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【第六章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第五章:装備作り? いいえ、試練のフラグです

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91:フラグが指し示す運命

 轟音と赤光が渦巻く広間。

 その中心に立つのは、竜へと姿を変えた合体ゴーレム――ドラゴニカ。

 宙に浮かぶ子供は、頬を紅潮させながら無邪気に笑う。


「ねぇねぇ、どう? びっくりしたでしょ? これが僕の切り札――ドラゴニカ・ドラゴンフォーム! ……あ、でもさぁ。僕ね、奥の手は最後まで取っておく派じゃないんだよね」


 悪戯っ子のような声音。

 しかしその宣告は、戦場における冷徹な死刑宣告と同義だった。


「必殺――ドラゴニックバスターァァァ!!!」


 咆哮と共に竜の口が開き、赤黒い光が濁流のように収束していく。

 空気が震え、床石が悲鳴をあげ、魔力の圧力で広間全体がきしんだ。


「――まずい! あれは受けきれない、散開しろ!!」


 ソーマが絶叫する。

 ゼルガンが舌打ちしながら盾を引き寄せ、ジョッシュは悪態をつきつつ壁際へ飛ぶ。

 後方にいたクリスも必死に駆け、エルーナは魔力弾を撃ち込むが、不可視の障壁に阻まれて弾が弾かれる。


 次の瞬間――


 竜の口から迸った光は、暴虐そのものだった。

 爆ぜるように放たれた赤黒の奔流は、熱と圧力を伴って一直線に広間を薙ぎ払い、岩壁を蒸発させる。


「ぐぬおおおおっ!!」


 ゼルガンが転がり込むように回避した直後、盾の縁をかすめて光が通り過ぎた。

 耳をつんざく轟音。

 大気そのものが焼き切られるような灼熱。

 白と赤が混ざり合った閃光が、広間すべてを飲み込んだ。


 そして――遅れて爆発音が響き、空間が揺さぶられた。


 ……静寂。


 広間の空気は焦げ、立ちこめる煙と土砂の匂いが鼻を突く。

 視界が晴れたとき、ソーマたちは絶句した。


 ドラゴニカの一撃は、坑道の分厚い壁を貫通し、入口へ続くトンネルを抉り出していた。

 石壁は赤熱し、溶岩のように滴を垂らしながら崩れかけている。


「な、なんだよ……あの威力……」


 ジョッシュが口を開けたまま固まる。

 クリスは蒼白な顔で震える指先を押さえ、息を呑んだ。


「防御……無理です……あれは、受けきれるものじゃありません」


 エルーナがかすれた声で呟く。


「……避けられたから生きてる。でも、次は……」


 ゼルガンが苦々しい顔で盾を握りしめた。


「まともに受けたら、俺でも灰になる……」


 絶望の色が広間に広がる。

 だがソーマは震える胸を押さえ、必死に声を張り上げた。


「まだだ! 冷静になれ! あれほどの攻撃、連発できるはずがない! 次が来る前に叩くんだ!!」


 叱咤にも似た声が、仲間たちの意識を現実に引き戻す。

 その直後――エルーナが目を見開いた。


「……ソーマ、今の攻撃のとき!」

「え?」

「竜の口の中……コアらしきものがむき出しになってた! あそこに光が集中してたの!」

「本当か……!?」


 ソーマの瞳が鋭く光る。


「間違いない! 次がチャンス!」


 希望の光が差す。

 だが同時に、冷酷な現実が立ちはだかる。


「でもさっき狙撃したけど、謎の壁に弾が弾かれた……遠距離からじゃ通らない……」


 エルーナが唇を噛む。


「狙うには近づかなきゃならねぇけど……直撃食らったら即死だ!」


 ジョッシュが悔しげに吠える。

 ソーマも逡巡した。


(コアを撃ち抜かない限り勝ち目はない……でも、失敗すれば誰かが犠牲になる……!)


 その時――


「――おい! 生きてるか!」


 思いがけない声が、抉られた壁の向こうから響いた。

 全員が振り返ると、崩落しかけた坑道の奥から、十数人の影が駆け込んでくる。


 ドワーフの兵士たち。

 その先頭には屈強な男――鍛冶師のリーダーリシューがいた。


「お前ら……なんでここに!」


 ゼルガンが目を見開く。

 リシューは肩で息をしながらも、口元に笑みを浮かべた。


「お前さん達が出発してすぐに追いかけたんだ。そしたら壁が吹き飛んで、声が聞こえた……こりゃあ行くしかないだろ。俺たちの国の為に戦っているお前さんたちを見捨てられるもんか!」


 そう言うと、腰に巻いていた布を解いた。

 そこから現れたのは、黒鉄に赤い文様が刻まれた拳銃だった。

 握るだけで熱を持ち、魔力が脈打つように鼓動している。


「ソーマ……これをお前に託す」

「これは……?」


 ソーマが受け取った瞬間――

 耳鳴りのようなノイズが頭に響いた。


《フラグ発生確認――破壊対象:『ドラゴニカ・コア』》

《因果構造:照準補正……同期開始……》

《提案:その銃ニテ、コアヲ撃ち抜ケ……撃チ抜ケ……》


 ソーマの手が震える。


(……ギフトが、この銃を使えと言っている!?)


 リシューが重々しく頷く。


「わしら鍛冶師の魂を込めた。お前なら……いや、お前にしか撃てん」


 ドラゴニカが再び咆哮する。

 大地が震え、空気が焼け、全員の視線がソーマに集まった。

 恐怖と責任と希望。

 それらすべてを受け止めながら、ソーマは拳銃を強く握りしめる。


「……分かった。この銃で――必ずコアを撃ち抜いてみせる!」


 ドラゴニカの巨体が唸りを上げ、再び放たれようとする破滅の光。

 その前に立つソーマの眼差しは、迷いを断ち切った刃のように鋭く輝いていた。

 合体、変形、必殺技。

 書いてて楽しくなってきましたがそろそろ終わります。


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― 新着の感想 ―
面白い展開と発想ですね!!それに、攻撃された時の勢いが伝わってくるような描写、また一つ学びました!!これが初めての作品とは思えません。
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