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【第七章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
最終章:大団円?いいえ、未来へのフラグです

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151/152

151:フラグの果て、ゼロへ

 ――それは、世界の終わりにふさわしい光景だった。


 ――終焉の城。

 黒炎が空を覆い、地平のすべてが崩れ落ちていた。

 空間そのものが悲鳴を上げ、亀裂から赤い光が漏れている。


 そこに立つのは、八つの影。

 そして、ひとつの絶望。


 魔王を取り込み、歪んだ神性を宿したヴェリグラトス。

 その姿は、もはや神でも魔でもなかった。

 無数の蛇を背にまとい、翼を黒炎で形成した巨神。

 光すら呑み込み、存在するだけで空間を歪ませていく。


 ――勝てる保証など、どこにもない。

 だが、それでも彼らは前へ進む。

 滅びか希望か。

 その境界線に立っているのだと、ソーマは知っていた。


「……行くぞ、みんな」


 かすれた声で告げる。

 それでも、その一言に全員の心が重なった。

 恐怖を超え、祈りを超えて、彼らはただ――戦う。


 ケンが前に出る。

 金の光を帯びた刀が、音を立てて鞘から抜けた。

 背中に刻まれた勇者の紋章が、眩しく燃え上がる。


「まさか、今さらこの力を取り戻すとはな……」


 ケンは笑った。

 その笑みは、どこか誇らしげで――どこまでも父親らしかった。

 年老いた体に再び宿る勇者の光。その輝きは、若き日の彼よりも力強かった。


 ランが拳を鳴らす。

 彼女の周囲で雷光が走り、光の拳が空を焦がす。


「なら、あたしたちはその背中を押すだけよ!」

「おうよ!」


 二人が同時に地を蹴った。

 閃光のような二つの軌跡が、ヴェリグラトスの腕を斬り裂く。

 黒い血が噴き上がり、咆哮が天地を震わせる。


 ジョッシュが続く。

 炎を纏った竜炎撃棒(ドラグスマッシャー)を振り下ろし、地を砕いた。


「燃え尽きろッ!!!」


 爆炎が広がる。

 ヴェリグラトスの足が焼け焦げ、熱で軋む。

 その隙を、エルーナが見逃さない。


「――蛇嵐機構(ヴァイパーストーム)、フルバースト!」


 銃口が花開くように展開され、弾丸が雨のように放たれる。

 轟音と閃光、そして彼女の怒り。

 弾丸ひとつひとつに込められた想いが、黒翼を貫いた。


「……もう、誰も奪わせない!!!」


 叫びが響き、弾幕が闇を裂く。

 ヴェリグラトスが一瞬、後退した。


「今だ、押せェ!!」


 ゼルガンの咆哮。

 巨剣が唸りを上げ、空気そのものを斬り裂く。

 振動波が衝撃となってヴェリグラトスの胸部を打ち抜いた。


 その隙を縫い、エーメルが詠唱を完了させる。


「調律完了――【エレメンタル・レクイエム】!」


 五重の魔法陣が花開く。

 火、氷、風、雷、聖――五つの属性が融合し、光の雨となって降り注ぐ。

 それは祈りであり、葬送曲であり、希望そのものだった。


 黒い巨神が苦鳴を上げ、膝をつく。

 それでもなお、立ち上がるその姿に、全員が歯を食いしばった。


「まだだ……これで終わりじゃない!」


 ソーマは一歩前へ出る。

 剣を握る手が震えていたが、その目は決して揺らいでいなかった。


「……ゼルガンさん、あれを使います」

「……ああ。覚悟はできてるな? 一度使えば……」

「わかってます。それでも……今ここで使わなきゃ、誰も救えない。」


 ソーマは竜機剣(ドラグニル)を構えた。

 銃口が展開し、刃が光に包まれる。

 機構部が唸りを上げ、封印が外れるような音が響いた。


「――リミッター解除」


 赤い紋章が白く反転し、竜機剣(ドラグニル)全体が閃光を放つ。

 その輝きに、仲間たちの影が浮かび上がる。


 背後に龍の幻影が立ち上がる。

 紅蓮の双眸が開き、世界を睨み据えた。


「みんな、頼む! 時間を稼いでくれ!」

「任せろ!!」


