40 実家へ行こう
1体ずつ確実に倒しながらダンジョンの奥に進む。ホーンラビットが向かってくる瞬間はまだ少し怖いけど、ビビりつつも何とか頑張っている。
ドロップ品もだいぶ集まってきた。毛皮と角と肉だ。毛皮は大きめのハンカチサイズで鞣し済みっぽい状態だった。毛の部分はフワフワで変な獣臭さもない。このまま何かに使えそうだな。
ドロップした毛皮は何故か白い毛皮が多い。生きてる魔物の時は灰色の毛皮だったのに…。灰色の毛皮もドロップしたけど、白い毛皮のほうがキレイでいいな。
肉は何故か葉っぱに包まれている。スライムゼラチンは透明な袋、スライムゼリーは銀色の袋、スライムグミは小瓶に入っていたのに、何故葉っぱなのか?
それっぽいといえば、それっぽい。誰が見ても肉のドロップ品だと感じるような見た目をしている。異世界っぽい感じがして少しテンションが上がるが、私としては真空パックに入れて欲しかった。衛生面が少し気になるところだ。角はあとで調べよう…。
とりあえずは順調に倒せているので、油断しないように気をつけよう。だいぶ奥まで進んでいるから、何かあった時が大変だ。
周囲の魔物を倒し終わったあとにお昼休憩をする。さすがに、ここでレジャーシートを敷いてのんびりは難しいので折り畳みイスを使い、手早くおにぎりを食べて済ませた。
軽く休憩したあとはリポップしたホーンラビットを順に狩っていく。まだ何度か攻撃しないといけないけど、最初よりは効率よくなったと思う。帰る頃には1時間で10体のホーンラビットを倒せるようになっていた。
今日は慣れないことをしたので、だいぶ疲れている。盾を持っていた腕はパンパン、片手で剣を振っていたのでこっちの腕もパンパンだ。手のひらも痛い。十分頑張ったからもう帰ろう。
帰り道、バスに乗っているとちょうどこの辺りにスーパー銭湯があったことを思い出し、咄嗟に降車ボタンを押した。疲れたからお風呂で癒されたい、風呂上がりにマッサージをうけたい。フラフラとスーパー銭湯に吸い込まれていった。
キレイにしてからお風呂に入りぐったりとしている。家でなら、はあぁぁ~っと声が出ていただろう。さすがに外では恥ずかしいので我慢した。
いろんな種類のお風呂があり、サウナや岩盤浴など一通りまわって楽しんだ。上がったあとはマッサージをうける。別料金で1回30分、値段も時間もちょうどいい感じ。肩と腕がツラいことを伝えたらむしろ全身ですよって言われたので、今後は定期的にマッサージをうけようと決意した。
帰りはもう1度バスに乗らなきゃいけないので我慢しようと思ったけど、いや、ムリだろと早々に諦め、食事処でビールを頼む。
「んん~っ、たまらんのぉ~。」
ついグビグビと一気に飲んでしまった。はぁー最高、このまま横になりたい。食事処の隣には休憩スペースみたいな場所があるんだが、そこで休んだらしばらく帰れなくなりそうだ。横になっているおっちゃんを羨ましそうに眺めるだけにしておいた。
ものすごく我慢して1杯だけ飲んだら帰ることにした。ちょうど帰宅時間だったのもあり、バスの中は微妙に混んでいる。お風呂上がりの匂いとビールの匂いはどっちが勝つだろう? 酒臭くなってないことを祈りつつ、下を向いて静かに呼吸した。
ーーーー
翌日、昨日のお風呂とマッサージのおかげで身体はダルいが体調はとてもいい。久しぶりにシャキっと目覚める。
今日と明日は片付けのために実家に向かう。両親が亡くなったあと大体は片付けてあるんだけど、自分が住むならもう少し片付けないといけない。必要な物と大事な遺品だけを残して他は処分してしまおう。
車でドライブを楽しみながら実家にいく。2~3ヶ月に1度、家の風通しのために来ていたから久しぶりって感じはしない。両親のいない実家にくると、なんか心がギュッとするから最低限しか来てなかったんだよね。
実家に到着しチラっと庭を見たら雑草がすごいことになってる。前回来た時はまだ寒かったし草もそんなに気にならなかったけど、今日はムシムシするしボーボーだ。草むしりだけで土日が終わるんじゃないだろうか。
家の中を掃除しようと思ってたけど、庭から手をつけることにしよう。真夏の炎天下で草むしりをすることだけはごめんだ。扉や窓を開けたあとはひたすらにむしり続けた。
黙々と作業していると玄関の呼び鈴を鳴らす音が聞こえた。
「ん? 家の呼び鈴か?」
スッピンに日焼け止めしか塗ってないし、草むしり中で汗だく、軍手は土だらけ。この姿で人に会いたくない。家の呼び鈴じゃないことを願った。
「おーい、聞こえてないのー。早くー。」
大声で話しながら呼び鈴を何度も押すバカがいる。隣に住む友人だ。隣といっても田舎なのでそれなりに距離が離れているが。
「庭にいたのか。聞こえてたなら早く出て来いよ。あっついだろ。」
「……。」
こんなデロデロの状態で人に会いたくなかったんだよ、察しろ。心の中で悪態をつきながらヤツと向き合うのだった。
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