この世界の仕組み
いくつかの冬を超えて、僕は16歳になった。
「おはよう、ラズ、朝置いて行ったね」
「わっ重いですよ、カータ様!日直ですと伝えましたよ」
朝が弱いカタレフは肩に自分の頭を乗せ歩く。
「ですよ…」
言葉遣いがよそよそしいと不満を垂れるカタレフ
「…ここは学校です」
「おはよう!ラズ!」
「おはようございます、ロスカ様、カータ様を早く連れて行ってください」
「はいはい、ほら行くぞ」
「えー嫌だ、まだ一緒にいる」
「ダメです、中棟部は3階ですので、早急に向かわないと遅刻ですよ!」
10歳になったカタレフとロスカは
僕の身長を優に超えて2m近くある。
獣人はやはり、発育が早いんだな。
もう何も敵わないや。
そして、成長していくにつれ
「「きゃー!!!今日も相変わらずカッコイイわ!!」」
周りの人気も凄い。
そして、
「今の人だれ?」
「中棟部にはいないわよね」
「ほら、イエネオス家の従者扱いされてるー」
「えーでも従者なら一緒にいないとじゃないか?」
「従者じゃないってこと?そんなことありえないでしょ?」
僕に対しての興味も大きい。
「…うるさい」
ガヤガヤ騒ぐ自分の学年に対して
冷たい空気と鋭い眼力があたりを凍らせる。
カタレフは僕に対して何か言われると直ぐに怒る。
もう慣れっこなのに
「ラズは家族だ」
おいおい、唯一止められるロスカも怒らないで
僕は気にしてないよ、という気持ちを込めて階段上にいる2人に手を振った
「よ!有名人!」
教室に向かう途中で後ろからアルクに悪戯な笑みを浮かべながら声をかけられた。
「いやいや、僕はおまけでしょ、2人の人気が凄いんだって」
「けどさーもうずっと前からラズの事は皆周知の話だっただろ?
何をそんなに騒ぎ立ててんだよ」
呆れた顔で言うアルクは騒がしい顔だなと思った。
「ご年齢もあるのでしょう。12歳までに婚約者を迎える家系がほとんどですから」
チラっとアルクの様子を見るピスの視線から逃げるように
「あっそ」
と答えて教室に入っていくアルク。
「婚約者か…」
僕が呟くとピスは大きな溜息をついた。
「アルク様も早く婚約者様を迎えないといけませんのに…」
僕達はもうすぐ卒業だ。
各々の家庭の事情はあるだろうし、アルクはガサツだが伯爵家だ。
婚約者を16歳で迎えていないのは珍しい。
それに大きくて逞しいアルクは、モテる。
声がかからない訳がない
それを、するすると言い訳をしてかわしているのが
ピスの最近の悩みらしい。
「ピスは…」
言いかけてやめた。
「いかがしました?」
「…気苦労が絶えないね」
僕が苦笑いすると、再び大きなため息がかえってきた。
アルクはどうするんだろう。
ピスは腹を括っている感じだ。
もちろん、獣人と人が共存する世界。
平民は獣人と人間で結婚して子を産んだりもしている。
身分が高くなればなるほど、純潔が求められるし、
この国の爵位をもつ家系は獣人しかいない。
獣人と人間が子を産むと、体内はどちらかの血しか引き継がれない。
瞳や髪の色は獣人だが、体は人間であれば、人間種族に分類される。
身体能力も人間とかわらない。
獣人の姿で生まれたら、身体能力も獣人と同じだ。
人間の血は瞳の色や、毛色が少し薄くなる
【例】
黒い毛並みに赤い瞳の熊族の獣人×色白の肌に茶色い瞳の人間から生まれる子供=
①グレーの毛並みで茶色い瞳の熊族の獣人
or
②色白の赤い瞳で真っ黒な髪の人間
しか生まれない。
よく前世の漫画やアニメにある人間に耳や尻尾だけ生える種族はいないということだ。
その代わり、男女の性別だけで子供が生まれるわけじゃない。
もちろん男女の性別の方が子を成す確率は高い
が
同性でも子を成せる世界。
しかし交わる際必ず飲まないといけない薬がある。
体に子を宿す側が、その薬を飲むこと、
婚姻をする際、婚姻証書に血印をお互い押し
教会へ祈りにいき、神父より夫婦と認められていること。
その2つの条件が必須になる。
また2つの条件を満たしていても
異性よりは子を成す確率はかなり低い




