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【第五章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第二章:寄り道? いいえ、大事なフラグです

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23:フラグでスキル解放

 苔むした巨体が、ゆっくりと姿を現した。


 トレント――木の精霊が変異し、魔物と化した存在。

 通常の魔獣よりも遥かに高い魔力反応と耐久力を誇る。

 その巨体は、森の古木すら小枝に見えるほどに巨大で、地面を踏みしめるたびに、重く鈍い振動が空気を震わせた。


「くっ……っ!」

「……でかい……!」


 ソーマたちは即座に陣形を整え、全身の神経を研ぎ澄ませる。

 トレントの()()は空っぽだというのに、確かにこちらを()()()()

 視線のような何かが、皮膚を這う感覚。


 ――ゴォオオオ……!


 森全体を震わせる咆哮。

 その直後、トレントが太い腕を振り上げた。

 樹の質量とは思えないほどの速さと精度――!

 ソーマたちの動きを見極めるかのように、精密に――そして確実に殺しにかかってくる。


「散開ッ!」


 次の瞬間、大地が破裂したような轟音と共に、トレントの腕が振り下ろされる。

 土と枯葉が爆煙のように舞い上がった。


「……ッ、助かった。罠まで仕掛けてくるなんて……!」


 トレントの攻撃は単なる暴力ではない。

 敵の動きを()()し、そこに罠を張る高度な知性がある。


「ジョッシュ、魔球で援護を頼む!」

「了解!特訓の成果、見せてやるぜ!」


「クリス、補助と防御を頼んだ!」

「任せてください――【ブースト】加速補助、展開!」


 ソーマは剣を構え、トレントの正面へと突進する。

 狙いは――眼窩。

 空洞であるそこが、構造上の急所のはず。


 だが――


 トレントの右腕が横薙ぎに振るわれ、ソーマの突進を遮る。

 その正確な迎撃に、咄嗟にバックステップでかわすも、体勢が乱れる。


 ドォン!


 ジョッシュの魔球がトレントの胴体に直撃。

 黒煙が立ち上がる――が、トレントは微動だにしない。


「……効いてない!?」


 焦げた表皮の下には、さらに層を成す分厚い樹皮が。

 まるで鉄樹、半端な魔法では通じない。


「もっと奥に通さなきゃダメか……!」


 何か、あと一手でも力があれば……!


《了解――死亡フラグへの干渉を開始します》

《構造解析開始……因果ポイントを特定……》


(なっ……!まだ()()()()()は出ていないはず……?いや、このままだと時間の問題だった。スキルが先回りして介入を始めたのか……!)


《提示:ジョシュアとクリスティーナのスキルを解放します》


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


【ジョシュア視点】


 どうして、俺は……いつもこうなんだ。

 仲間は前に進んでいるのに、俺だけが取り残されてる気がしてた。

 クリスは支援を、ソーマは最前線で攻撃を、俺は……何をしてる?

 あの日、訓練場で何度も投げ込んだ球。

 理屈も、理想も、すべて頭にはあった。

 だけど……本番じゃ力が入って空回りするばかりで。

 教わるだけで、何も返せなかった。

 みんなの背中を、ただ見てるだけで――


(……ダメだ、まただ。また俺は、何もできずに終わるのか……?)


 喉が渇く。

 心が縮こまる。

 だけど今、確かに見えた。

 あの巨体に、恐れず立ち向かう二人の姿が――

 逃げたい自分を殴り飛ばすように、拳を握りしめた、その瞬間。


《スキル:魔球カーブ が解放されました》


(……このタイミングで!?特訓の成果が……いや、これは……俺が、自分の限界を越えようとしたから――!)


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


【クリスティーナ視点】


 どうして、私はこんなにも無力なんでしょうか……

 刃にもなれず、盾にもなりきれず……

 仲間を“守る”ことしかできない私は、本当に誰かを救えているのでしょうか。

 戦場では、守るだけでは間に合わないことがある。

 あのときもそう。

 私が一歩でも攻められていれば、あの怪我は防げたかもしれない。

 怖くて仕方がなかった。

 攻撃すれば、反撃される、傷つける、私が踏み込むことで何かが壊れるんじゃないかって――

 でも、今目の前にあるのは、命を奪いに来る化け物。

 怯えてる時間なんて、ない。

 私は、ソーマを、兄さんを、誰も、死なせたくないんです――!


《スキル:ライトボール が解放されました》


(……この光は……私の中にも、戦う力があるって……証明してくれるの?)


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


 スキルが介入した直後、クリスからいつもと違う魔力が解き放たれた。


「私にも任せてください! 光よ! 【ライトボール】」


 クリスが放つ魔法陣から、純白の光球がいくつも射出される。

 球状の光はふわりと舞い、そして一斉にトレントの関節部を撃ち抜く。


 ――ジュウゥゥンッ!


 蒸気が上がり、関節部の可動が一瞬だけ鈍った。


「クリス! 攻撃魔法を……!」

「今です! 今しかありません!」

「クリスに負けてらんねぇ! 俺もいくぜ――見せてやる、新技だッ!」


 ジョッシュが渾身の力で腕を振りかぶる。


「【魔球カーブ】――発動ッ!」


 ――シュウゥゥン!!


 魔球が放たれた瞬間、空気が圧縮されるような音が走る。

 一直線に飛び出したかと思えば、空中で急激に軌道を逸れ――


「……後ろからッ!?」


 トレントの背面に魔球が命中!

 樹皮が裂け、焦げた樹液が噴き出した。


「効いた……!?じゃあ、次は――!」


 ジョッシュが連投する。

 今度は真っ直ぐ――ストレートだ!


 ズガァアアン!!


 トレントの眼窩に直撃し巨体がぐらりと揺れる。


「いまだッ!!」


 ソーマは魔力を足に集中し、ブーストの加速で空を斬るように突進する――


 ――バシュッ!!


 剣が閃光のようにトレントの眼を貫いた。


 ゴゴゴゴ……ッ!


 巨体が、ゆっくりと――確実に――崩れていく。


《アストレイの死亡フラグが破壊されました》


 静かにスキルが表示するメッセージ。


 ――トレント、討伐完了。


「……はぁ、はぁ……」

「し、死ぬかと思った……!」

「魔球カーブ、すごかったです。見事な命中でした」


 息を切らしながら、ソーマたちは倒れたトレントの残骸を前に声を交わす。


「ジョッシュ、ぶっつけ本番とは思えないキレだったぞ」

「いやー……緊張で手汗ヤバかったけどな。クリスも、攻撃魔法まで……」

「さっき、突然スキルが……でも、嬉しいです。私にも戦える力が」


(……やはり、俺のスキルの影響なのか。もしこの力が仲間にも作用するなら、これは想像以上に……いや、後で検証が必要だな)


「さて、素材の回収に移ろうか」

「グレイ草、まだ周辺に残ってるかもしれませんね」

「あの遺品の確認も忘れずにな」


 死の運命を切り裂いたソーマたちは、次なる目的へと歩みを進める。


 ――希望という名の方向へ。

 テンポ重視で戦闘させています。

 あくまでバット製作の過程の話と判断しています。

(単純に作者に戦闘描写を書くスキルが無いだけです……)


※作者からのお願い


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