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幼なじみのトリオ

「あ! ジャンやっと来た!」


 3人のうち唯一の女子であるリディー。


「おっせーな。こういうときも、のんきだな」


「おーいこっちこっち」


 ぽっちゃりのアシルとひょろっとして背の高いアルマンが、突っかかってくる。最初に言ったほうがアシルで、次がアルマンだ。


 肩車から降ろしてもらった俺は、リディーたちのところに行く。


「ジャンはいつも通りだね。緊張しないの? 俺、昨日まったく寝られなかったよ」


 アルマンが言う。その顔はこわばっていて、緊張しているのがわかる。


「だよな……」


 アシルがうんうんと頷く。


 言われてみると、アシルとアルマンの顔色は優れない。


「あんたたち本当に緊張に弱いわね。私はバッチリ睡眠取れたから、今日は完璧よ!」


 胸を張るリディーの目の下にも、うっすらとクマがある。


 アシルが張り合うように声を上げる。


「そ、それだったら俺も! すぐ寝た!」


 そんなアシルだが、目の下にはくっきりとクマが出きている。


 やっぱりみんな緊張しているんだな。俺は気楽だ。スキルはなんでもいいんだから。


「まあ、どんなスキルだって、どうにかなるでしょ」


 緊張を和らげようとそう言うが、アシルとアルマンの顔色はより悪くなる。


「俺は冒険者になりたいんだよ。なのに算術スキルなんてもらったら……もう無理」


「そうだよ! 僕たちドラゴンの両翼は、国一番の冒険者になるんだから」


 前にもそんなこと言ってたけど、マジだったのか。そこまで思っているなら、いいスキルが当たるといいな。でも、ドラゴンの両翼って、どんな中二だよ!


「私は料理スキルがほしいな」


「じゃあお店継ぐの?」


「もちろん! いつかは王都にお店を移すんだ。そして貴族の方たちや格好いい冒険者を相手にして、休みの日はいろいろなお店を回るの……」


 リディーは将来を思いうっとりとした表情を浮かべる。


 リディーの家は庶民は食堂じゃん。王都で店を出しても貴族は来ないでしょ。


「ジャンはどうなの? どんなスキルをもらいたいの?」


 リディーが聞いてくる。


 俺は親指を立ててグッドサインをする。


「なんでも!」


 俺の答えに、リディーたちはつまらなそうにため息を吐く。


「前から言っていたけど、変わらないんだね」


「だから言ったじゃん。こいつには向上心がないんだよ」


「どうせ領主一家だから困らないと思ってんだろうな。まあその通りだろうけど、夢もなにもないとは」


 こそこそと言うんじゃない! 別になんでもって言ったけど、そりゃあ将来兄さんたちの役に立つようなスキルだったらいいよ。でも、あまりにもいいスキルだと、それはそれで面倒くさいんだ。気ままにゆっくりとした生活をしたいの俺は。


 聖者や賢者、聖騎士のスキルなんてもらったら、教会に入らされてしまう……。そしたら、一生教会のために働かされる。


 俺たちがそんな話をしている間、父さんと母さんは周りには人が集まっていた。そして姉さんも同い年の女性たちと集まって、楽しそうに会話している。


 リディーたちもそうだけど、領主一家と領民たちの距離は近い。前世は普通の高校生だったから、このぐらいの雰囲気が心地よい。


 だから、将来もこの地にいたい。

ここまで読んでいただきありがとうございます!

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