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第14ラウンド 悪の四天王

この回から抗争に入ります。

ケンカ描写が結構激しくなりますので、はじめての試みですけど頑張って書きたいと思います。

登場人物紹介は、戸田です。


戸田憲氏(とだけんし) 湘南黄竜中3年 6月1日生まれ O型 171センチ 59キロ 湘南堀岡ジム練習生 右利き 好きな食べ物 黒豆 趣味 お面集め


「腑狼」のメンバーの不良男子の1人。

谷口とは保育園の時からの親友。

瑠希菜に出会ったことでボクシングを始めた。

11歳で母を亡くしており、以降は父と姉と暮らすが、父とは反発気味。

リーチの長さ(183センチ)を生かしたデトロイトスタイルを練習している。

ちなみに視力が3.5で、動体視力も高い。

根が真面目な性格で、意外にも慎重派。

 氷織がジムに来て、1ヶ月が経過した。


各々技術も向上しており、氷織も嘔吐をしなくなるまでには成長できていた。


それに刺激されるかのように、瑠希菜も技術が上がっていた。



 そして、5月のある日のこと。


「腑狼」メンバーが教室に集まって会話していた。


その内容は、というと。


「実はよ、堀岡さん。ちっとやべえことになりそうなんだよ。」


「は? なにそれ。ボクシングに支障出る?」


「ああ……。」


瑠希菜の問いに、切り出した山本が項垂れる。


「実はな……他校との『抗争』がな……熾烈なものになってきててな。黄竜中も後輩が何人か巻き込まれたって話だ。」


谷口が説明した。


瑠希菜は不良グループのリーダーにはなったとはいえ、抗争には興味が全くと言っていいほど無かった。


ただ単に面倒臭そうだな、と思っていた次第だった。


「……まあ、一応聞いとくけどさ、その『他校』ってなに?」


「あー……そっか……番長、4月に来たばっかだから、この辺知らねえのか……じゃ、教えるわ。」


こう切り出した江口が続ける。


「湘南には黄竜(ウチ)以外にも札付きが集まる学校があってな……そこは黄竜(ウチ)と合わせて『()()()()()』って呼ばれてるんだわ。」


「……それで? 学校の名前は分かる?」


「……まず『朱雀中(すざくちゅう)』。ここは1人……カリスマ性の高いやつが居てな。ソイツは『凶熊(きょうゆう)』って呼ばれてる。で、次が……『青鳳中(せいほうちゅう)』。特筆すべきやつはいねえんだけど、ここは集団の大所帯なんだ。男子だけでも300人はいるって話さ。で、最後が『白虎中(びゃっこちゅう)』。比率的には女子の方が多いらしいんだ。……けれどそこのリーダーが凶悪非道そのものでな。意識を飛ばされた奴もいるって話だ。」


「……で、ウチはどうなの? そこら辺分かんないと戦力の計算のしようがないし。」


粗方は理解した瑠希菜ではあったが、まずは戦略を立てて勝負したいと考えていた。


戸田が黄竜中の状況を話す。


「ウチは烏合の衆が多くてね。纏まりが弱えんだよ。実際氷織をいじめてた奴みてえに……優等生ぶってるだけのヤツとかも多いわけだしな。だから絶対的なリーダーが居ねえ。今のところそのトップが『腑狼(おれたち)』ってだけさ。」


