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おばちゃん、探索者になる。〜老後のためにも溜め込みます〜  作者: 熾之


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16 イライラするっ



 「あぁ〜、何の話ししてるんですかぁ~。」



 間延びした鼻にかかる声を出しながら木本さんが混ざる。中原君、急にスンッてしたね。苦手なんだね。



 「仕事の話しをしていただけよ。引き継ぎも終わったから、皆もう帰るところ。」


 「えぇ〜、おしゃべりしましょうよぉ~。」


 「貴方、今日の仕事は終わったの? 遠藤君に確認してもらった?」


 「大丈夫ですぅ。私、仕事出来るんでぇ。」


 はぁぁ!? サボってばっかりだろうが!


 「てか、係長、仕事休み過ぎじゃないですかぁ。ずる〜い。」


 「ちゃんと申請して許可をもらってます。ずるくはないですよ。」


 「ずるいですぅ。皆さんもそう思いません?」



 皆さん、顔引きつってません? 私も引きつっているとは思うが。この子は何で気が付かないんだろう?



 「ずるいとは思いませんよ。私達も有給取りますし。」


 「木本さんも休みたいなら理由を説明して有給取れば?」


 「もうないんですぅ。」


 「じゃ、しっかり働いてください。」


 「係長は講習があるから休んだんですよねぇ。私も出れる講習ないですかぁ?」


 「自分で探してみてください。あ、遠藤君来ましたよ。」


 「えぇ〜…」




 きつい、いろんな意味できついわ。遠藤君、頑張れ! 回収してくれてありがとう。残業はすまんっっ。




 「はぁ~、木本さんって何とかならないんすかね?」


 「すでに課長に報告済み。教育係だった遠藤君はもう少し頑張りたいって言ってるし、何かあったらサポートはするけど。木本さん次第かな。」




 ちょこちょこ愚痴を挟みつつ雑談を再開。私が教えてもらってばかりだが、彼らは楽しそうに話してくれた。私は参考になったファンタジー小説を勧めることしか出来なかったが。



 「そういえば、宇佐見係長は何の講習を受けたんですか? 俺は最初の講習しか受けてなかったんですけど。」


 「実技講習だよ。武器や防具の使い方を教えてくれるヤツ。本当に基本的な事ばかりだから、必要のない人も多いんじゃないかな。」


 「へぇ~、そんなのあったんですか。」


 「私は盾の使い方を教えて欲しかったから講習を受けたけど、意外とためになったよ。使ったことのないタイプの武器や防具を使うなら持ち方から教えてくれるし。」


 「盾かぁ。今はまだ必要ないけど、本格的に攻略するなら欲しい防具ではある。」


 「ソロだと盾って使いにくいんですよね。バックラーシールドくらい?」


 「あのお鍋の蓋?」


 「確かに鍋蓋サイズ!」


 「係長は盾買ったんですか?」


 「買ったよ。某国の軍用ライオットシールド。」


 「ガチのヤツ!?」


 「ほら、怪我が怖いじゃない。ホーンラビットって角生えてるでしょ。あれを防ぎたかったのよ。」


 

 こういう感じ、とジェスチャーで伝える。盾を構えて少しずつ後退する動き。


 「ホーンラビットは真っ直ぐに突っ込んで来るから避ければ簡単に倒せますよ。」


 「おばちゃんの動体視力をなめないで。ついでに運動不足なの、絶対当たるわ。」


 「だからデカい盾なんですね。納得。」


 「透明だし、様子を見ながら諦めてくれるまで耐える予定よ。」


 「それじゃ倒せないか。ホーンラビットの肉、美味いのにもったいないですけどね。」



 魔物のドロップ品には肉もある。DTubeでも料理動画が投稿されてたし、探索者協会でも買取・販売をしている。鶏肉みたいな味で食べやすいようだ。


 ドロップ率は5体に1個くらいで肉が出るらしい。他は角と毛皮。何に使うかは不明だ。



 「いつか機会があれば挑戦してみるけど、もうしばらくはスライムでいいかな。安全が1番なので。皆も気を付けてね。」


 「了解です。」




 途中、面倒な邪魔は入ったがとても参考になる情報をもらえて助かった。


 いつか恩返しをしないといけないな。





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