22 続トラブル
そっと会議室の扉を開けると目の前には木本さん。ちょっとホラーなんだが…。
「木本さん、貴方に大事な話があるので、会議室に入っていただけますか?」
「中原さんは何処ですかぁ?」
「中原君とはあとでおしゃべりしてください。とりあえず、中に入ってくれる?」
「はぁ〜い。」
中原君は内開きの扉の裏側に潜んでタイミングを見計らっている。木本さんには奥の席に座ってと促し、扉に背を向けさせた。
木本さんが会議室の真ん中辺りまで進む。中原君を探してキョロキョロしているが、扉に意識は向いていない。ぱっと見ていないのに気づき、今度は机の下まで探し始めた。
今だっっ! 中原君を扉の裏側から出し、そのまま会議室の外へ。静かに扉を閉めて木本さんのもとへ向かった。
「中原さん、いないんですけどぉ、何処ですかぁ?」
「それよりも、話を聞いてくれる?」
「いや、中原さんがぁ~、」
「その前に話を聞いてくれる?」
「でも、中原さ「だから、話を聞いてくれるかな!」
はい、黙るまでずっと中原中原言ってたよ。うんざりだよ。おばちゃん、イライラしちゃうわ!
「彼に迷惑をかけている自覚はありますか? もし自覚がないなら、貴方は中原君に迷惑をかけているので行動を改めるよう忠告します。」
「えぇ〜何言ってんの、おばさん。もしかして、中原さんのこと狙ってる? ちょっと頭大丈夫?」
「狙っていません。彼はただの部下です。」
「ムキになって怪し〜。おばさんとじゃ釣り合わないから諦めなぁ。」
「彼は部下でしかありません。貴方の行動が他人にも迷惑をかけているので注意しているんです。」
「ちょっとウザい。そんなこと言われる筋合いないよね。てか、中原さん何処?」
「彼ならとっくに帰りましたよ。」
「はぁ? 係長、最低〜。」
話は終わってない、というか、伝わってないのにバタバタっと会議室を出て行った。疲れた…。中原君、逃げられたかな? これ以上は対処しきれんっ。
「はあぁぁ~、帰ろう。」
自分の机に戻ると伊東君が苦笑いをしながら待っていてくれた。
「お疲れ様です。中原さんは無事に逃げました。外で追い付かれなければですが。」
「もし追い付いたらすごいよね。探索者になれるんじゃない? 私より才能あるよ。」
「確かに。」
そんな話をしながら、私は持っていたボイスレコーダーを机の上に置いた。私にとっては必需品。いろんな意味で。
「録音してたんですか? 準備いいですね。」
「昔、いろいろあったから必ず持ってるのよ。伊東君も1つ持っておくといいわよ。」
「ここの会社、かなりホワイトだからパワハラなんてないと思いますよ。今まで何ともなかったですし。」
「面倒な人と話す時はあった方がいい。言った、言ってないで無駄な時間使うから。あと、自分の無実を証明する為にも。」
「何があったのか気になるけど、怖いんで聞かないでおきます。」
その後、フロアに戻ってきた東堂課長にさっきの出来事を説明し、録音を聞いてもらった。明日、何かあったら中原君のフォローをお願いしますと伝え、ついでに、ボイスレコーダーの記録も渡しておいた。
「これ、会話になってないね。」
「…会話って何ですかね?」
「うん、あとは任せていいから早く帰りなさい。真っ直ぐ帰るんだぞ。」
ボイスレコーダーからは私のクソデカため息が聞こえていた。
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