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【第五章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第二章:寄り道? いいえ、大事なフラグです

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20:北の迷い森へ――トレント攻略フラグ、準備完了

 ゼルガンの鍛冶屋を後にしたソーマたちは、その足で冒険者ギルドへと向かっていた。


 目指すは迷い森――

 そして、そこに棲む魔樹の魔物トレントが、今回のターゲットだ。


 ゼルガンの話によれば、トレントの胴体部から採れる木材こそが、ジョッシュに相応しい新たな武器――バットを生み出す鍵になる。


 だが、それは容易い仕事じゃない。

 トレントはただの魔物じゃない。

 生半可な装備や戦術では、森の肥やしにされるだけだ。


「ソーマさん、やっぱりちょっと不安だね」

「迷い森って名前からして……もう、迷う気しかしないな」


 隣を歩くクリスとジョッシュが、苦笑まじりに言った。

 その声には冗談っぽさはあれど、心配がにじんでいた。


「まあな。でも、そういう場所だからこそ、事前にしっかり情報を集めておきたいってわけさ。迷い森の地形やトレントの性質、出没時間……細かいことでも何か知っておくに越したことはない」

「だね。じゃあ、ギルドでメルマさんに聞いてみよう!」


 ギルドの扉を開けると、中は夕方という事もあり賑わっていた。

 報酬を受け取りに来た者、依頼を物色している者、仲間と作戦を立てている者……冒険者ギルドのいつもの光景だ。

 その中を縫うようにして、ソーマたちはカウンター奥の受付――おなじみのメルマのもとへと足を運んだ。


「アストレイの皆さん、こんにちは。今日は何か新しい冒険のご相談ですか?」


 いつもの穏やかな笑顔で迎えてくれる彼女に、ソーマは頭をかきながら答える。


「おはようございます、メルマさん。実は、北の迷い森方面に行く予定がありまして。ついでにその近辺で受けられるクエストがあればって。あと、トレントって魔物について、何か詳しい情報ってありますか?」


 その名を聞いた瞬間、メルマの表情が一瞬だけ引き締まった。


「……トレント。聞いたことはあると思いますが、あれは危険な魔物です。過去に何人もの冒険者が返り討ちにされています。特に、準備不足で挑んだパーティは……」


 言葉を濁しながらも、メルマは資料棚から分厚い記録簿を取り出し、素早くページをめくっていく。


「ここに記録がありますね。活動域は、ターキン樹海の深部。通常は夜明け直後と日没前に活性化する傾向が報告されてます。昼間は擬態して木のふりをしてることが多いですが、逆にその時間帯は動きが鈍く、狙いやすいとも言えます」

「昼間がチャンス……。それはありがたい情報ですね。弱点とか、他に気をつけることってあります?」

「火と雷の魔法は特に有効です。トレントの樹皮は分厚く、物理攻撃が通りづらいけど、内部は魔力に弱い性質を持ってます。それと、再生力が高いため、戦闘が長引けばそれだけこちらが不利になります。急所を見極め、手早く仕留めるのが鉄則ですね」

「なるほど……ありがとう、メルマさん。助かるよ」


 隣でクリスも真剣な面持ちでうなずいていた。


「あと、周辺のクエストで適したものがいくつかありますよ」


 メルマがクエストボードから数枚を取り出し、手元で整理してからソーマたちに見せてくれる。


【Cランク】ターキン樹海の薬草採取(採取任務)

 → 樹海に自生するグレイ草の採取。依頼主はガスト村の医師エキボス。


【Bランク】迷い森にて行方不明者の調査(調査任務)

 → 数日前に消息を絶ったパーティ【K】の捜索。高リスク。


【Cランク】魔獣討伐(掃討任務)

 → トレント出没報告区域にて活動を活発化させている低ランク魔獣の駆除。


「薬草採取は行きがけにできそうだな。ちょうど目的地の途中だし、村にも立ち寄る予定だ」

「うん、それに討伐クエストも受けておけば、道中の戦闘が無駄にならないもんね!」

「行方不明者の調査は、正直気になるけど……これは、見かけたらって感じにしよう。あまり深入りしすぎると、本来の目的から逸れてしまう」


 三人は相談し、二つの依頼――薬草採取と討伐任務を正式に受注した。

 依頼用紙を受け取ったソーマたちは、そのまま近くの冒険者用ショップで装備とアイテムの最終チェックへ向かった。


「回復ポーションよし、解毒剤よし、携帯食料と……よし、地図もあるし、マジックコンパスも忘れてないよ!」

「こっちは武器の手入れもバッチリ。服や靴も耐性布にしてあるし、問題なしだな」


 準備を終えて、猪熊亭で一夜を過ごし出発前の北門前でソーマは一度だけ深呼吸した。

 目指すは危険な迷い森、そしてその奥に棲むトレント。

 だけど、ソーマの胸には不思議な確信があった。


 今の自分たちなら――きっと、やれると。


「よし、行こうか。バットを作るための冒険……スタートだ!」

「うんっ! この冒険、絶対いいものにしよう!」


 陽が昇りきる前の王都を背に、ソーマたちは迷い森を目指して旅立った。


 森の奥には、未知と危険が待ち構えている。

 だが、その先にこそ、ソーマたちの物語がある。


 ワクワクと不安を胸に抱えながら、ソーマたちは一歩、また一歩と、静かに旅路を進めていった。

 新たな冒険の出発です。

 今章はサクッと終わらせる予定ですが作者の気分次第で変わります。


※作者からのお願い


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