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【第五章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第五章:装備作り? いいえ、試練のフラグです

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79:新たな力と共に、次なる大陸へのフラグが立つ

 ソーマたちは早速準備を始めようとしたが、ゼルガンの一言がそれを止めた。


「すぐに出発するのは無理だ」


 工房の奥で大きな腕を組み、ゼルガンが言い放つ。


「俺も同行するんだ。工房を畳む準備もしなければならん。少なくとも数日はかかる」

「そうですか……」


 ソーマは少し肩を落としたが、すぐに顔を上げた。


「じゃあ、その間に僕らは――」

「新しい装備を試してこい」


 ゼルガンの言葉に、一行の目が輝いた。


「やっぱり、そうだよな!」


 ジョッシュが豪快に笑い、両の拳を打ち合わせる。


「こいつを使ってみたくてウズウズしてたとこだ!」


 エルーナも胸に抱く蛇眼銃(バジリスクサイト)を撫で、真剣な眼差しで頷く。


「威力や射程、魔力の伝わり方……確認したいことは山ほどあります」


 ソーマも蛇帝衣(オロボロクローク)を広げ、肩に羽織った。

 背中を包み込む鱗の感触が、頼もしさを伝えてくる。


(ゼルガンさんが作ってくれたんだ。無駄にはできない。ちゃんと、その力を確かめないと)


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


 翌朝。

 ソーマたちはギルドのカウンターへ向かった。


「お久しぶりです、ソーマさん」


 担当受付嬢のメルマが、にこやかに迎えてくれる。

 髪を結い上げた仕草が妙に目を引き、ソーマは思わず視線を逸らした。


「メルマさん、新装備を試したいので……ちょうどいい討伐依頼、ありませんか?」


 すると彼女は、ぷいっとそっぽを向いて唇を尖らせた。


「最近、私を便利屋扱いしていませんか? 雑に頼られている気がします」

「そ、そんなつもりは……!」


 ソーマが慌てて手を振ると、メルマさんはくすりと笑い、頬を緩めた。


「なんて冗談です。私はあなた方の担当なんですから、どんどん頼ってください」


 ソーマは軽く額を押さえ、苦笑する。


(やっぱり、こういうやり取り……恋愛フラグを意識してしまうな)


 メルマは帳簿をめくり、顔を上げた。


「今日はちょうどいい討伐任務がありますよ」

「討伐ですか?」


 クリスが小首を傾げる。


「森に出没した新種の蛇の魔物です。頭が二つあって――片方は炎、もう片方は氷を吐くそうです。ギルドでは《ジェミナスサーペント》と名付けられました。畑を荒らして、村人が困っているとのこと」

「頭が二つ……炎と氷……」


 ソーマは低く呟く。

 アスエリスの蛇の魔物の影響が、この大陸にも及んでいるのだろうかと頭をよぎる。

 ソーマは仲間たちと視線を交わし、頷いた。


「……やってみよう。みんなもいい?」

「もちろん!」


 ジョッシュが拳を突き上げる。


「どんな魔法が来ようと、このグラブでキャッチしてやる!」

「私も試射が必要だからね」


 エルーナは蛇眼銃(バジリスクサイト)を抱え、瞳を輝かせた。

 クリスも微笑んで頷く。


「私も補助魔法で支えます」

「決まりだな」


 ソーマは依頼書を受け取り、ギルドを後にした。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


 森の奥――湿気を含んだ空気を震わせるように、それは待ち構えていた。


 巨木をなぎ倒すほどの巨体。

 二つの頭を持つ大蛇。

 片方の口からは赤々とした炎が、もう片方からは白い冷気が漏れ出す。


「ギシャァアアアッ!」


 火と氷の咆哮が森に轟き、空気が震えた。


「……来るぞ!」


 ソーマが叫ぶ。

 炎の頭が火炎を吐き、氷の頭が氷弾を撃ち出す。


「くっ!」


 ソーマは思わず身構えるが――背中の蛇帝衣(オロボロクローク)が光を帯び、爆炎と氷弾を包み込んだ。

 熱くも冷たくもない。

 マントが、すべてを遮っている。


(本当に……守ってくれてる!)


「ソーマ! 大丈夫か!」


 ジョッシュが駆け寄る。

 その頭上めがけて、さらに氷弾が飛んでくる。


「よっしゃ、オレの出番だ!」


 ジョッシュは両腕を広げ、まるで外野手のように構えた。


「キャッチだァッ!」


 ズシィン!

 氷弾が蛇捕手(バジリスクキャッチ)に吸い込まれる。

 次の瞬間、それは拳の中で光球へと変わった。


《スキル:キャッチ&スロー が解放されました》


「……スキル!? マジか、これが!」


 ジョッシュはニヤリと笑い、全力で投げ返す。

 白球は一直線に飛び、炎の頭を直撃。

 轟音と共に霜が弾け、大蛇が苦痛の咆哮を上げた。


「キャッチした魔法を……投げ返せるなんて……!」


 ソーマが驚愕する。


「最高だろ!」


 ジョッシュは少年のように笑い、拳を掲げた。

 だがジェミナスサーペントは怯まない。

 両の口を開き、今度は炎と氷を同時に吐き出した。


「エルーナ!」

「分かってる!」


 彼女は蛇眼銃(バジリスクサイト)を構え、魔力を込める。

 銃身の文様が輝き、大蛇の魔石が脈動する。


「目標を中心に入れて――撃ち抜け!」


 引き金が引かれ、放たれた魔弾は閃光となって炎と氷の奔流を切り裂き、蛇の胴を穿った。


「ギシャァアアッ!」


 二つの頭が同時に絶叫する。

 続けざまに二射、三射。

 魔弾は正確に弱点を撃ち抜き、巨体を揺さぶる。


「今だ、ジョッシュ!」

「任せろォッ!」


 今度は炎弾をキャッチし、真紅の魔球に変えて投げ返す。

 それは蛇の喉奥に突き刺さり、内側から爆ぜた。

 巨体がのたうち、やがて地に崩れ落ちる。


 静寂。

 森に、ただ風の音だけが残った。


「……すごい、本当に討ち倒せた」


 ソーマはクロークを撫で、深く息を吐く。


「新装備、想像以上だね」


 エルーナはライフルを抱きしめ、目を輝かせる。


「ははっ、これでどんな魔法もキャッチして、投げ返せる!」


 ジョッシュは豪快に拳を振り上げた。

 クリスは微笑み、皆を見渡す。


「これなら、次の大陸でもやっていけますね」


 ソーマは力強く頷いた。


「うん……絶対に無駄にしない。この力で、アスガンドへ向かおう」


 新装備の真価を確かめた一行は、次なる冒険へ歩み出していくのだった。

 ゼルガンの装備は最高ですね。

 次回新大陸に出発進行!


※作者からのお願い


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