気付かぬ恋心
ーえ?
突然カタレフが放った言葉が受け止められなかった。
ー「父様と離れたいからじゃなくて?」
どういうこと?
「カータ、どういうこと?なんで僕が…」
カタレフは僕の手に大きな手を重ねた。
その瞳は綺麗で真っすぐな黄金色
「…ラズをずっと見てれば分かるよ
僕はずっとラズを見てた」
「カータ、僕はマブロ様のこと、そういう目でみたことないよ」
はは、と笑うと重ねた手が、ぎゅと握られて
「…そういう目て、どういう目?」
ーえ?
何重にも鍵をかけて、鎖で巻いて、奥の奥の誰も視界にも入らない場所に置いたんだ。
ーこんな醜い感情
そう、確かに、僕は一瞬、
本当に一瞬
アスプが余命少ないと聞かされて
本当に一瞬、
僕はマブロに視線を移した
ーもしかしたら、僕が傍にいられるかもしれない。
ドクン
大きなざわめきが胸を苦しめた。
醜い。
あんなにアスプは僕を愛してくれたのに。
醜い。
やっぱり人間は醜い生き物なんだ。
自分の私利私欲の発想を考えてしまう生き物なんだ。
慌てて閉じた。この醜い感情。
忘れて燃やしてしまえばいいと思った。
その日から薬草本と医療書を狂ったように読み漁った。
何か、少しでもアスプの力に…
いや、
きっと違う、罪悪感からだ。
僕は…
僕は…
確かにマブロに惹かれていたんだ
涙を流す僕に、カタレフは強く抱きしめてくれた。
その温もりが、優しくて、
余計に苦しかった。




