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【完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
最終章:大団円?いいえ、未来へのフラグです

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140/153

140:約束のフラグ

 朝靄の立ち込める王都の広場には、緊張感と熱気が渦巻いていた。

 いよいよ魔王が封印されている魔大陸アスノクスへ向けて、ソーマたち【アストレイ】と前勇者一行が旅立つ日。

 広場には王都の民だけでなく、近隣の街や村からも人々が集まり、その数は万を超えていた。

 押し寄せるような人波は、勇者一行の姿をひと目見ようと熱を帯び、祈りにも似たざわめきを広げている。


「……すごい人だな」


 ソーマは圧倒されるように呟いた。

 群衆は口々に「勇者様!」「魔王を討ってくれ!」と声を張り上げ、手を振っている。

 その目は期待と不安で揺れ、同時に願いを託す色があった。

 ――勇者ならきっと帰ってくる、という信頼と、それでも心の奥底に沈む恐怖。


 その視線の先、壇上には王国を治めるアルヴェロ王が立っていた。

 凛然とした姿に威厳を漂わせながらも、瞳の奥には国を背負う者としての祈りが込められている。


「先の英雄たち、そして【アストレイ】よ」


 アルヴェロ王の声が広場に響き渡る。重々しく、しかし温かさを含んだ声音だった。


「……そなたたちがこの世界を救う希望であることは誰もが知っている。だが決して忘れるな。希望とはただの幻想ではない。人が心に描き、信じ抜いた時に初めて形を成す」


 王は一歩前に出て、壇上からソーマたちへ真っ直ぐに視線を投げかけた。


「――必ず帰ってくるのだ。その姿を、民が待っている」


 その言葉を全身で受け止め、ソーマは強く頷いた。

 胸の奥に灯る炎が一層大きくなる。


「……必ず、帰ってきます」


 そのやり取りを横で聞いていたのは、冒険者ギルドマスターのカルヴィラとメルマだった。

 カルヴィラは腕を組み、いつもの飄々とした笑みを浮かべていたが、その眼差しには張り詰めた鋭さが宿っていた。


「一年前に、魔王に対抗する切り札になるかもな、とは言ったが……まさか本当にこうなるとはね。全く、私の勘も捨てたもんじゃないね」


 そして真顔になり、ソーマをまっすぐ見据える。


「ここまで来たら言うことは一つだ。全力でやれ。後悔はするな。……帰ってきたら、その土産話を肴に奢らせてくれ」


 メルマがその隣で微笑み、ソーマに歩み寄った。


「ソーマさんが旅立つのを誇らしく思います。……でも、危険な場所に行くのだから気を抜いちゃだめですよ。ギルドの仲間たちも皆、あなたの帰りを信じてます」


 ソーマは二人に深く頭を下げた。


「カルヴィラさん、メルマさん……ここまで導いてくれて、ありがとうございました。必ず生きて帰ります」


 ――視線を感じて振り返る。

 そこにはリンがいた。

 群衆の目があるにもかかわらず、彼女は涙を堪えきれずにソーマへ駆け寄った。


「ソーちゃん……!」


 震える声とともに、リンはソーマを強く抱きしめる。


「小さい頃から手のかかる弟だったのに、こんな大役を背負うなんて……。無茶ばっかりして、お姉ちゃん、心配で仕方ないよ」


 ソーマはその背を優しく叩き、耳元で囁いた。


「大丈夫だよ、姉さん。……俺は必ず帰ってくる。帰って、今度は姉さんを安心させてやる」


 リンは涙混じりに笑い、強引に言葉を続けた。


「……これってプロポーズだよね!? 帰ってきたら結婚するんだからね!」


 その茶目っ気のある言葉に、広場が一瞬ざわめき、仲間たちからも苦笑が漏れる。

 ソーマは頬を赤らめながらも真剣な瞳で応じた。


「……約束だ。必ず帰ってくる」


 そのやり取りを胸に刻み、ソーマは仲間たちと前勇者一行へ向き直った。

 ジョッシュがいつも通りの調子で肩を叩く。


「おーし、行くぞ行くぞ! 魔王ぶっ倒して、帰ったら大宴会だ! 肉も酒も腹いっぱいだ!」


 エルーナは苦笑しつつも頷いた。


「……あんた、本当に緊張感ないね。でも、まあ……それくらいの方が安心できるかも」


 クリスは静かに祈るように手を胸に当てた。


「創造神アスエリス様、我らに力を……皆が笑顔で帰ってこられますように」


 そして前勇者たちもまた、成長した我が子をたくましく、誇らしげな眼差しを注いでいた。

 ソーマはその視線を受け止め、強く息を吸い込む。


「……行こう。必ず帰るために」


 一行は飛竜便へと乗り込む。

 巨大な飛竜が翼を広げ、空を裂くように舞い上がった瞬間、広場からは祈りと歓声が轟いた。

 ソーマは振り返り、手を振る。

 民の笑顔と涙が揺れるのを胸に刻み、飛竜は南の港町へと向かって飛び立った。


 ◇   ◆   ◇   ◆   ◇


 南の港町に到着したのは、夕方だった。

 空気は塩の匂いを含み、潮風が頬を撫でる。

 遠くに見える海の水平線が、これからの旅の過酷さを予感させた。


「おお、待っていたぞ!」


 低く豪快な声が港を揺るがす。

 そこに立っていたのは、鋼大陸を治めるウォーガン王だった。

 逞しい体躯に鋼の鎧をまとう威風堂々たる姿。


「アスガンドの技術を結集させた船を用意した! これならどんな嵐でも魔族でも恐れることはない! 存分に使うがよい!」


 港に停泊していたのは、黒鉄の船体に複雑な紋様が刻まれた巨大な帆船。

 ドワーフの技術者たちが誇りを込めて作り上げたその船は、まるで要塞のように堅牢で、見る者に安心感を与える。

 ソーマはその光景に思わず息を呑んだ。


「これが……ドワーフの技術……」


 ウォーガン王は豪快に笑い、ソーマの肩をがっしりと掴む。


「そうだ! お前たちが立つ舞台は世界の命運を決める戦場だ。その船は、お前らを最後の地まで運ぶためにある! 堂々と乗り込むがいい!」


 ソーマは強く頷き、仲間と共に船へ足を踏み入れる。

 甲板の上から見下ろす港には、再び多くの人々が集まり声援を送っていた。

 クリスがその光景に微笑み、ソーマに小声で告げる。


「こんなにも多くの人々が、私たちを信じているんですね……。絶対に負けられません」


 ソーマは拳を握りしめ、胸に誓う。


「――必ず、勝つ。そして、生きて帰る」


 船が港を離れると、人々の声は遠ざかり、波の音だけが響く。

 目の前には、果てしなく広がる大海原。


 その向こうに待ち受けるのは、魔大陸アスノクス――魔王が封じられし地。


 いよいよ、最終決戦の幕が上がる。

 最終章突入です。

 作者がどのように物語を完結させるのかお付き合いください。


※作者からのお願い


投稿のモチベーションとなりますので、この小説を読んで「続きが気になる」「面白い」と少しでも感じましたら、↓の☆☆☆☆☆から評価頂き作品への応援をよろしくお願い致します!


お手数だと思いますが、ブックマークや感想もいただけると本当に嬉しいです。


ご協力頂けたら本当にありがたい限りです。

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