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第45ラウンド “最悪の記憶”との再会

大部分をカットすることになりますけど、そこはご容赦くださいwwww

瑠希菜の過去の部分にも触れることになりますし、憎悪の部分も見えると思います。

 さて、時間は流れて7月上旬。


インターハイ神奈川県予選が行われることになり、瑠希菜はスーパーフライ級で出場することになり、計量も無論1発クリア。


ちなみに小夜葉も同じ階級で、しかも逆山という幸運ぶり。


それが現れたのか、初日の一回戦、二回戦は右ジャブだけで完封し、ともに1RRSCで勝利、2日目の3回戦、準々決勝では解禁した左の拳で、それぞれ顎に左ストレートを3回戦で、準々決勝ではカウンターの右フックから左のオーバーハンドでそれぞれ失神KOという結果になった。


最終日の3日目に向け、次の対戦相手の試合を見ることにした瑠希菜と紀利華、だがここで、瑠希菜にとって()()()()()に遭遇してしまうことになるのであった………。





 それは2日目終了時、瑠希菜がジムに帰ってきてからのことであった。


帰ってきてからの瑠希菜が、試合前だというのに強めにサンドバッグをバスンバスンと打っていたことで、諒太も、事情を知っている紀利華以外の全員も異変を感じとっていた。


「お、おい………瑠希菜、もっと軽めに______」


「煩い……………!!」


カリカリしているのは、減量の影響も多少はあったのだろうが、明らかにそうではない空気が瑠希菜を覆っていた。


「瑠希菜、いーよアタシが話しておくから。シャワー浴びてきなよ。」


瑠希菜は思い詰めたような表情を抱きながらシャワーを浴びに行ったのであった。


「………で? 獅童、何があった? 側にいたんだろ?」


「実は………」




 時は試合を見ていた時に遡る。


準々決勝の相手は前年度準優勝者が試合をしていたのだが………案の定、その準優勝者が圧倒する展開、だが瑠希菜は苦い顔をしているのが紀利華の横目に映った。


「ど、どうしたの瑠希菜………」


「ねえ、紀利華………赤コーナーの選手の名前、分かる………?」


「え? 『内田瑞波(うちだみずは)』………横浜隼都(よこはまはやと)高校2年生で、去年の準優勝者だって。リーチがあって、右の打ち下ろしが強いのがねー………ってそれはいいけど急に………」


と、急に瑠希菜は席を立った。


「ごめん………トイレ行ってくる。紀利華は先帰ってて。」


「あ………!! ちょっと瑠希菜!!!」


明らかな異変を感じていた紀利華だったが、詳細を一向に話さない瑠希菜になかなか声を掛けられずにいたのであった。




 ………というのが事の顛末である。


諒太はため息を吐きながらも、顔を顰めていた。


「そうか………アイツか、瑞波………か。ならあんだけピリついていてもしゃーねえわな。」


「え………??? 接点がないように見えますけど………??」


「まあ………横浜にいた頃の顔見知り、だからな………アイツの前の中学の、()()()()()()()だったんだよ。アイツはそこで………いじめられたんだ、瑞波を中心に、な。」


「え…………」


紀利華は衝撃の事実を目の当たりにし、絶句をしていた。


「じゃ、じゃあ………瑠希菜のあの感じって………」


「ああ………トラウマを呼び起こされたんだろう。学校にも行かず、引きこもりに一年半もなった元凶を目にした事で、な。」


「………じゃあ、暫く触れない方が良さそうですね………」


「ああ………何を考えてるかは知らねえが、瑞波如きに負けてるようじゃ………この先が危ぶまれるぜ。」


「ご、如きって………!! 実力は本物ですよ!? 瑠希菜でも苦戦するかもしれないし………!!」


「心配すんな、試合には負けるとは思わねえ。だが………()()()()心配にはなってくるな。杞憂で終わるといいんだが………」


「別の意味って………なんですか………??」


紀利華はどうにもこうにもできない、という表情で諒太に問い詰める。


諒太は苦い顔をして、息を吐く。


「もしかしたらアイツは………()()()()()()()()んじゃねえか、って心配がな………ボクシングは殺し合いじゃねえ、あくまでもスポーツだ。アマでリング禍は聞いたことがねえが………アイツの憎悪はハンパなもんじゃねえだろうよ。人生を狂わされた元凶なんだからな、アイツにとっては。」


「で、でもその理屈だったら………瑠希菜、機転効くし………」


「獅童の言いてえことも分かるが………親父としては信じたくはねえが、一ボクサーとして見たら()()()()()()()()()()()だろうよ。人間、理性っていうリミッターを外したら………どんな奴でも人を殺しに行くのさ。合法、非合法を問わずにな………」


紀利華と諒太の懸念が、今まさに瑠希菜の心情をそのまま表しているように映っていたのであった。





 その頃瑠希菜は。


水を流しっぱなしで、ただシャワーを握って水をただ浴びていた。


(全然知らなかった………なんでよりによって瑞波先輩が………ボクシングを………)


思い出すのは苦い記憶、思い出したくもない、焼き付けられたトラウマが。


(許さない………!! 瑞波先輩(あのひと)だけは………!! 絶対に…………!!)


そして瑠希菜は、ふとこんな想いが湧いてきてしまっていた。


諒太と紀利華が懸念していた、まさに同じことを同じ刻に。




()()()()()」___________と。

次回はVS瑞波です。

多分この作品で過去最悪の残酷な描写になると思います(多分ノクターンでやってる奴よりはマシだろうけど。)

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