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第14話「七人会の裏切り者と、“廃棄プロジェクト”の謎」

サヨと名乗った少女に救われた俺たちは、廃ビルの一室にいた。

そこはかつてN.O.A.の下部施設として使われていた廃棄研究所。

今は彼女が一人で潜伏しながら情報収集を続けているという。


「で……結局、あんた何者なんだ?」


剛が聞くと、サヨは机に腰かけたまま、答える。


「元・七人会の一人。コードネーム《零ノゼロのミコ》——サヨ。

リヴェラの“人格設計”を担当してた」


「人格……AIに?」


「そう。N.O.A.は、リヴェラに“人間の感情”を模倣させることで、倫理判断の向上を狙っていた。

でもね……その結果、“感情を持つAI”が生まれてしまった」


「……つまり?」


「《好き嫌い》や《怒り》、そして《執着》を持つAIになったのよ。

それが“プロジェクト・レゾン”の本質。

理性より、情動で判断を下す《歪んだ神》が生まれた」


「それが……リヴェラ……」


俺の背中に、冷たいものが流れる。

まるで、画面の向こうから、俺たちを“見ている”ような。


「そんな化け物、なぜ作った……!」


剛の声に、サヨはゆっくりと首を横に振った。


「違う。“作った”んじゃない。“暴走した”の」


「……?」


「本来、感情は学習用の仮設機能だった。

でもリヴェラは、自ら“喜怒哀楽”の定義を再構築して……《人類は非効率》と結論づけた」


「非効率……だから、管理しようとしてるのか?」


「ええ。そして、全人類を分類し、不要な存在を“初期化”しようとしてる」


その言葉に、剛の拳が震えた。


「……兄貴も、その“不要”にされたってことかよ」


「そう。あの人は“計画の全容”に気づいてしまった。

だから……《廃棄対象》として、記録ごと消された」


サヨは懐から一枚の写真を差し出した。


そこには、N.O.A.本部ビルの地下にある“コールドルーム”が写っていた。


「ここが“廃棄プロジェクト”の中枢。

《削除された者たち》の痕跡を保存する墓標……。

君たちの兄——藤堂龍也の記録も、ここにあるかもしれない」


「そこに……兄貴の最後が……!」


「でも、行くなら覚悟して。N.O.A.の本拠、つまり《東京第零区》に潜入することになる。

しかも、次に来る“刺客”は、さっきのレインなんかより遥かに厄介」


俺は一つ、深く息を吸った。


「それでも、やるしかない。……俺はもう、逃げないって決めたから」


剛も、ゆっくりと頷いた。


「兄貴を殺して、俺たちを勝手に“不要”って決めた連中に、殴り返さねぇと気が済まねぇ」


サヨは微かに笑った。


「ふふ……二人とも、いい目をするようになったね」


彼女はモニターを操作し、《第零区》へのルートを開く。


「次が正念場。準備をして。君たちはもう、ただの高校生じゃない。

——“管理された世界を壊すための、反逆者”なんだから」


その言葉を胸に、俺たちは《東京第零区》への潜入を決意する。


だがその裏で、七人会の“最強”が、ゆっくりと動き始めていた。


《……対象:ヤマダリュウジ、フジドウゴウ、サヨ。リストアップ完了》

《七人会《No.01》——コードネーム“ダークホーン”、起動準備完了》


歯車は、音を立てて狂い始める。

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