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第33ラウンド 不良統一戦

今回はヤンキーの抗争をしっかりと書きたいと思います。

 先に説明しておくと、青竜中は全校生徒1万を超えるマンモス校であり、自然と不良も多くなる。


その数3000人と、一大勢力を築くことができるのも自然なことだ。


そんな中で数十名で山本達は挑むわけなのだが、多勢に無勢が過ぎる、それが事実だった。


青竜中総長・中崎辰弥(なかざきたつや)が号令を掛ける。


「オイ、テメエら!! アイツらをぶっ殺せ!! 容赦はぜってえするな! かかれ!!」


中崎が煽り、取り巻きが地響きのような唸り声を挙げる。


だが、山本達の連合軍も負けていない。


実力は地元最強の灼がいるので単純なパワーなら一枚上手だ。


「……いくぞ、お前ら……とにかく陣形から崩してく。そこから中崎をぶっ潰す。」


「上等だ、この野郎……()()()()()()だ、死力を振り絞るぜ!!」


連合軍も一斉に青竜中の軍団に襲いかかる。


そこからは血みどろの様相であった。


武器を使用する青竜中に対し、連合軍は素手だ。


しかしボクシングで鍛えた勘の鋭さがあるので、なかなか主力メンバーには武器は当たったりしない。


敢えて拳は使わない舐めプみたいなものだが、それでも喧嘩慣れしている彼らにとってはむしろこっちの方が慣れていると言っても過言ではなく、次々と青竜中の下っ端を薙ぎ倒していった。


優勢の段階で、一大抗争は進んでいくのであった。





 その頃ジムでは。


瑠希菜が自宅の方面で海華、紀利華、氷織とタイトルマッチの生中継をテレビで観ていた。


海華の勉強と、諒太の解説を聴くためである。


「なるほど〜……こんなすごい速い動きするんだね、ボクシングって。」


海華は人生で初めて見るであろうボクシング中継を見て、感心した顔をしていた。


「まあそんなもんだよ。いかに相手の弱点を突いて倒すか、手数や有効打でポイントを取るか……そういうのもボクシングの醍醐味の一つ。ただ6メートル四方で殴るだけのスポーツじゃない、そこにはしっかりした理論と計算があって生まれてるようなものだよ。」


「なるほどー……流石、県大会で優勝するだけあるわ……」


「……って言ってもさ、瑠希菜、アンタパワーで全部薙ぎ倒すからあんまり説得力なくない……?」


「紀利華、それは失礼な……って感じだよそれ……父さんからも急所だけを狙えって言われてるからその通りにしただけだよ。パワーは二の次。父さんも現役時代は……『急所の狩人(クリティカルハンター)』と言われていたくらいだからね、説得力はあるよ。それがあるから何十回もベルトを防衛(まも)ったりできる。」


そんなこんなで試合が進み、チャンピオンが3度目の防衛に6回KO勝ちで成功を収めた。


「……会長の解説を聴いてると……すごい、なんか、的確っていうか……」


氷織がボソッと呟いた。


諒太の解説に感心を抱いていたようだった。


「……どう? 勉強になった?」


「めっっっっちゃ勉強になった!! すっごい興奮するし、なんていうんだろ、私でも出来そう、っていうか……!!」


「……そっか。それならいいんだよ。本気でやるっていう以上、勉強になんなきゃ意味ないからね。」


と、瑠希菜は冷蔵庫の方へ向かった。


その中から食材を取り出して調理を開始した。


「……? 瑠希菜、アンタ料理作って大丈夫なの??」


この姿を疑問に思った紀利華が左手を動かしていいのかを聞いた。


「ああ、大丈夫だよ。プラスチックの手袋履いてるから。包丁も右の方が使えるからね。なんか作るよ、みんなお腹も減ってるだろうし。」


瑠希菜はザックリと肉と野菜を切り、フライパンにぶち込んで醤油味でサッと炒めた。


中継後に瑠希菜特性の野菜炒めを堪能し、海華達は帰路に着いたのであった。



(……さて、アイツら大丈夫かな……? こっからそんなに遠くないはずだから……終わってなきゃいいけど……)


瑠希菜は食器を片づけ終えた後、自分の部屋に行き、ガウンとマスクを装着した。


「……ま、様子だけ見に行ってくるか……心配だしね。」


瑠希菜は家の鍵を閉め、自転車に乗って現場へと直行したのであった。

次回は瑠希菜が参戦です。

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