6 やっと発見
広範囲に広がる中年地帯。スライムは出るがビッグラットやホーンラビットは出ない場所を求めて少しだけ奥に進む。
人の少ない場所、又は元気な中年男性のいない場所を探しながらフラフラと彷徨う。
草原をよく見てみると、もう少し先に茂った芝生地帯を発見。10cmくらいの芝生だったのが倍以上に茂ってワサワサしてる。他にも茂り地帯が広がっている場所があるがそこには中年男性はいない。ポツポツと若者グループがいる。
「茂り地帯は中年には危ないのか。」
多分、他の2種類が出るんだろうな。安全第一に、茂り地帯に近づき過ぎない、でもギリギリを攻める。
以上をモットーにダンジョンを徘徊すること約40分。歩き疲れ、もう帰りたいと何度思ったことか。やっと見つけました、ベストポジション。
周りに人が少ない上、1番近くの中年男性はとてもお疲れのよう。多分、私と同じように彷徨ったに違いない。これで後はスライムが出るまで待つだけだ。
「レジャーシートより折り畳みイスが必要だ。」
足がしんどい。座りたい。運動不足のおばちゃんには歩き続けて立ち続けるのは1時間が限界だと思うの。40分只管に歩いて更に10分立ちっぱなし。後10分待ってスライムが出なかったら一旦戻るわ。
茂り地帯からは少し離れているけど、絶対安全ってわけでもないからここでは座れない。頼む、出ておくれ!
「って、全然出てこないじゃん!」
出てこない場所だから空いていたのか。…最悪だ、こんなに待ったのに。悔しいっ!
「一旦戻ろう。ムリして怪我でもしたら元も子もないし。」
切り替えは大事だ。安全なところで水分補給して気分を変えよう。
そう決めてダンジョンゲートまで戻ることにした。他の人の邪魔にならないように、人の少ない場所をフラフラしながら帰る。
何となく前を見てると蜃気楼のような何か変なモヤモヤしたのが見える。足元もフラフラしてるし、ヤバい、脱水症状かもしれないって思いながら急いでリュックから水筒を出し勢いよく飲む。
モヤモヤはまだモヤモヤしている。
リュックのポケットから塩飴を取り出し舐める。少しでも冷えるように水筒を首すじに当てたりしながら症状が落ち着くのを待った。
モヤモヤはまだモヤモヤしている。
一旦座って大人しくしたほうがいいかな、と思いその場に座った。水筒の水でハンカチを濡らし、おデコに当てようとしたが、ファンデーションが落ちるからやめて首すじに巻いた。
モヤモヤはスライムになっていた。
「出たぁー!」
出るとは思わなかったスライム。準備も何もしてなかった。あたふた、ガチャガチャと剣を取り出し、何も考えず、フンッと振り下ろす。
ビチャッッッ、………ポンッ
「……呆気ない。あんなに歩いたのに。」
まぁ、倒したから良しとしよう。ちょっとこれじゃない感はあるけどまだ初日だし。これからだし。
切り替えてドロップ品の確認をする。ちっちゃい魔石が落ちていた。
「こんなもんだよね、スライムだもの。」
モヤモヤは脱水症状ではなかった。歩き疲れてフラフラだけど体調は悪くない。少し座って休んだのでちょっと元気だ。塩飴美味しいし。
「さっきの場所に戻るか。リベンジしよう。」
まだたった1個の魔石しか手に入れてない。このままでは納品数が足りない。
ちなみに私はFランク、1番下のランクだ。全員Fランクからスタートしてランクを上げていく。
Fランクの納品数は、1週間でスライムの魔石10個だ。仕事の都合で来れない人もいるので、まとめて提出するのも許可されている。4週間で40個とか。探索者アプリで報告可能だ。
多分、普段なら1週間で10個なんて余裕だと思う。職業やスキルによっては攻撃力がない場合もあるから、それ用に最低限のラインで設定してあるんだと思う。
ただ、今はムリだよ。人多過ぎ、スライムいな過ぎ。今日1日粘って個数稼がないと。




