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第17ラウンド 奥原の悲鳴

今回から朱雀中との抗争になります。

ただ、奥原くんが出てくる=何かあるってことですw

登場人物紹介は紀利華です。


獅童紀利華(しどうきりか) 湘南白虎中3年 湘南堀岡ジム練習生 4月5日生まれ A型 164センチ 48キロ 右利き 3サイズB84(Cカップ)W56H83 好きな食べ物 クッキー 趣味 パルクール


白虎中の不良のリーダーで、合気道経験者。

普段は社交的で明るい性格、イベント好きな一面を見せる年相応の女子中学生ではあるが、ひとたびスイッチが入ると一切手を抜かないほど全力投球で行くため、喧嘩の際は半殺しにしてしまうほど容赦がない。

小学生の時に合気道で県準優勝をしたまでの実績はあるが、決勝で当たった相手に実力差を見せつけられ、挫折、母に反発して不良に身を落としたが、瑠希菜と戦って負けたことと、瑠希菜からの檄でボクシングを始める。

運動神経は非常に高いので、諒太からもそのセンスを認められている。

カウンターは合気道をやっていたが故か天才的で、超感覚派。

そのスタイルで現在練習中。

 紀利華がジムに来てから2週間が経過した5月半ば。


紀利華はメキメキと上達し、すぐに試合に出してもおかしくない状態にまで仕上がっていた。


一方瑠希菜は、湘南市内大会へ向けて減量中だ。


今回もフライ級でエントリーすることになる。


大会が6月頭なので、それに向けて調整している最中だった。


瑠希菜は紀利華とスパーリングをして調整していた。


「いやー、やっぱすごいわ瑠希菜……全然アタシのパンチ当たんないもんなー……」


「紀利華もカウンターがあるから怖いよ、正直。始めたばかりとはいえ、めちゃくちゃ練習になる。」


減量用で瑠希菜はリンゴを齧り、紀利華は水を飲んで今日のスパーの感触を語り合った。


「そーいやあさ、()()()()()()だよね? キツくない? 減量って。」


「正直キツい。私なんて6キロも落とすからね。」


「え!? それ大丈夫なの!?」


「あと身体が()()()()()()()()()()()からさ……来年には一個上に上げようかなって思ってる。今年がフライ級でやれる最後。」


「……てかさ、今日……江口、来てないよね?」


紀利華は話題を切り替え、江口が今日不在なことを話した。


「恭吾なら奥原君の予定に付き合うって言って……遅れてくるって言ってたけどな……にしても遅いね、アイツにしては。」


瑠希菜も江口が来ていないことを気がかりでいたのだが、気にせずにリングに戻った。


再びリングに戻り、スパーを再開した2人だったが、ここでジムに駆け込んできた人物が。


奥原だった。


「湘南堀岡ジムって……ここですか!?」


何故か必死の形相で息を切らした奥原が大声を張り上げる。


「おう、そうだけど、どうした? なんかあったか?」


諒太は奥原に事情を聞く。


「実は……!! 恭吾が……恭吾が……!!!」


諒太は嫌な予感がしたのか、一度練習を中断し、「腑狼」メンバーを集めて奥原に事情を聞くことにしたのだった。




 「()()()()()()()()()()()……恭吾がボコられた!?」


奥原に事情を聞いた山本は驚きの表情を隠せなかった。


「うん……恭吾がボクに奢るって言って……コンビニ行ったら……朱雀中の奴らに絡まれて……」


「マジかよ……奥原、災難だったな……それで恭吾は?」


戸田も奥原を労いながらも詳細を聞く。


「……ゴメン、そこまでは……ボクに伝えに行け、って言って……」


「マジか……」


谷口も舌を噛み締めた。


心配した瑠希菜が江口に電話を掛ける。


無事かどうかを確認する意味合いもあったのだが……


『番長か!? ……すまねえ、ボコられちまって……!』


「恭吾、大丈夫? 今どこ?」


『場所はわかんねえ……砂浜ってことしか分かんねえ……!』


「……分かった。助けに行くついでに相手ボコしに行くわ。」


と言い、瑠希菜は電話を切った。


「ちょっ……堀岡さん!? 朱雀中の奴らに殴り込みに行くの!?」


これを聞いていた奥原は瑠希菜を止めようとする。


「……奥原君、どんな奴らだった?」


「……と、とにかくデカくて……ガタイもよくて、1人が別格で……!!」


「……了解。」


と言い、瑠希菜はジムを飛び出し、自転車に乗って漕ぎ出して行った。


「あのバカ……何しに行く気だよ……一人で殴り込みとか正気じゃねえぞ?」


諒太は舌打ちし、勝手に飛び出して行った瑠希菜を訝しむ。


「会長……どーすんすか!? 危ねえっすよ、朱雀中の奴ら、マジで凶暴な奴らしかいねえから……!」


戸田が諒太に判断を委ねる。


ああなれば止まらないのが瑠希菜なのは、父である諒太が最もよく知っているからだ。


「……お前ら、アイツを止めに行け。俺は氷織と紀利華の練習を見るから。で、江口を助け出せ。」


「「「ハイ!!!」」」


というわけで、山本達も飛び出して行った。


諒太は奥原を返し、練習を再開した。




 一方その頃、江口は。


目が大きく腫れ上がり、不良達に夜の砂浜に説き伏せられている状態だった。


そこに、大柄な少年がヤンキー座りで江口を見下ろしていた。


「……オイ……『番長』とやらは来んのか……?」


その少年、「式見灼(しきみあらた)」が江口に問う。


瑠希菜が来るかどうかを。


「……知るかよ……だけど俺は……番長(アイツ)が来ることを信じるぜ……」


「……そうかよ。」


無愛想に灼はそれだけ言い、海の方を見た。


(番長……マジで危険だぞ、コイツは……アンタで敵うか分からねえ……それぐらい強いぜ……)


江口は瑠希菜が来ることを信じてはいたが、同時に灼の強さに恐怖を覚えていた。


危なすぎる、という意味で。




 その頃瑠希菜は。


(お願い恭吾……!! 間に合って……!! 絶対助けに行く……!!!)


江口のいる湘南のビーチに向かって自転車を漕いで、現在橋のところまでいたのだった。

次回、瑠希菜と灼が激突。


ちなみに「もう一人の主人公」というのは灼ですwww


灼の登場人物紹介はもう少しお待ちください。

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