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【第五章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第五章:装備作り? いいえ、試練のフラグです

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90/113

90:切り札フラグ

 坑道の広間全体を覆う影――

 その正体は、合体を果たしたドラゴニカと呼ばれた巨大な人型ゴーレムだった。


 全長十メートルを優に超える巨体。

 心臓のように脈打つ赤い光が装甲の継ぎ目から漏れ出し、動くたびに大地が揺れる。

 轟音はまるで地鳴り、広間全体が軋み悲鳴を上げているかのようだ。


 その異様な存在を操る子供は、宙に浮かびながら光のパネルを叩くように指先を滑らせ、無邪気な声で笑った。


「どう? 僕のドラゴニカ。かっこいいでしょ?」


 無垢な響き。

 しかしその裏には悪意と残酷な好奇心が透けていた。

 ソーマは剣を構え、鋭く問い詰める。


「お前……一体何者なんだ? ただの子供じゃないだろ!」


 だが子供は首をかしげ、くすくすと笑う。


「んー、内緒。でもね、僕は直接手を出すのは禁じられてるんだ。だから、こうして操るしかないんだよ」

「禁じられている……?」


 クリスが険しい眼差しを向ける。

 操るという言葉。

 ソーマの脳裏に蘇るのは、これまで遭遇してきた異質なダンジョンや異形の敵。

 背筋に冷たいものが走る。


「……お前のような存在が、他にもいるのか?」


 一瞬、子供の笑みが固まる。


「……あ、やば。話しすぎた」


 舌を出し、楽しげに肩をすくめる。


「ま、いいや! ほら、ドラゴニカ! みんなを踏みつぶせぇ!」


 ――轟音。

 巨体が動き、広間が震える。

 振り下ろされた巨腕が石床を砕き、衝撃波が爆ぜた。


「来るぞ!」


 ゼルガンが大盾を構え、前へ。

 大盾に叩きつけられる拳。

 重金属がぶつかり合う轟音。

 地面が陥没し、粉塵が舞い上がった。


「ぐぉぉっ!!」


 ゼルガンの腕が悲鳴を上げる。

 だが踏みとどまり、全身で巨体の圧力を受け止めていた。


「ゼルガンさんを支えろ!」


 ソーマが駆け、剣で巨腕を斬り上げる。

 火花が散り、赤光が弾けた。

 ジョッシュも炎を纏わせたバットを振り抜き、巨体の膝を叩きつける。


「ぶっ飛べやぁぁぁっ!」


 鈍い衝撃音が響き、ドラゴニカの脚がわずかによろめく。


「【アイスショット】!」


 エルーナが銃口を構え、冷気を纏った弾丸を撃ち込む。

 関節部を凍らせ、可動を鈍らせた。


 クリスは即座に防御魔法を展開、ゼルガンの体を覆う光壁で押し潰されるのを防ぐ。

 嵐のような拳の連撃。

 その一撃ごとに風圧が吹き荒れ、一行の体を押し返す。


「でけぇだけじゃねえ……タフさも桁違いだ!」


 ジョッシュが汗を飛ばしながら叫ぶ。

 しかし五体に分かれていたときと比べれば今は一体。

 攻撃を集中でき、連携も取りやすい。


(……この形態の方が、むしろ隙はある! 死亡フラグもでていない!)


 ソーマは確信し、仲間に声を張り上げた。


「怯んだ瞬間を逃すな! 畳みかけろ!」


 ゼルガンが腕を押し返す。

 その隙を突き、ソーマとジョッシュが同時に突撃。

 斬撃と炎のバットが巨体を抉り、赤光を乱れさせた。


「今だ!」


 エルーナとクリスが遠距離から魔力弾と光球を浴びせる。

 巨体が軋む音を上げ、膝を沈めた。


「よしっ、このまま押し切――」


 その時。

 宙に浮かぶ子供の口元が、不気味に吊り上がった。


「ふふっ……もういいかな。遊びも飽きてきたし」


 ソーマの背筋を冷たい悪寒が走る。


「……何をする気だ」


 子供は両手を広げ、高らかに叫んだ。


「これが僕の切り札さ――ドラゴニカ! ドラゴンフォーム!!」


 轟音と閃光。


 巨体が赤光に包まれ、装甲が軋み、変容していく。

 人型だったドラゴニカの背中から、巨大な翼が展開される。

 腕部が伸び、鉤爪のように変形し、頭部が裂けて竜の顔を形作った。

 尾が伸び、鋼鉄の鱗が全身を覆い尽くす。


 ――鉄と魔石で造られた、超巨大な機械竜。


「なっ……ドラゴンだと!?」


 ソーマが声を失う。


 咆哮。

 広間全体を震わせる轟音に、仲間たちの耳が痺れる。


「やっべぇぞこれ……!」


 ジョッシュの顔が蒼白になる。


「……今までの比じゃない」


 クリスの声も震えていた。


「……これが奴の本気か」


 ゼルガンが低く唸り、盾を構え直す。


 その瞬間――ソーマの視界に異様な文字が浮かんだ。


《フラグ発生確認――破壊対象:『アストレイ、ゼルガン──死線ノ彼方フラグ』》

《因果構造:断片解析開始……進行率:7%……23%……41%……》


――ビ……ガガガ……ッ……ジジジ……!


《原因:時間軸ノ重複確認……干渉因子:ドラゴニカ……整合性崩壊……》

《因果汚染率――臨界値接近》

《警告:選択ヲ急ゲ……撤退カ、コア破壊カ……遅延スレバ……因果連鎖ノ崩落確認……》


 ノイズ混じりの機械音声が頭に直接響き、ソーマは額を押さえた。


(また……! やはり、こいつも今までの異形と同じ……!)


 鉄竜ドラゴニカは赤光をさらに強め、因果の歪みすら喰らうかのように力を増していく。


「ソーマ!」


 エルーナの声が飛ぶ。

 ソーマは歯を食いしばり、剣を構え直した。


「……まだだ。こんなところで終わらせはしない!」


 鉄竜の巨影が咆哮とともに迫る。

 仲間たちは決死の構えを取った。


 ――切り札の正体が顕現した今。

 決戦は、真の幕を開けた。

 合体からのフォームチェンジだぁ!!!


※作者からのお願い


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