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【第五章完結】すべてのフラグを壊してきた俺は、転生先で未来を紡ぐ  作者: ドラドラ
第一章:おしまい? いいえ、始まりのフラグです

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11:フラグブレイカー

《――破壊しますか?》


 空間に突如浮かび上がった問い。

 それはまるで、ゲームの選択肢のようだった。

 けれど前世の記憶が戻ったソーマには、もう迷いなどなかった。


「……ああ、壊してやるよ。そんな未来、くれてやるかよ……ジョッシュが死ぬなんて、絶対に許せない……何度でも言う……絶対にだ!」


 破壊する。


 決意を示した瞬間、空間がきしむような音を立てる。


《スキル:フラグ破壊 が解放されました》


《破壊対象:『ジョシュアの死亡フラグ』》

《構造解析開始……因果ポイントを特定……》

《提示:ジョッシュアの説得、もしくは結界の維持をしてください》


(これは……スキルが俺にどうすればいいのか教えてくれている? だったら――)


「ジョッシュ、落ち着け! 今、結界を解除したら三人とも終わりだ!」

「兄さん、私ならまだ……! 結界は維持できます。だから……どうか冷静に!」


 顔を真っ赤にし、肩で息をしていたジョッシが、ソーマたちの言葉にハッと目を見開いた。


「……ソーマ、クリス……ああ、そうだな。俺……少し、取り乱してた」


《ジョシュアの死亡フラグが破壊されました》


(よし……!)


 心の中でガッツポーズを取った直後、再び脳内にフラグが表示される。


《ソーマ、ジョシュア、クリスティーナの死亡フラグが発生しました――破壊しますか?》


(くっ……! まだ死亡する運命自体は変えられていないって事か……!)


 だが、ソーマの答えは迷いなく出た。


(……やるしかないだろ。全部、ぶっ壊してやる!)


《破壊対象:『ソーマ、ジョッシュア、クリスティーナの死亡フラグ』》

《構造解析開始……因果ポイントを特定……》

《提示:結界の維持もしくはゴブリンの掃討をしてください》


(……! わかってるよ、そんなの。出来ないから死亡フラグが立ってるんだろ……でも……今はやるって決めたんだ!)


 そんなソーマの決意に応える様にフラグが反応する。


《了解――魔力を消費し死亡フラグへの干渉を開始します》


 その瞬間、ズシン、と頭に衝撃が走る。

 脳が締め付けられる痛みとともに、全身から魔力が抜かれるような感覚が襲った。

 今まで魔道具に魔力をチャージしていた時とは桁違いの魔力の消費だ。


(これが……死亡フラグへ干渉するって事か……体が重い……でも、生き延びるためなら)


《構造解析開始……因果ポイントを特定……》

《提示:ゴブリンを迎撃しつつ結界を維持し耐えてください》


 スキルの提示の結果未来がどう変わるのかは分からない。

 だが今のソーマには頼るしかなかった。


「ジョッシュ、クリス! 俺が外で迎撃する! ジョッシュは結界内から魔球で援護を! クリス、絶対に結界を切るな!」

「でも、それじゃ……ジリ貧になるだけですよ!」

「待て、それなら俺が囮になるって話だろ!」


「時間を稼ぐんだ! ここは……俺に任せてくれ!」


 二人は一瞬、迷った表情を浮かべる。

 しかし、すぐにうなずいた。

 ソーマは剣を抜き、結界の外へと飛び出す。

 外気に触れた瞬間、雰囲気が一変した。

 殺意と暴力だけが凝縮したような群れが牙を剥いて襲いかかる。


「こいよ……死にたい奴から、順番にな!」


 刃が閃き、ゴブリンの喉を裂く。

 血が噴き出し、地面を赤く染める。

 次いで、二体目、三体目。

 殺到するゴブリンを、ソーマは休む間もなく斬り捨てていく。


「ッ……はぁ、はぁっ……!」


 重い。

 全身が鉛のように重い。

 そのとき、背後からの殺気。


「っ……!」


 反射的に飛び退く。

 ゴブリンナイトの盾を構えての突進になんとか反応する。


「ちぃっ……!」


 剣を下から振り上げる。

 狙いは、脇腹、だが――


「くそ、硬ぇ……!」


 鎧に刃が弾かれ、逆にゴブリンナイトの拳がソーマの腹を抉る。


「ぐっ……!」


 肺の空気が押し出され、視界が歪む。


「ソーマ! 魔球ストレート、くらえ!」


 ジョッシュの魔球が、ゴブリンナイトの後頭部に炸裂。

 怯んだ隙に、ソーマはなんとか距離を取った。


(倒し切る必要はない。今はスキルを信じて耐えるんだ! 時間を稼げ――)


 斬っては避け、避けては斬る。

 一瞬の油断が命取りになる状況で、ソーマは自分自身に言い聞かせる。


「耐えろ……耐えろ……!」


 喉が焼ける……目が霞む……だが、足は止めない……止められない。


 だが――


 ゴブリンジェネラルが、耳を劈くような咆哮を上げた。

 群れがさらにクリスの結界へ殺到する。


「ソーマさん、もう限界です……!」

「俺の魔力も、もう……!」


(ここまで……なのか……)


 三人が諦めかけたその時だった。


 ――ズドン!


 視界の端で、ゴブリンの頭が弾け飛んだ。

 二体目、三体目、次々と、鮮血が飛び散る。


「何だ……!?」

「ソーマ! 援軍だ!」


 ジョッシュの叫びに振り返ると――


 部屋の入り口から、駆け込んでくる複数の影。

 それは――


「生きてるかい! ソーマ!」


 Bランクパーティー【オクトヴィア】。

 先頭を走るラチーナの拳が、ゴブリンを粉砕する。


「よく耐えたね、あんたたち! ここからは【オクトヴィア】に任せな!」


《干渉起動――オクトヴィアの援護》

《ソーマ、ジョッシュア、クリスティーナの死亡フラグが破壊されました》


(俺たちは、生き延びたんだ……! まだ終わっちゃいない――でも、運命は変えられるんだ!)


 胸の奥で先ほどまでの絶望が、少しだけ軽くなるのを感じた。

 眼前の戦場はまだ終わっていないが、確かに何かが変わったと実感していた。

 これが今の私にできるフラグを使った戦い方です。


※作者からのお願い


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― 新着の感想 ―
お初です。レビューまでありがとうございました。 神様からの意味不明ギフトからのパーティー脱退。 初めの文章を読んでて、あぁまたこのパターンかと、読むのをやめようと思いましたが、いつの間にかここまで読ん…
クリスのように凄いギフトに振り回される人もいるんですね。 とりま、三人の成り行きを見守ります。 (╹▽╹)
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