29 面談しましょう
「業務の引き継ぎはすぐに出来るので問題はないと思います。必要なことはマニュアルにもまとめてあるから、それを参考にしてもらえば対応可能です。」
「そういえば、5年前にマニュアル作ったんだっけ?」
「はい。変更があった箇所はその都度訂正してあるので、今のヤツが最新版ですね。」
「完璧だね。あとは、次の係長を誰にするかかな?」
「それは課長に任せますが、皆仕事が出来るので大丈夫ですよ。上手くコミュニケーションを取れる人がいいとは思いますが。」
「わかった。いつ頃退職する?」
「諸々終わり次第って思ってました。今すぐ、絶対に退職したいって感じではないので、次の係長に必要なことを教えて、ちゃんと引き継ぎしてからにしようと。」
「なるほどね。長くかかっても半年くらいか。」
「誰にするのかにもよりますが、そんなに要らないと思います。最近も金曜日のことで仕事任せたりしてましたけど、問題なく出来てるみたいですし。」
「それなら、早めに上に報告しないとな。」
「私はこの後人事に行って来ます。」
東堂課長に報告後は人事に行き、偶々そこにいた部長と面談することになった。東堂課長には伝えたことを話すと3人で面談開始。
他の課でも退職した人がいるから詳しく話を聞きたいらしい。私は出来るだけ細かく問題を上げていった。今後の会社運営の参考になればと思い、改善点や要望を伝える。
「土日の混雑っぷりはすごいですよ。中年率も高いですし。」
「なるほどなー。この前退職した子は探索者を専業にしたいってことしかわからなかったからな。」
「仕事を続けながらだと土日しか行けないですから。ダンジョンによっては仕事終わりに行けるところもありますけど、移動時間と滞在時間を考えるとなかなか…。」
「若い子なら大丈夫かもしれないけど、僕等くらいの歳になると仕事後は大変だろうね。」
「私はムリです。」
「うちの課の4人も平日に有給使ってダンジョン行ってたし、今後はその辺も何とかしないとな。」
「せめて平日に半休が取れれば仕事を続けながらでもやっていけるんですけどね。」
すぐに解決策を出せるわけじゃないから何も決まってないけど、両立したい人が出来るようになればいいな。
私の退職も引き継ぎや諸々が終わり次第でと認めてもらえた。部長が夏のボーナスはしっかり貰うようにと言ってくれたので、その分出来る事を頑張りたいと思う。
ーーーー
面談終了後、結構話し込んでしまったので急ぎ目で仕事を進める。今日はそんなに多くなかったから何とか時間内に終わりそうだ。
会社側は社内規定の一部を変更することも視野に入れているらしく、仕事と探索者を両立させるためにはどうすればいいか案を出して欲しいと言われた。
私のように仕方なく探索者をやっている人も多いので、そんな人達がムリなく仕事を出来るようにいい案を出したいところだ。
お昼休憩中、社食でご飯を食べていると般若みたいな顔をした木本さんがやって来た。目がバキバキで怖いんだが…。誰か探しているようでキョロキョロしている。また中原君でも追いかけてるのか?
ちょうど食事を取ってきた安田君が向かい側に座る。
「また中原さんのこと探してるみたいですよ。木本さんも懲りないですよね。」
「うわー。あんな事したら逆に嫌われるってわかんないのかな?」
「私に話しかけられて嬉しいでしょって思ってんじゃないですか。」
「若い子ってすごいわー。」
「若さ関係ないし。」
苦笑しながら木本さんの様子を観察していると、遠藤君と伊東君が食事を持ってやって来た。
「中原君は逃走中?」
「はい。時間をズラして休憩するそうです。」
「もう少しだけ耐えてもらうしかないんだよね。説教しても聞かないし。」
「懲戒処分の件、名前は出てなかったけど内容的に木本さんの事ですよね。皆わかってると思いますけど。」
「まあ、そうだね。」
「減給されても相変わらずかー。」
「多分、状況がわかってないんだろうな。」
「あり得る。」
3人と一緒にヒソヒソ話しながら食事を終え、からまれないようにそっと社食を離れた。これも東堂課長に報告だな。
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