天王寺とミナミとキタ
私の住処は大阪市の南東の端です
昔は地下鉄もなく市バスだけが通る陸の孤島と揶揄されていました
また、大昔は大きな池だったらしく、そこを埋め立てて家を建てているので、水はけが悪く大雨が降ると一面池に逆戻りするような所でした
そんな時はその池に船のプラモデルを浮かべてよく遊んだものです
当時は街に出かける時に市バスの場合は「あべの橋」行きというのが今もそうなのですが一番多く便がありそれに乗車しました
途中「平野駅筋」という停留所がありそこから当時の国鉄関西線の平野駅まで少し歩いてその電車にのり「天王寺」まで行くこともありました
さて、この「あべの橋」と「天王寺」という地名ですが、大阪ではほぼ同義語として使われます
そう、同じ場所という感覚です
実際はどうなのか?というと・・・
今はあべのハルカスという日本一高いビルが建っているところは元々近鉄百貨店の阿部野橋店があったところで、ハルカスに建て替え後は本店と名前を変えて中に入っています
そして近鉄電車南大阪線の大阪側の始発駅である阿部野橋駅が併設されています
実際の住所も大阪市阿倍野区となり陰陽師で有名な安倍晴明の阿倍一族に縁のある地域なのです
この阿倍野の表記も、近鉄は阿部野というように、「倍」が「部」に変わって表記されています
近鉄は過去にも社名に対する漢字表記で「鉄」は金を失うので縁起が悪いとのことで、金へんに「矢」という字をあてて「てつ」と読ませていました
では、天王寺は?
このハルカスの北側に面する国道25号線から同43号線へと繋がる道路を挟んで向かいにJR天王寺駅があります
住所も大阪市天王寺区になり聖徳太子が建立したという四天王寺が区名の由来です
そしてハルカスのある阿倍野橋側とJR天王寺駅側は道路の上の陸橋で結ばれています
また、ハルカスの西側に路面電車である阪堺電気軌道の天王寺駅があるのですが、この駅の所在地は実は阿倍野区になります
なので、一般感覚としてあべのまたは阿部野橋と天王寺は同じエリアなのです
私達の地域の住民はまずこの天王寺が近場で一番の繁華街となります
さらに繁華街へ行くときは服もそれなりに着替えてミナミと呼ばれるエリアに行きます
ミナミと呼ばれるエリアは「難波駅」から「心斎橋駅」の辺りです
天王寺駅から地下鉄御堂筋線に乗車すると駅順は動物園前、大国町、なんば、心斎橋となり3分に一回ぐらいくる御堂筋線では15分ぐらいで着くエリアです
私の住処は先程も申し上げたように大阪市内なのですが、親世代は何故かこのミナミへ行くときは「大阪へ行く」と言っていたのを覚えています
じゃあ、自分はどこに住んでいるんだろう?になりますよね?
そしてこのミナミも繋がってはいるのですがなんばエリアと心斎橋エリアに別れます
なんばエリアの方がカジュアルといいますか心斎橋エリアより雑多な雰囲気がします
かつて、なんばエリアは若者で心斎橋はもう少し大人な客層でした
現在は心斎橋エリア西側の御堂筋を渡ったところにアメリカ村というエリアが発展してきたので、若者も多く出歩いています
さて、私の住んでいる大阪市南東部からはミナミエリアは北西の位置になります
家の近所でタクシーに乗り「ミナミへ行ってください」と伝えると100%の車が北に向いて走ります
おかしいと思いませんか?「ミナミへ」と言っているのに北向きに走り出す・・・
多分、大阪市東部でも「ミナミへ」と言うと西に向いて走ると思いますね
最後に一番オシャレで物価の高そうなキタエリアです
さて、ここでも阿部野橋と天王寺みたいなことが起こります
キタエリアの駅には梅田駅と大阪駅が存在します
私鉄と地下鉄は梅田駅で、JRは大阪駅なのです
これが大阪人にとっては冗談話になることなんですが、JR大阪駅の辺りで「梅田へ行くにはどう行ったらいいですか?」と聞かれることがあります
それは駅を指しているのではなくエリアを指しているんですね
答えるのがとても難しいのです
そここそが大阪人がキタと呼ぶエリアなのです
先程のミナミの心斎橋駅からは地下鉄御堂筋線では本町、淀屋橋、梅田となりこれまた15分で充分到着する距離です
なので天王寺駅からも地下鉄御堂筋線で30分もあれば到着します
位置関係で言うと天王寺が一番南でその北側にミナミがありその北側にキタがあるのです
ミナミとキタの言い分けはそこからです
天王寺はまた別物ですね(笑)
阪急の梅田駅からは神戸線、宝塚線、京都線があり、JR大阪駅からは幹線の東海道本線である京都線や神戸線で京都以東から神戸以西まで乗換なしで行けるエリアで交通の便がすこぶる良いところです
それに大阪府北部の北摂と呼ばれるエリアは住んでいる人も私が住んでいるエリアよりもオシャレ感があると感じています
なので、キタエリアで買い物をする客層は、ミナミには来ない・・・ましてや天王寺なんて・・・みたいな感覚です
私達のエリアの住人も今は地下鉄谷町線があり東梅田まで乗換なしでいけるのでキタエリアに行くことが増えましたが、かつてはミナミエリアどまりでほとんど行ったことが無いエリアでした
ちなみに大阪はキタからミナミ、天王寺に向かうにつれてどんどんディープな大阪が出てきます
あの串カツで有名な新世界と言われるエリアはミナミエリアの難波と天王寺のちょうど真ん中にありどちらからも少し距離はありますが徒歩で散策できます
何故その違いが出るのか?
それはまさにそのエリアの主要駅をよく利用する層がどの辺りの住人なのか?によるものです
実は大阪は過去の摂津、河内、和泉の国のそれぞれの国民性の違いがうまく共存しているところだとも言えると思います
そう大阪人も十把一絡げでは表現できないのです