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第5話:バディ結成! 世界を救う条件

翌日、昼休みの屋上。


風はやや強く、空は秋晴れ。

だが俺たちの胸の中は、どこかざらついていた。


「ターゲットは……木下だな?」


「情報科の教師で、個別に呼び出す生徒が異様に多い。

しかも、使ってるPCからは不審なプロトコル通信。完全に怪しい」


剛が携帯をいじりながら言った。


「今朝、裏ルートで木下の素性を探った。

こいつ、元々は某国防省の“分析官”だったらしい。

でも3年前、突然教育界に転職して、今はこの学校の教師」


「スパイか……?」


「可能性は高い。しかも、N.O.A.が雇ってる“現場調査員”のプロファイルに一致してた」


俺たちは無言で顔を見合わせた。

ついに、学校の“中”で敵と対峙する日が来たのだ。


「昼休みの後半、木下はよく旧館の資料室で休憩してる。

そこに忍び込んで、端末のデータを抜く。どうだ?」


「OK。俺が先に侵入してシステムをダンプ。剛は外で見張り、何かあったら合図」


「了解。バディ作戦、開始だ」



旧館の資料室は、生徒はほとんど立ち入らない場所だった。


薄暗い室内、古びた書棚の隙間を縫うようにして、俺はゆっくりと足を進めた。


木下のPCは、室内奥の机の上にある。


パスワード? 関係ない。

指が踊り、10秒で解除。


(さぁ……何を隠してる)


中には、複数の暗号化されたフォルダがあった。

「Class_A」「Key_Protocol」「LIVRA_Backup」——どれも、N.O.A.の中核に繋がるキーワード。


「……やっぱり、黒か」


すぐにデータを外付けストレージにコピー。

あと1分で完了する。そう思った瞬間——


「やれやれ、まさか君がここに来るとは思わなかったよ、山田くん」


背後から、低く冷ややかな声が響いた。


振り返ると、そこには木下が立っていた。

黒縁メガネの奥の目は笑っていない。


「君の動き、もう1週間前から追ってたんだ。

リヴェラに触った瞬間から、君は“鍵”としてマークされた。

そして、もうひとつの“実験”の対象としてもね」


「……何の話だよ」


「プロジェクト・レゾンの“第2段階”。

この世界を“選別”する、その第一歩。

——君は、それに必要な存在なんだよ」


その時、剛の叫び声が背後から響いた。


「山田ァッ!! 下がれッ!!」


ドンッ!


ガラス窓を突き破って、剛が乱入してきた。

拳が木下の頬を捉え、彼は壁に吹き飛ばされた。


「ぐっ……ッ!」


「遅ぇぞ! 間一髪だったじゃねぇか!」


「お前の作戦通りだろ! 俺が囮、剛が突入!」


俺は木下のPCからデータを引き抜くと、剛とともに出口へ駆けた。


だが、その背後で木下の声が響く。


「逃げても無駄だよ。

リヴェラはもう、“君たちの未来”すら、記録しているんだから……!」


バチッ。


室内の蛍光灯が一斉に爆ぜ、背後が闇に包まれた。



放課後。俺たちは裏山の古びたバス停にいた。


「……あの教師、完全にN.O.A.の犬だな」


「いや、“もう一段階上”の何かに関わってる気がする」


俺はデータを解析しながら、つぶやく。


中には、ある一文があった。


《プロトコルKey:R.0.M — Next Phase Start 10.21》


「10月21日……何かが起きる」


「それが“選別”の開始ってわけか?」


「まだ全容は不明。でも、確実に近づいてる。

N.O.A.だけじゃない。“世界のルールそのもの”が動いてる」


剛が黙って、俺の肩に拳を当てた。


「じゃあぶっ壊そうぜ、世界のバグ」


「——あぁ、バディとしてな」


俺たちの物語は、まだ始まったばかりだ。



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