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【第五章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第五章:装備作り? いいえ、試練のフラグです

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92:撃鉄が落ちる時、フラグは鳴る

 焼け焦げた広間に、なおも赤熱した空気が渦巻いていた。

 ソーマの手にはリシューから託された拳銃がある。

 重さ以上の責任がその銃に込められていると、彼はひしひしと感じていた。


(この銃で……決めるしかない。ここで仕留めなければ……誰も生き残れない!)


 しかし、敵も悠長ではない。

 宙に浮かぶ子供が、にやにやと口角を吊り上げて告げる。


「相談はもう終わった? ふふっ……なら、こっちもちょうどいいね。チャージまでの時間稼ぎにはなったけど――そろそろ動こうか」


 ドラゴニカが咆哮をあげ、巨大な爪を振り下ろす。

 轟音と共に石床が粉砕され、衝撃でソーマたちは吹き飛ばされそうになる。


「くっ、全員、立て直せ!」


 ゼルガンが叫び、盾を突き立てて衝撃を受け止める。

 背中を預けるように、ドワーフの兵士たちも次々と隊列を組み直していった。


「おい、ソーマ!」


 その混乱の中で、リシューが息を切らしながら声を張り上げる。


「このゴーレムはなんだ? 普通のドラゴンにしちゃ無茶苦茶な形状してやがる!」

「そうだ……! 五体のゴーレムが合体し、そこからさらに変形して今の形になってる!」


 ソーマは振り向きざまに答える。

 リシューはごつい眉をひそめ、唸るように言った。


「無茶苦茶だな……だが、なら弱点はある。構造が複雑になればなるほど、継ぎ目や接合部は脆くなるんだ! 肩の付け根、腰の回転軸、そして翼の関節! そこを狙え!」

「なるほど……!」


 エルーナの目が輝き、すぐさま魔力を集中させる。


「なら、私の魔弾であの関節を狙う!」

「俺も援護する!」


 ジョッシュも接合部に向かい炎の魔球を投げる。

 攻撃が集中すると、確かにドラゴニカの動きにわずかな鈍さが生じた。

 巨大な存在であっても、関節に負荷がかかれば動作は乱れる。


「効いてるぞ! 少しずつだが、弱ってきてる!」


 ゼルガンが笑みを浮かべる。

 彼の盾に弾かれる衝撃も、先ほどより軽減されている気がした。


 しかし――

 宙に浮かぶ子供が、楽しげに声を弾ませる。


「うんうん、やるじゃん! でも――もうチャージが終わるよ!」


 ドラゴニカの口腔に再び赤黒い光が収束していく。

 空気が震え、天井の岩がボロボロと崩れ落ちる。


「まずい、来るぞ……!」


 ジョッシュが顔を引き攣らせた。

 ゼルガンは即座に作戦を叫ぶ。


「全員、聞け! 俺を中心に盾を重ねろ! クリス、結界で援護してくれ! その間に……ソーマがコアを撃ち抜け!」

「ゼルガンさん! 無茶ですよ。いくら防御を重ねても直撃を受けたらただで済みませんよ!」


 ソーマは歯を食いしばる。


「わかってる! でも、今を逃せば全滅だ! 頼む、ソーマ、俺たちを信じろ! ……お前にしかできない!」


 一瞬の沈黙。

 心臓の鼓動が嫌に大きく響く。


「……分かりました! ゼルガンさんを信じます! とどめは俺に任せてください!」


 ゼルガンは盾を掲げ直し、雄叫びを上げる。


「頼んだぞソーマ! ドワーフの勇敢な兵士たちよ! 盾を前に! ここで踏ん張るぞ!」

「「おおおおおっ!!」」


 ドワーフ兵士たちが一斉に雄叫びをあげ、盾を重ね合わせる。

 分厚い鉄壁がゼルガンの前に築かれた。

 クリスも必死に詠唱を続け、蒼い光の結界が重なる。


「【セイクリッド・アーマー】! ……ソーマさん、頼みました!」

「任せろ!」


 ソーマは拳銃を構え、光が渦巻く竜の口へ駆け出した。


「さっきのはフルチャージじゃなかったからね。これが全力全開! 出力百%の必殺――ドラゴニックバスターァァァ!!!」


 轟音と共に――ドラゴニックバスターが放たれた。


 赤黒い奔流が一直線に広間を焼き尽くす。

 ゼルガンとドワーフ兵たちの盾が唸りを上げ、火花を散らして必死に耐える。


「ぐっ……おおおおおおっ!!」


 ゼルガンの筋肉が悲鳴を上げ、膝が石床にめり込む。

 クリスの結界が砕け散り、光の破片が宙に舞う。


「く……耐えて……っ!」


 その背後で、ソーマはマントを盾に炎の奔流を掻い潜るように疾走していた。

 髪が焦げ、皮膚を焼かれる痛みに耐えながら――ただひたすらに竜の口奥、赤熱するコアを目指す。


(今だ……ここで決める!)


 ソーマは拳銃を構え、引き金を引いた。


「――くらえッ!!」


 一発目、炎の弾丸がコアを穿つ。

 二発目、氷の弾丸が炸裂し、赤熱した核を急速に冷却する。

 三発目、雷光が奔り、灼熱と冷却の歪みに衝撃を叩き込んだ。


 ――トライアングルバースト。


 前世の三点バースト機構を組み込まれた拳銃から放たれるエルーナの魔力が込められた弾丸の三連射。

 轟音と共に、コアが激しく軋む。

 光が暴走し、ドラゴニカ全体が痙攣するようにのたうった。


「まだか……!」


 再び引き金を引くが拳銃から銃弾は出なかった。

 ぶっつけ本番では限界が早すぎた。


「なら……これでッ!」


 ソーマは父から受け継いだロングソードと蜂王剣(レギーナスティング)抜き放つ。

 炎と光の奔流に包まれながら、叫びと共に剣を突き刺した。


 瞬間――


 コアが爆ぜた。


 眩い閃光。

 爆炎が広間を飲み込み、天地を揺るがす轟音が轟く。


 だがその中で、ソーマを包み込んだのはクリスがとっさに放った防御魔法【セイクリッドアーマー】だった。

 光が収束すると、そこにはボロボロの装備で倒れるソーマの姿が残っていた。


 周囲には、砕け散ったドラゴニカの破片。

 もはや動く気配はない。


 誰もが呆然と立ち尽くす中――ソーマの脳内に、あの声が響いた。


《破壊対象:『アストレイ、ゼルガンの死亡フラグ』――破壊完了》

《アストレイ、ゼルガンの死亡フラグが破壊されました》


 ソーマははっと息を呑む。


(……フラグが……消えた? みんなの……死が……!)


 薄れゆく意識の中、仲間の方へ視線を向ける。

 ゼルガンは肩で息をしながらも、確かに立っていた。


「おいソーマ! 無事か……?」


 その声を最後に、ソーマの意識は闇に落ちていった……

 第5章ボス撃破!

 このボス今迄で一番書いてて面白かったです。

 もうちょっと第5章は続きます。


※作者からのお願い


投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、↓の☆☆☆☆☆から評価頂き作品への応援をよろしくお願い致します!


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