「……オッケー、分かった。じゃ、一個一個叩くよ。」


瑠希菜の目が光を帯びる。


「お? 堀岡さん、乗り気だな。普段なら絶対行かねえのに。」


「正直熱が少ないからね、ジムに居ても。だから私と同等に戦える相手が欲しい。」


「……確かにな……俺らも上手くなってるとはいえ……番長はそれ以上に上手くなってるしな……実際ボコられてるし。」


ここで疑問に思った戸田が、瑠希菜に聞く。


「……タイマン張るのか? 喧嘩が強えとはいえ、相手は素人だぜ?」


「張るよ、もちろん。それに……」


「それに?」


()()()()()()()()()()()()からね。父さんにもさ、『センスのありそうなヤツ』を誘ってくれ、って言われてるから。」


「そっちかい!! てっきり半殺しにすんのかと思ったわ!!」


戸田が強烈にツッコんだ。


と、ここで谷口が切り出す。


「それで? どっから行く?」


「『白虎』。多分ここが一番アンパイだと思う。」


「いや、アンパイって……全部が全部よぉ……拳だけじゃねえんだぜ? 喧嘩ってのは。それでもアンパイって言えんの?」


「どうなるかは分かんないよ、そりゃ。けど『青鳳』を叩く、って考えたら人手は欲しい。だからまず、人をある程度集められそうな白虎中から行く。そこから……『凶熊』って呼ばれてる奴が欲しいかな。戦力は少しでも大きい方が良いしね。」


瑠希菜のプランを聞いた4人は、顔を見合わせる。


山本が切り出す。


「じゃ、明後日白虎中に行くか。」


「いいよ。」


こうして抗争プランは建て終えたのだった。



 2日後。


練習後にジムの外に出た瑠希菜は、山本達と合流したのだが……


「……ねえ……なんでバイクに乗ってんの……無免はダメでしょうよ……」


「はあ? なんでよ。」


「あのさぁ……それでウチのジムが資格停止になったら責任取れるの? ……まあ、もうしょうがないから今回だけは許すよ、けどさ……足腰も鍛えれるから自転車(チャリ)の方が絶対良いよ。」


「……所謂『チャリ走族』って奴?」


「……もういいよ……それは……」


といって、瑠希菜は自分の自転車を倉庫から引っ張り出してきて漕ぎ出して行った。


目指すは白虎中の近くの公園だった。



 到着した5人は、というと。


暗闇の中の木々の間を進んでいく。


「……広大、この辺?」


「……って話だけどな。不良女子が多いって話だし。」


「……誰情報よ、それは。」


「昨日、俺の後輩に偵察させてたんだ。それでここら辺だって察しがついた。」


「……ふーん。」


瑠希菜は、本音はボクシングをやりたいんだけどな……と思いながら体を伸ばしていた。


と、そこに、女子の集団がいた。


深緑のセーラー服を身に包んだその学校は。


白虎中だった。


「……よし……」


意を決した瑠希菜は、集団の前に単身で乗り込んでいった。


「? アンタ誰よ。」


女子生徒の1人が無言で近づいて行った瑠希菜に訝しげに何の用かを問うた。


「……黄竜中の堀岡瑠希菜だけど。……ここのリーダーさん、っている?」


「はあ? アンタなんかにキリカを出すと思う?」


瑠希菜を嘲笑する女子生徒。


キリカ、というのがリーダーとの事らしいのは分かった。


が、ここまで煽られては、瑠希菜もやらないわけにはいかなかった。


「別に()()()()()()()()()から。そこ、どいて。」


と、言いながら瑠希菜は右ジャブを小さく鋭く、煽った女子生徒に向かって顔面に繰り出した。


パァン! という、銃声のような衝撃音が鳴り響いた。


鼻を押さえて蹲った女子生徒を見て、どよめきが起こる。


「……で? 逃げるの? 逃げないの? どっち?」


瑠希菜は静かに煽る。


もう戦闘スタイルに構えていた。


と、ここで銀髪に左耳にピアスを付けた女子が瑠希菜の前に姿を現した。


「……堀岡さん、だっけ? ……絶対強いよね……多分アタシじゃないと勝てないかもね。」


「……アンタがキリカ?」


「アタシは白虎中の『獅童紀利華(しどうきりか)』。アンタの目的は……アタシとのタイマンでしょ、どうせ。」


「そのつもり。」


「フフ……いいねえ……こんな面白い娘、白虎(ウチら)にもそうそういないよ。」


宵闇の公園の、2人の間に弾ける火花。


瑠希菜と紀利華の闘いが幕を開けたのだった。

まー、仲間が増える章なんで、不良同士の友情と言うべきでしょうか、それが育まれる章でもあるんですよね。

瑠希菜は成り行きなんで不良では無いんですけど。

次回はタイマン回です。

登場人物紹介は、江口です。

次回もお楽しみに。

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