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短命の少女は創作の神に挑む

作者: 鍋の地
掲載日:2025/11/04

神に挑む少女の話。

「こんちには、寒いね。調子はどうかな」

僕は微笑んで聞いてみる。

反応はない。

個室。

今日も少女は創作の神に挑んでいる。

尊敬する、本当に。

僕は静かに椅子に座る。

よし、ミカンをむこう。




「ミカンあるからね」

「うん」

返事は、返ってくる。

手は止まらないけど。

ふう、1個むけた。これは、なかなか上手いんじゃないのか? 見てくれよ、この皮。切れてるのがない。綺麗だ。

そして、2個目に僕は取りかかる。

今日持ってきたミカンは、5個。

全部綺麗にむいちゃうぞー。




「ふう」

「あ、休憩する?」

「いたんだ、君」

「うん、いました。ミカン5個、綺麗にむけました、見てくださいっ」

じゃじゃーん、と。

「皮も見て、皮」

「いや、こんなに食べれないし」

1個、食べてくれる。

「美味しい」

笑顔で褒める少女。

「よかった」

僕も笑顔で返す。

そして、休憩は終わる。

再び、執筆がはじまる。

残りは、僕が食べよう。

「うん、美味しい」




僕も、この人も、中学3年生。

けど、医者によると、高校進学は難しいかもしれないらしい。

短命。

小さい頃から、この少女は言っていた。

「なんとなくだけど、私はすぐに死ぬかもしれない」

そして、今年の春、入院すると、執筆をはじめた。

創作の神への挑戦。

最高の作品を遺し、死ぬ。

自分は死んでも、名前は残る。

僕は、この人にとっては、どうでもいい奴かもしれない。

けど、それでいい。

本気で神に挑むこの人を応援できれば、それでいいんだ。

恋は、叶わないんだろうなあ。


読んで頂き、ありがとうございました。

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