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【第七章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第六章:新年会? いいえ、波乱のフラグです

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114:裏切りの旗に潜むフラグ

 大聖堂を震わせる戦いの渦中――

 シオニーのかすれた叫びは、確かにソーマの胸に届いていた。


「……お願い……! 誰か、私を……止めて……! 誰か……ユーサーを……助けて……!」


 その声は泣き声にも似て、哀願にも似ていた。

 冷たい光弾を放ちながら、その奥に隠された心は必死に抗っている。


 ソーマは迫る斬撃を受け止めながら、胸の奥に熱を覚えた。


(そうだ……シオニーも、ユーサーも……本来なら仲間を裏切るわけがない。あいつらは誓っていた……絶対に仲間を守り抜くって……!)


 そう思った瞬間、脳裏にひとつの不吉な記憶が蘇る。


(……裏切りフラグ!)


 ソーマは短く息を呑んだ。


(俺はあの通知を切っていた……! だからシオニーを見かけた時も気づけなかった……!)


 血と叫びが飛び交う戦場の最中、ソーマは内に潜むスキルを叩き起こすように意識を集中させる。

 瞬間、視界の端に無機質な文字が浮かんだ。


――〈裏切りフラグ通知:ON〉


「……ッ!」


 わずかな点滅。

 その直後――赤黒いアイコンが視界に警告として浮かび上がった。


《シオニーの裏切りフラグが発生しました――破壊しますか?》


「……やっぱりか……!」


 ソーマは奥歯を強く噛みしめる。

 だが同時に新たな表示が走る。


《構造解析開始……因果ポイントを特定中……》


「チッ……時間がかかる……!」


 その隙を逃さず、ユーサーの剣が稲妻を伴い振り下ろされた。

 雷鳴のような衝撃が響き、ソーマは竜機剣(ドラグニル)を構え引き金を引く。


 剣の柄に収められた弾倉の魔弾が一つ砕ける。

 その魔力が刃に纏わりつき、青白い光が奔流となって溢れ出す。


「サンダーエッジッ!」


 ユーサーの稲妻の一撃と、魔弾に込められた雷の魔力を纏った竜機剣(ドラグニル)の斬撃が激突した。

 雷と雷が衝突し、轟音と爆風が大聖堂を揺るがす。

 爆ぜた魔力の火花が床を焼き、天井のステンドグラスを粉々に砕いた。


「ぐっ……! まだ……耐えられる!」


 痺れる腕を必死に押さえ込みながら、ソーマは後退せず立ち向かう。


(解析が終わるまで……絶対に倒れるわけにはいかない!)


 その直後、ユーサーが距離を取り、雷を纏わせた掌を突き出した。

 青白い稲光が奔り、矢のように一直線にソーマへと襲いかかる。


「……なら、こっちもサンダーバレット!」


 ソーマは竜機剣(ドラグニル)を銃に変形させ、引き金を引く。

 雷の魔弾が発射され、稲光を撃ち落とす。

 爆裂する光の渦の中で、互いの力が拮抗する。


 するとユーサーは剣を構え直し、雷の奔流を纏わせた。

 剣を薙いだ瞬間、閃光が奔りソーマに襲い掛かる。


「……ッ、こっちだって!」


 ソーマは竜機装(ドラグレギナ)の左腕を前に突き出した。


「シールド、展開!」


 竜の紋章が刻まれた六角形の障壁が腕部から広がり、雷撃を正面で受け止めた。

 衝撃で床が裂け、聖堂の柱が軋む。

 雷光が壁を焼き焦がしながらも、シールドは必死にそれを押し返す。


「ぐぬぅぅ……! 押し負けるかよッ!」


 ソーマの全身に竜の魔力が流れ込み、盾が強く輝いた。

 雷光が弾かれ、稲妻が四方に散って壁や天井に突き刺さる。


「ソーマ! 大丈夫!?」


 背後からエルーナの声が響く。

 彼女もまた蛇の魔物を撃ちながら、必死にソーマを見守っていた。


「……そうだエルーナ! 竜眼照準(ドラグスコープ)でユーサーを見てくれ!」

「え……? どういうこと!?」

「いいから! あいつの体……いや、身につけてる物を視てくれ!」


 エルーナは頷き、片眼鏡でユーサーを観察する。

 竜眼照準(ドラグスコープ)が赤く輝き、彼女の瞳にユーサーの姿が鮮明に映し出された。


「……これは……!」


 エルーナの声が震える。


「……不気味な魔力が……マントに集中してる……! あれは……」


 ソーマもユーサーの背を見据える。

 青いマントが風に翻り、その布地に刻まれた模様が目に入った。


「……それは……!」


 視界に焼きついたのは――かつて自分が作り、仲間と誇りを分かち合った【栄光の架け橋】の旗。


(……捨ててなかったのか……)


 胸が熱くなる。

 追放し道を違えた後も、それをマントに加工してまで纏っていたユーサー。

 その事実に、こみ上げる想いがソーマを満たした。


「……やっぱり、お前は……! 仲間を捨ててなんかいない!」


 ソーマの瞳に力が宿る。


「ユーサー! その旗が証拠だ! お前の心はまだ……繋がってる!」


 その瞬間、解析ウィンドウが点滅する。


《因果ポイントを特定……》

《原因:ユーサーのマントに込められた■■■■■■の魔力》

《提示:ユーサーのマントの破壊》 


「……その旗を汚す鎖を……俺が断ち切ってみせる!」


 ソーマの声は、大聖堂の残響にすら打ち勝つほどの確信と誓いに満ちていた。

 次回ユーサーとの戦いを決着させます。


※作者からのお願い


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