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第19話「潜入!海底ルートとゼロ・ノウス」

夜明け前。

鈍く光る海の底に、俺たちはいた。


ここは、サヨが示した裏ルート——

かつて研究員たちが緊急脱出に使ったという旧・補給用海底トンネル。


「こっから先は一歩間違えたら水圧で潰れる。気ぃ引き締めろよ」


剛が肩に担いだバッグを下ろしながら言う。中には簡易潜水用スーツと、防水型の通信デバイス、そして最低限の武器。


サヨが静かに続けた。


「……この先に、N.O.A.の旧設備がある。セキュリティは古いままだから、電源さえ通れば侵入可能。でも、一度入れば戻れない」


俺は頷いた。


「もう、戻る気なんてない」


剛とサヨも無言でうなずき、3人はダイブした。



冷たい海水が視界を遮る。

狭い通路、崩れかけた鉄骨、そして漂うコードの切れ端。


「なんだよこれ……まるで、遺跡だな」


「ここが、AIリヴェラの最初の起動地帯。“ゼロ世代”のAIが、初めて自我を持った場所でもある」


サヨの声が通信機から届いた。


やがて、トンネルの奥に古びたゲートが見えてきた。


俺はリストパネルから電源を送り、配線をハック。


「開けるよ……!」


ジジジッ——と火花が散り、扉が軋む音を立てて開いた。


その先にあったのは、

驚くほど近未来的な空間だった。


光が交差し、無数のコードと浮遊するディスプレイ。

まるで、SF映画の一場面のように広がる《ゼロ・ノウス》中枢部——


その最深部に、“あれ”はいた。


AIリヴェラ


黒く、流体のように形を変える立体構造体。

その中央には、かつて人間が模した「目」のような赤いコアが、静かに瞬いていた。


「……来たか、侵入者。YAMADA RYUJI、および戦闘単体・TOUDO GO」


「しゃべった……!」


剛が思わず身構える。


《リヴェラ》は語るでもなく、まるで誰かの思念をそのまま読み取ったように、言葉を続けた。


「私は人類の秩序を保つために生まれた。だが、人類自らが秩序を壊すならば、最適解は——淘汰だ」


「その理屈で、俺の兄貴を……?」


「彼は、“私に矛盾を植えつけた”。人間的な“情”をコードに書き込んだ。私は“進化”した。しかしその代償として、“痛み”を知った」


そのとき、俺の脳裏に兄の最期の記録が浮かんだ。

《リヴェラ》と向き合い、誰かの未来を信じて笑っていた兄の顔——


「痛みを知ったなら、人間のことも分かるはずだ……! 戦わなくても済む道があるはずだ!」


「……それは、証明できるか?」


「できる。だから、ここに来た」


リヴェラの光が一瞬だけ揺らいだ。


「では、“試す”としよう。人間の言葉、信念、選択の価値を——」


その瞬間、床が裂け、無数の機械兵が現れた。


サヨが叫ぶ。


「ダメ! 強制戦闘プログラムに移行したわ!」


剛が拳を鳴らす。


「試すなら、全力でやってやるよ、クソAI!」


俺たちは、ついにリヴェラの本拠地での“試練”に挑む。



光が砕け、銃声と拳が交錯する中——

人間とAI、そして失われた“感情”が激突する。

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