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8:ギルドマスターの真意(私にいい考えがあるは何フラグ?)

 メメさんに連れられて、冒険者ギルドのギルドマスター室までやってきた。

 メメさんが扉をノックする。


「ギルドマスター。ソーマさんをお連れしました」


「おう、入っていいぞ」


 扉を開けると、中には立派な椅子に座ったギルドマスター、カルヴィラさんの姿があった。

 冒険者時代は、戦場で俊敏に駆け回りながら弓で狙撃する姿から【シルバー・リンクス】と呼ばれ恐れられた存在。

 引退後はギルドマスターとして現場を統率し、今もいざとなれば自ら剣を取る頼れる女リーダーだ。


 冷静で落ち着いた雰囲気のクールビューティーな大人の女性。

 新人冒険者にもきちんと指導をしてくれるし、俺は街で彼女が騎士団の隊長である旦那さんと腕を組んでイチャイチャしているのを見て以来、どこか憎めない人だと思っている。


「こんな時間に悪いね。まあ、座って楽にしてくれ」


「いえいえ、遅い時間にお時間いただいてしまって申し訳ないです」


 カルヴィラさんが座るソファの向かいに、メメさんと並んで腰を下ろす。


「今回はこちらの判断が軽率だった。まさか、勇者の卵様があんなにあっさり決断を下すとは思っていなかった」


「いえ、こちらこそ……俺の個人的な問題でギルドマスターにまでご迷惑をおかけしてしまい、すみません」


 まさか開口一番、カルヴィラさんから謝罪されるとは思わなかった。

 話を聞くと、パーティーの問題を解決するための場を設けるつもりだったらしいが、まさか俺もユーサーもあっさり結論を出すとは予想外だったようだ。


「それで、本題に入るけれど――ソーマ君は、これからどうするつもりか聞かせてもらえるかな?」


 ギルドマスターからの核心を突く問い。

 女将さんのときのように茶化して答える雰囲気ではない。

 ここは正直に、本音を話すべきだと判断した。


「……正直なところ、まだ冒険者を続けたい気持ちはあります。でも、スキルが使えないままなら、これ以上の成長は難しいでしょうし、俺を入れたいって思うパーティーもそうそう見つからないと思います。今の実力でもソロでなら生活していけるでしょうが、大成するのは難しい。だったら、いっそ見切りをつけてもいいのかなと。実は俺、デザイナーとして商業ギルドにも登録しています。姉が商業ギルドに勤めているので、彼女に助けてもらいながら地道に実績を積んで、冒険とは無縁の生活に切り替えるのもアリかなと思ってます。最終的には、田舎にある実家の道場を手伝いながら、いずれ継いでもいいとも考えています」


 これが、今の俺の正直な気持ちだ。


 スキルがそのうち発動するかも――なんて希望にすがって冒険者を続ける気は、正直あまりない。

 そもそも発動したとして、それが冒険に役立つスキルだとも限らない。

 だったら、スキルがなくてもある程度評価されてきたデザイナーという道に進む方が、現実的かもしれない。


 姉を頼るのは少し気が引けるけど、冒険者を辞めるなら、使えるものは使っていくしかない。


 実家の道場も、元々は親父たちが村に移住して生活していくために始めたもの。

 継がなくても構わないと言われているが、俺が継ぐと申し出れば、きっと喜んでくれるだろう。


 俺の考えは伝えた。

 後は、それをどう受け取るかは、ギルド側次第だ。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


【カルヴィラ視点】


(……やはり、手放すには惜しい人材だ)


 ソーマ君の話を聞いて、最初に思ったのはそれだった。

 自分を過大評価せず、冷静に現実を見据えたうえで進路を模索できる。

 こんな若者を、商業ギルドや田舎の道場なんかに簡単に手放していいはずがない。


 できることなら、冒険者ギルドの職員として関わってもらいたいくらいだ。

 だが、ギルドの都合で彼の人生を勝手に決めるわけにはいかない。


 どうしたものかと考えていたそのとき――

 ふと、隣に座るメルマに視線を向けた。


(まるで『あなたが決めた道なら、私はついていきます』とでも言いたげな顔だけど……お前、そもそも無関係だろう。ソーマ君もせいぜい“少し年上の優しいお姉さん”くらいの認識のはずだし。それに、お前も最近抱えてる問題があるだろう。お前の担当してる“あの二人”のことも、少しは――)


 その時、カルヴィラの脳裏に電流が走る。


「ソーマ君、考えはよくわかった。パーティー脱退の件も、お互いに納得しているなら受理せざるを得ない。ただし――」


 一度、言葉を切り、彼の目をまっすぐに見据える。


「“冒険者としての道”を諦めるのは、もう少し待ってくれないか? 私に、ひとついい考えがある。これから確認が必要だし、うまくいくかもまだわからない。でも、こちらからの連絡を待ってもらえないだろうか」


「……さっきは強がってましたけど、俺も少しなら……頑張ってみようかなと思ってます。しばらくは王都にいますから、連絡ください」


「ありがたい。こちらとしても、有望な冒険者を失うのは痛手だからね。連絡はメルマから入れるようにする。連絡先、交換しておいてくれ」


 そう言ってから、カルヴィラはメルマに視線を送った。


「……それと、メルマ。少し残ってくれ」


 “いい考え”はソーマ君ひとりでは成立しない。

 だが、双方にとって悪くない話になるはずだ――

 そのためにも、まずは“あちら”に連絡してもらう必要がある。

 年表の次は用語辞典を作りました。

 まどうって打ったら魔道と魔導がでるんだけどどっちやねんとかなるし間違わない為とはいえ作業が増えました。

 少しでもマシな作品作りの為とはいえ他の作者さんはどうしているのか気になります。


※作者からのお願い


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― 新着の感想 ―
カルヴィラさん、何を思いついたんでしょうね。 ひとまず第8話まで一気に読めました。文章も読みやすく、状況が過不足なく説明されていて、ストレスがありません。これからの展開がとても気になります。
メルマが何かしら関わるのかな? 道場も立派な仕事だと思うけど、ギルドマスターからするとやっぱ抱え込みたいんでしょうね。 (*´ω`*) 用語集は用意しますね。 表記ゆれのチェックはプログラムである程…
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