表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/117

7

 

 共感……なのかな?


「なんか、少し違うかも。共感してるって感じではないと思うんだけど……」


「そう? ノインは、選ばなかった方に共感しちゃってるように思えるけど。スキルを見て、この魔物はいらないって思ってる自分が嫌なんじゃないの?」


 私はドキリとした。思いもよらなかった。完全に図星だ。


「僕は昔、使用人になる奴隷を選ばされたことがあったんだけどね、ノインと同じで選べなかったんだ。選ばれなかった奴隷のことを考えると、どうしてもね。なんていうか、自分だったら、いらないって言われたら辛いなって思っちゃってさ」


「いらない……」


 私は、前世でよくそういった意味合いの言葉をぶつけられてきた。

 なにくそって跳ねのけてきたけど『あれはない』とか『呼ばなくていい』とか言われてるのを聞くと、やっぱり傷ついた。


 容姿以外でもそうだった。陸上競技で選手に選ばれたことも一度もなかった。

 現世でも、三歳まではルリアナのせいで、いらない子扱いだった。


「そっか。私、自分が選ばれなかった方だから、切り捨てる側に回ってるのが納得できなかったみたい。無意識に、根に持っちゃってたのね……」


「え? 何? 選ばれなかったって? ノインが?」


「アハハ、ごめん、気にしないで。独り言」


 私は慌てた。思わず口に出しちゃってたわ。

 急いで魔物図鑑をめくって、誤魔化す。そこで手が止まる。


「あ……決まった、かも」


 私が手を止めたのは、最初に『いらない』と除外した魔物の頁。

 この世界で最も弱く、他の魔物の餌になるしかない魔物。

 素材に用途がなく、それでいて繁殖力だけはあるから、大発生すると餌を求めた他の魔物を集める厄介者。人からは凄く嫌われていて、常に駆除対象になっている。


 ルシウスが、私の開いた頁を見て渋い顔をする。


「ノイン、いくらなんでも、その魔物は駄目だよ。戦力の拡充にはならない」


「ううん、いいの。ルシウスの顔を見たら、心が決まっちゃった」


「何それ? どういうこと?」


「だって、これまで私のすることに反対したことなかったでしょ?」


 私は魔物図鑑を閉じ、フォークを手に取った。

 そうと決まれば、あとは見つけて交渉するだけ。


「ノインって、天邪鬼なんだね。しばらくアデル先生と戦えないよ」


「それは大丈夫。ルシウスが一緒に戦ってくれればいいだけだもの」


 ルシウスが口をぽかんと開けるのを見て、私は笑う。

 次の仲間は、通称『役立たず』のウインドゼリーフィッシュ。

 腹が減ってはなんとやら。あんまりお腹は減ってないけど、私は目の前にある早めの昼食をもりもり食べた。薄味だけど、素朴な味つけで美味しかった。

 

 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