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翌朝、問題発生。私一人ではアスラにもディーヴァにも乗れないという事実が発覚。乗ってもちょっと動かれると、手がすっぽ抜けて横にコテンとなってしまう。
これではあっという間に頭を打って死んでしまう。
そういう訳で、蔓をより合わせたロープを作ってルシウスと体を縛り、二人乗りすることに。私が前で、ルシウスが後ろ。抱えられて乗る形だ。
「毛を掴んでるけど、たぶん、痛いよね? 大丈夫か訊いてみてくれない?」
ルシウスに言われて、それを二匹に確認。出発前に試してみたけど、やっぱり毛を掴んでの騎乗は双方にとってあまりよろしくないようだった。
なので、蔓のロープをくわえてもらい、それを手綱にして乗ることになった。
《行きたいのは、あの崖の上なんだけど、いける?》
《あんなもの雑作もありませんよ》
アスラは私たち二人を乗せた状態でも、難なく崖の上へと駆け上がった。
どちらかといえば、難があったのは私たちの方だった。
もう大絶叫。シクレアにうるさいと叱られるくらいには叫んでしまった。
完全に発展途上アクティヴィティだわ。
ルシウスがいなかったら確実に死んでたわね。
アスラとディーヴァは森を駆け慣れているので、予想以上に速かった。
いろいろと即席だったし、その上アスラとディーヴァを交代させながらの強行。大丈夫なのかと不安だったけれど、なんとルシウスは見事に乗りこなしてしまった。
びゅんびゅん風を切って走る中、私が落ちないように抱えて体重移動するルシウス。これには、私の胸キュン大爆発。昼食休憩時には、二匹も大絶賛だった。
《人を乗せたことなどなかったが、なかなかに楽しめるものだな》
《えぇ、もっと辛いものかと思っていたのですけどね。胸が躍ります》
《ルシウスが体の向きを変えてくれるからな。それに合わせて動くと、こう、普段よりぐんと力が乗る感じがしてな》
《そうそう。それがとても心地良いんですよね》
「ルチウちゅ、褒められてりゅよ!」
「え、そう? 僕は乗馬があまり得意じゃないから、きっとアスラとディーヴァが乗りやすくしてくれてるんだよ」
謙遜して照れ笑いする皇子様。今日もごちそうさまです。
うっとりしながら、事前に用意していた串焼き肉を食べて、少しお腹を落ち着かせたらまた出発。みんなに助けられてばかりいるようだけど、私だってちゃんとやることはやっている。
「あっちは駄目! まみょにょがいりゅ!」
「分かった!」
こんな感じで、魔物のいる場所を伝えて遭遇を避けている。こういうことを繰り返しているうちに、徒歩二日の距離は、半日と少しにまで短縮できた。




