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鍾乳洞からの脱出(2)

 

《ちょっとー? なんで止まるの?》


《分からん。ルシウスが》


 ルシウスはノインをアスラから降ろし、壁際に背をもたれさせるようにして座らせた。それからシクレアを手招きし、ノインを指差した。


《うんうん、分かった。守れってことね》


 シクレアが頷いてノインの側で空中浮揚する。ルシウスはそれを見届けると、今度はアスラを手招きして、今しがた通って来た道を指差した。


《まさか、迎え討つのか?》


 アスラが訊くと、ルシウスは指をちょいちょいと二度曲げ、地面を示した。

 そしてアスラの体を軽く叩いて、元来た道を駆け出した。


《興味深いわね。どういうこと?》


《分からん。が、ついてこいということだろう。ノイン様を頼む》


《分かったわ》


 アスラがルシウスについていくと、地面に転がった三本の槍が目に入った。

 ルシウスはそれらを収納魔法で回収し、一本だけを手にして、アスラに手振りで投げることを伝えた。アスラは自分のするべきことを覚り、頷いて見せた。


 ルシウスとアスラがその遣り取りを済ませたところで、マーマンが三体、ペタペタと水掻きを鳴らして掛けてきた。顔は牙だらけの魚で、全身が櫛鱗に覆われた人という姿の魔物。肩幅が広く、上背があり、体は筋肉で引き締まっている。


 ルシウスはその姿を確認すると、槍を振って挑発した。マーマンが奇声を発して駆ける速度を上げると、ある程度引きつけてから槍を投擲。それがマーマンに突き刺さるのを視認すると、すぐに収納魔法から次の槍を取り出し投擲した。


 二本目に投げた槍が、別のマーマンに突き刺さる。

 そこでルシウスはアスラの胴体を軽く叩いた。


《見事としか言えんな!》


 アスラは体に刺さった槍を引き抜こうとしているマーマンに襲い掛かり、素早く首筋を噛み千切り突き飛ばした。マーマンは傷から血を噴出させながら、最後尾を走っていた無傷のマーマンにぶつかり転倒。アスラはその機を見逃さずに追い討ちを掛け、あっという間に二体のマーマンを仕留めた。


 残るは、最初の一匹。そのマーマンは、体から引き抜いた槍を構え、アスラの背後に忍び寄っていた。アスラが向き直ると、マーマンの体にまた槍が突き刺さった。ルシウスが投擲した三本目の槍。アスラはニヤリと笑い、残る一匹にもトドメを刺した。


「うわちゃ、血塗れになっちゃったね」


 ルシウスはアスラを水魔法で洗い、マーマンを収納魔法に収めるなどした後で鍾乳洞を脱出。ノインと共に、ガーランディア城へと帰還した。

 

 

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