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【第六章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第五章:装備作り? いいえ、試練のフラグです

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88:変形するフラグ

 灰色の雲が空を覆い、冷たい風が山肌を吹き抜けていく。

 ソーマたちは鉱山へと続く険しい山道を進んでいた。

 足元は岩と砂利が混じり、踏みしめるたびにざり、ざりと音を立てる。

 そのたびに靴裏が少しずつ滑り、全員の神経が研ぎ澄まされていった。


「……気配が濃いな」


 ゼルガンが低く呟く。

 彼の手にある大盾が微かに鳴り、鋭い眼光が前を射抜く。


 緊張感が張り詰める中、突如――


 前方の岩壁が轟音と共に砕け散った。

 砂塵の中から巨体がゆっくりと姿を現す。


 ――金属の軋む音。

 その目の奥で赤い光がぎらりと瞬き、無機質な巨人――ゴーレムがこちらへと向き直った。


「出た……!」


 エルーナが即座に銃を構える。

 息を呑む音が、仲間たちからもれた。


「行くぞ!」


 ソーマが短く叫んだ瞬間、仲間たちは一斉に動いた。

 ジョッシュが炎を纏わせたバットを肩に担ぎ、一直線に突撃する。

 クリスは後衛に下がり、早口で詠唱を開始。

 エルーナの銃声が響き渡り、火花が鉱石の装甲を散らす。


 だがゴーレムは一歩も止まらない。

 振り下ろされた分厚い腕が地面を叩き割り、大地が揺れる。


「こっちは任せろ!」


 ゼルガンが大盾を掲げ、拳を受け止めた。

 轟音が響き渡り、砂利が宙に舞う。

 盾を軋ませながらも、一歩も退かない。


「今だ、集中攻撃!」


 ソーマが指示を飛ばす。

 ジョッシュの炎を纏った一撃が横から叩き込まれる。

 そこへソーマの突きと、エルーナの銃弾が続き、装甲に大きな亀裂が走った。


 ゼルガンが踏み込み、盾を変形させる。

 金属がひしゃげるような音と共に、大盾は大剣へと姿を変えた。

 一閃。

 魔石が真っ二つに斬り割られ、赤い光が消え失せる。

 巨体は呻きもせず、崩れ落ちた。


「……やっぱ、化け物だな」


 ジョッシュが息を吐く。


「盾が剣に……何度見ても信じられません」


 クリスは驚愕を隠せず呟いた。

 ゼルガンは無言で剣を盾へ戻すと、背に担いだ。


「止まるな。まだ入口にも着いていない」


 その声に、全員が頷き歩を進める。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


 山道を登りきった先に、鉱山の入口が姿を現した。

 厚い鉄門の前には、数人の兵士が待ち構えていた。


「……王から話は聞いています。中に入れるのは、あんたたちだけだ」


 その顔には緊張と不安が刻まれていた。

 ソーマは短く礼をし、仲間たちは鉄門をくぐった。

 坑道の中は、かつて人が鉱石を掘り出していた名残を残していた。

 だが、今は異様な空気に満ちていた。


 壁は不自然に広がり、天井は巨人が通れるほどに抉られている。

 通路は人のためではなく、まるでゴーレムのために作り変えられたかのようだった。


「……通路そのものが拡張されている?」


 ソーマが呟く。


「自然のままではないですね。これは……誰かの意志があります……」


 クリスの声が低く震えた。

 坑道に響くのは、時折鳴る低い振動音。

 それがまるで、奥から心臓の鼓動が響いているかのように感じられる。


「気を付けて……来るわ!」


 エルーナが叫んだ瞬間、前方から影が走った。

 複数のゴーレムが姿を現す。

 だが――その姿は明らかに異質だった。


「人型……じゃない!?」


 クリスが目を見開く。

 四肢が捻じ曲がり、背に鉱石の突起を生やし、姿を変えていく。

 地を掴むのは岩の脚。

 低く身を伏せる姿は獣そのもの。

 赤い光が獰猛に輝き、咆哮を轟かせた。


「獣型……!?」


 ソーマは思わず息を呑む。

 一斉に突進してくる獣型ゴーレム。

 轟音と砂塵が坑道を揺るがす。


「来るぞ! 構えろ!」


 ゼルガンが大盾を掲げ、正面で受け止める。

 衝突の衝撃で火花が散り、壁が震える。

 ソーマは即座に指示を飛ばした。


「ジョッシュ、左を叩け! エルーナは後方援護! クリスは右を抑えろ!」

「任せろ!」


 ジョッシュが獣型の脚を狙い、炎を纏ったバットを叩き込む。

 ギシリと金属音を響かせ、脚が崩れ落ちた。

 エルーナの弾丸が関節を正確に撃ち抜く。

 クリスの防御魔法が突進を逸らす。

 ゼルガンが剣へと盾を変形させ、真正面の一体を斬り裂く。


「――ふんっ!」


 ソーマも食らいつくように斬り込み、鉱石片を飛び散らせた。

 火花と破砕音。

 金属生命体同士のような激突が坑道に響き渡る。


 激戦は数分続き――

 ついに、残骸だけが通路に転がった。

 ソーマは肩で息をしながら、砕け散った破片を見下ろす。

 だが、胸の奥で奇妙な違和感が膨らんでいく。


「……なんか、おかしい」


 ソーマは唇を噛んだ。

 ――形を変える兵器。

 人から獣へ、異形の進化を遂げる無機質な存在。


 脳裏に蘇るのは前世の記憶。

 アニメや映画で見た、金属生命体たち。

 ロボットが車に、獣に変形していく映像。


「まさか……」


 背筋に冷たい悪寒が走った。

 これはただのゴーレムではない。

 誰かが意図的に、進化させている――

 ネトフリのビースト覚醒いつか見なきゃとおもって放置してます。


※作者からのお願い


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