 ケンの声が響き、全員が再び陣形を整える。

 ケンは刀を掲げ、叫んだ。


「よし……今だ、二人の力を俺に貸せ!」


 聖女アルマとクリスが両手を差し出し、光を送る。

 白金と紅の光が勇者の刀に流れ込み、刃はまるで太陽のように輝きを増した。


「これが勇者の力ってやつだ!!!」


 ケンの斬撃が空を裂く。

 轟音とともにヴェリグラトスの巨体が仰け反る。

 その瞬間――異変が起きた。


 ヴェリグラトスの体が震え、内部から別の魔力が滲み出した。

 黒の中に、金の光が混ざる。


「……これは……?」

「まさか、魔王の……!」


 アルマとクリスが同時に声を上げた。

 二人の聖なる光が共鳴する。


 勇者一人に、聖女が二人。

 本来ありえぬ三位一体の共鳴。

 だが、その矛盾こそが、ヴェリグラトスの内に眠る魔王を揺らがせた。


 黒の奥で、金の光が脈打つ。

 ヴェリグラトスの動きが鈍り、内部の魔王が剥き出しになる。

 コアの鼓動が、はっきりと見えた。


「ソーマさん……今です!!」


 クリスの声。

 ソーマは頷き、最後の魔力をチャージし終える。

 竜機剣(ドラグニル)の全てを解き放つ瞬間が、今訪れたのだ。


 ――その瞬間、脳内に声が響く。


《――フラグシステム、最終段階へ移行》

《対象:『世界終焉/創造神崩壊フラグ』――再定義開始》

《再定義案:自己存在ヲ犠牲ニ、因果ヲ再構築セヨ》


 ノイズの中から、聞き覚えのある声がした。


《……ソーマ。最後まで、フラグを信じ続けてくれてありがとう》

《君が選んだ物語の終わりを、私が見届ける》


 その声は、どこか優しく、懐かしかった。

 ただのシステムではない。――それは、意思だった。


「……ああ、最後まで付き合えよ」


 ソーマは微笑んだ。

 竜機剣(ドラグニル)を構え、力を解き放つ。


 光が奔流となり、周囲の景色を飲み込む。

 銃と剣が完全に共鳴し、龍の咆哮が響く。


「これが俺の――」


 刃と銃口が、同時に閃いた。


「――【ドラグゼロブレイク】!!!」


 世界が、止まった。

 時間が凍りつく。

 音も、光も、何もかもが――消えた。


 そのゼロの中を、ひとすじの閃光が走る。


 ヴェリグラトスの胸を貫き、コアが粉砕される。

 魔王の魂が解き放たれ、黄金の粒となって空に溶けていった。


「――ぐああああああああああああああああああああッ!!!」


 咆哮が、世界の終わりの鐘のように響く。

 巨体が崩壊を始め、黒炎が蒸発していく。


 そして――竜機剣(ドラグニル)が悲鳴を上げた。


「……っ、竜機剣(ドラグニル)!」


 手の中で、剣がひび割れ、銃身が砕ける。

 それでも、ソーマは離さなかった。


「……最後まで、一緒だったな」


 笑いながら、崩れていく光を見つめる。

 世界が、ゆっくりと、再び色を取り戻していく。


 空が晴れ、崩壊した城が消え、青空が覗く。

 その中心に、八人が立っていた。

 全員が傷だらけだったが――確かに、生きていた。


「……終わったのか……?」


 ジョッシュが呟く。

 ケンは空を見上げ、深く息を吐いた。


「……ああ。ソーマが、全部断ち切った」


 アルマとクリスが手を取り合い、光の中で微笑む。

 エルーナが壊れた銃を見下ろしながら、小さく呟く。


「……お母さん、見てた? 私、やったよ……」

「えぇ……全部見てましたよ……」


 エーメルが娘の肩を抱く。

 ゼルガンがソーマの肩を叩く。


「よくやったな。お前の選択が、全部救ったんだ。」


 ソーマは空を見上げた。

 風が頬を撫で、静かに呟く。


「……フラグ、全部……折れたな」


 誰に言うでもなく呟いたその言葉に、フラグシステムの残滓のような声が、最後に微かに応えた。


《――フラグ破壊、完了》

《……お疲れさま、ソーマ》

《……後は全部任せなさい》


 風が吹く。

 光が散り、静寂が訪れる。


 こうして――世界を覆った物語の呪いは終わりを告げた。

 ラスボス撃破!


※作者からのお願い


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