ピザあるいはピッツァ騒動〜イタリアンは恥ずかしい?〜
これは、その知り合いAさん(イニシャルはAでもなんでもなく、他意はございません)が、家族で某イタリアンチェーン店に行ったときのお話です。
店に入り席についたAさんは、なにか頼もうとメニューを開きます。
するとそこには……恥ずかしい言葉がズラリ!
メニューを開いて恥ずかしい言葉?と思われるかもしれませんが、Aさんにとって某店のメニューに並ぶ料理名、カルボナーラやら、スパゲッティやらは、とても口には出せない恥ずかしい言葉なのです。
「ペペロンチーノ」?「モッツァレラ」?「タリアータ」?「カルパッチョ」?「ミネストローネ」?……そんなの、恥ずかしすぎる!!!
――この感覚に関しては、同意する方がいるのかわかりませんが、なんでも、イタリアン独特の伸ばし棒や促音、舌を巻く感じが恥ずかしいようです。私は……理解できなくもないけど、そこまで気にならないなぁ……といったぐらいです。
ここでは、Aさんにとってすごく恥ずかしいのだと認識してもらえればいいです。
さて、ともかくメニューを見て食べるものを決めたAさん。
それは……ピザ。
ピザというくらいならAさんでも大丈夫。しかし、Aさんは迷います。なぜなら、メニューにかかれていたのはピザではなくピッツァ。
恥ずかしい、これは恥ずかしいです。ピザではなくピッツァと口に出す。これなら、Aさんでなくとも、躊躇う、あるいは恥ずかしがる人がいるかも知れないくらいです。
メニューを何度みても、ピッツァです。ピッザァと言って誤魔化すわけにもいきません。
でもAさんはピッツァが食べたい。
意を決してベルを鳴らし、店員さんがやってきます。
なんという羞恥プレイ。家族もいて恥ずかしさもひとしおななか、Aさんは注文を伝えます。
「……――ピッツァ一枚……」
「はい、――ピザですね」
Aさんの心境といえばまさしく「は?」。この一言に尽きます。
Aさんが恥を忍んで口にした「ピッツァ」は店員さんの「ピザ」にあえなく撃沈。
まるで、真面目に話していたのに、「厨二病っぽいね……」と引きぎみに苦笑されたような感覚。
決して、カッコつけようと思ったわけではないんです。Aさんはメニューを真面目に読んだだけなんです。
Aさんはくさいセリフを言って、それを指摘されたかのような深刻なダメージを受けながらも、ピッツァを食べたのでした。
この話には続きがあります……
時間とともにダメージを回復し、羞恥を悔しさへと変えることで傷をいたわるAさんは、そもそもピザとピッツァの違いを調べたのです。
ピザとピッツァの二種類の言葉があるから悪いと言わんばかりですが、ちゃんと使い分けがありました。
なんでも、ピッツァには、生地の材料として「水、小麦粉、酵母、塩」のみを使用し、生地は必ず手だけで伸ばし、窯で焼いたもの、という決まりがあるのです。
店のメニューにはピッツァと書かれており、材料やこね方まではわかりませんが、たしかに窯焼きであったと記憶しています。つまりは……
「じゃあオレがあってるやん!!」byAさん
前回のダチョウかもしれなくもない話が好評だったので、再びエッセイを書いてみました。前回に続き、何のテーマもない心底どうでもい話ですが、お付き合いいただき、ありがとうございました。
余談:イタリアンのメニューを口にする時は、下と唇の動きを意識してみてください。そうすれば、きっと羞恥心を感じられます。よね?