帰らないと判断した時間くらいに
夜と朝ご飯をお弁当にして持ってきてくれるのだ
本当にキート様様だ~
よたよたしながら、外に出る。
「…ラズ?」
「…カータ」
僕の様子をみて驚いているカタレフがそこには立っていた。
というか
なんだが、体が、逞しく更になったきがする。
身長は元々大きかったが、
筋肉なのか、マブロのように
迫力が…凄い
「…これ、キートから受け取ったんだ」
「あ~お弁当だ~助かる」
「大丈夫?夕方頃にラズの家に行って待ってたんだけど、
夜になっても帰ってこないし
キートは慣れた感じでお弁当つくるし…
まさか…これが日常化してるの?!」
心配そうに研究所の庭を歩きながら
カタレフは言う。
「ちょっと忙しくてね、へへ」
笑って誤魔化しても、カタレフの眉間にシワが深くなる。
「もう半年会えてなかったんだよ」
少し拗ねたように言う
カタレフに促されるようにベンチに座った。
「わあ、もう半年も経ってたのか…時間経つの早いね」
「も~夕食まだなら、今食べる?
キートがサンドイッチにしてたよ」
貰ったお弁当の包みを開けてサンドイッチを頬張る。
「おいしぃ」
「朝は野菜スープとミニパンでスープは温めてねって言ってたよ」
「はーい、ありがとう!」
もぐもぐしている僕を心配そうに見つめつつ
小さなため息をついて
持ってきた水筒にお茶を注いでくれる。
「ふぅ、満たされたよ」
「よかった。少し寝る?」
「いや、もどらなー」
僕はお腹が満たされて、隣に座っているカタレフに寄りかかると
気持ちい毛並みと、僕よりも高い体温が伝わって
少しの間眠りに落ちた。
ー温かい、ふわふわで、気持ちいい
「わ!しまった!!」
ぱち
目をあけると
「まだ30分くらいしか経ってないよ」
カタレフがいつの間にか僕を膝に乗せて包み込んでいた。
離れて立つと冷たい夜風が頬なでる。
ぶるっと体が震えた。
「もう、冬が近いからね」
そう言ってカタレフは
自分が羽織っていたコートを僕の肩にかけた。
「研究所直ぐそこだから、大丈夫だよ
カータが寒いよ」
「僕は体温も高いし、体も丈夫だから平気。」
くしゃと頭を撫でられた。
「無理しないでね」
「うん、ありがとう」
微笑むカタレフは、また来るねと言って帰っていった。
ー大きくなって、温かかったな
たった半年姿をみていなかったとはいえ
あんなに迫力がでるなんて
獣人の成長は早い。
カタレフの大きな背中を眺めながら
見えなくなるまで
僕は動けなかった。




